市政だより 令和7年10月号 1・2・3面(テキスト版)
特集 鴻池新田会所
Topic
令和6年度決算まとまる〈4面〉
10月1日から水道料金を改定〈5面〉
3連休は花園で満喫 東大阪エンジョイ・スポーツ3Days〈12面・13面〉
市政だよりのタイトルには、東大阪フォントを使用しています。東大阪フォントは、企業同士のつながりや東大阪で生まれる部品がつながることでさまざまな製品となり、世界をつなげていることをイメージした、オリジナルのフォントです。
新たなスタートへ~鴻池新田会所
市内で唯一の重要文化財に指定された建造物がある鴻池新田会所。敷地は国の史跡に指定されている貴重な文化遺産です。耐震補強を含む保存修理工事のため令和5年4月から休館していましたが、工事を終え10月4日(土曜日)に再オープンします。
歴史的な趣を感じながら、ほっと一息つける場所。そんな鴻池新田会所の歴史や魅力を紹介します。
- 問合せ先
- 文化財課 06(4309)3283、ファクス 06(4309)3823
歴史を知る
鴻池新田会所とは
鴻池新田会所は、江戸時代に大坂の豪商であった三代目鴻池善右衛門宗利と息子の宗貞により開発された鴻池新田の経営・管理を行う事務所として1707(宝永4)年に建てられました。鴻池新田会所では、新田の農民から小作料を徴収して幕府へ年貢を納入するほか、新田内の田畑、水路、橋などの維持補修や宗門改帳(現在の住民票にあたるもの)の作成などが行われていました。
当時はさまざまな所で新田が開発され、会所が建てられましたが、現存するものは大阪府内で鴻池新田会所を含め3件のみです。
重要文化財はこの5棟
※一般公開している場所は、本屋、米蔵、道具蔵の3棟です。
本屋
1707(宝永4)年に建てられ、江戸時代に2度大改修を行っています。土間、居室部、座敷部からなり、現在の状態は1850年代の様子を再現しています。
道具蔵
農工具の保管場所として活用されていました。
米蔵
米を納めるための蔵で、当時は会所を運営するうえで重要な建物でした。
文書蔵
蔵の中には新田の開発や経営に関する文書が収められていました。
屋敷蔵
家財などを収納する蔵です。平成の修理で1746(延享3)年に建てられたことがわかりました。
各建物で発見された棟札も国の重要文化財に指定されています。
歴史を守る
今回の保存修理工事で行われた工事の一部を紹介します。
本屋の耐震補強工事
部屋の一部に鉄骨を設置しましたが、本屋の中に入っても一目見ただけでは鉄骨の存在を認識できません。土間や座敷の雰囲気を変えないよう、一般的に公開されない部屋や二階、西や北の下屋部分、押入などに鉄骨を設置しました。
重要文化財である建物をできる限り解体することなく鉄骨を設置するため、各場所の寸法を綿密に測りながら、限られた搬入口から入るように短い鉄骨を製作し、現場でつなぎ合わせました。また、建物を傷つけることがないよう、搬入や組立はほぼ手作業で行われました。
屋敷蔵の揚屋工事
屋敷蔵は地盤沈下により建物の東北隅が約19センチメートル下がっており、大きく傾いていました。そのため、建物全体を50センチメートルほど持ち上げる揚屋工事を行い、水平になるように基礎石と建物の間に木材を挟み込みました。
インタビュー
鴻池新田会所の工事の設計・施工監理を行った公益財団法人 文化財建造物保存技術協会の方に、今回の工事についてお話を伺いました。
皆さんに見学していただくために、安全の確保が第一です。
鴻池新田会所は昭和62年から平成8年にかけて大規模な保存修理工事を実施しています。細かなメンテナンス修理は都度行っていますが、前回の修理からあまり時間が経っていないため、今回の工事前も建物は比較的健全な状態でした。
ただ、敷地内の建物は一部を除いて一般公開されています。多くの方が中に入って見学される施設であり、突発的な災害時にも来館者の安全性が確保されていなくてはなりません。そのため、今回の工事では鉄骨や合板を用いて本屋、米蔵、道具蔵の耐震補強を実施しました。令和6年に起こった能登半島地震では補強を行っていなかった重要文化財の建物が屋根に押しつぶされるように倒壊しており、耐震補強工事の重要性を実感しています。
- 公益財団法人 文化財建造物保存技術協会
- 金田 直子さん
「今あるもの」は全て大切にします。
文化財建造物の工事を行ううえで大切なことが2つあります。1つ目は建物そのものの雰囲気や形を変えないこと。2つ目は、現存するものはそのまま残すことです。建物ひとつひとつの部材には当時の情報が詰まっています。むやみに切ったり形を変えたりせず、施工上やむを得ず切断が必要となった箇所は、新しい木材を代わりに取り付け、古い部材は大切に保管します。
しかし、現存するものを残しながらの工事は想像以上に大変な作業です。例えば、基礎石の上に建っている建物に、補強するための柱を立てる場合、柱の底を石の凹凸に合わせて削り、ぴったりと合うようにします。もともとある石の形は変えません。このように、現状を可能な限り維持するためにさまざまな工夫と高度な技術のもと工事を行いました。
- 公益財団法人 文化財建造物保存技術協会
- 鵜原 正樹さん
歴史を感じる
再オープン後の鴻池新田会所は、もっと気軽にたくさんの人が訪れる施設になることをめざしています。鴻池新田会所を訪れ、ゆったりとした空気の中で当時の人の生活に思いを馳せながら、歴史を感じてみませんか。詳しくは、鴻池新田会所ウェブサイトをご覧ください。
鴻池新田会所ここが変わります!
01 入観料が無料に
鴻池新田会所の貴重な歴史的建造物をもっと気軽に観覧することができます。
02 施設の貸切りも可能
鴻池新田会所を貸し切って、フォトウェディングの撮影や、お茶会・食事会などさまざまな目的で利用できます。
03 ガイドツアーを始めます
鴻池新田会所の歴史や関連した人物の解説を聞きながら、鴻池新田会所を巡ります。
写真を撮るならここ!
鴻池新田会所おすすめスポット
- 鴻池新田会所の入口である表長屋門。どっしりと構える大きな門をくぐった瞬間に歴史的な空気が感じられます。これまでに、さまざまな映画のロケ地として選ばれています。
- 本屋に一歩足を踏み入れると木の香りが漂う土間。かまどがあり、天井には重厚な梁がかかるその空間は、江戸時代にタイムスリップしたかのように感じられます。
- 本屋にある襖続きの座敷では、まるで映画のセットのような趣ある雰囲気が漂います。
- 弁天池を中心に回遊できる庭園は、春の新緑や秋の紅葉など季節の変化を楽しむことができます。
令和6年にクラウドファンディングを実施し、たくさんの方の協力により、弁天池の水質が改善しました
10月4日(土曜日)・10月5日(日曜日)9時30分~17時
※10月4日(土曜日)は9時から開場。
鴻池新田会所 再開の刻~未来へつなぐ歴史の扉~
鴻池新田会所の再オープンを記念して、オープニングイベントを開催します。
- 問合せ先
- 文化財課 06(4309)3283、ファクス 06(4309)3823
10月4日(土曜日)
〈本屋〉9時30分~10時
オープニング演奏
大阪・関西万博の「ブラスエキスポ」にも参加した大阪府立城東・東大阪みらい工科高校吹奏楽部がオープニングを飾ります。オープニング演奏の後にはテープカットを行います。
〈本屋〉10時30分~11時30分
ジャズ講談『大和川付け替え物語』
多くの人の悩みを解決するために大和川を付け替えようと立ち上がった人々の物語をジャズ演奏をバックに講談師の玉田玉秀斎さんが語ります。
〈本屋〉13時30分~14時30分
デキシーランドジャズ演奏
管楽器を中心とした明るく陽気なリズムが特徴のデキシーランドジャズを「大阪道頓堀JAZZオールスターズ」が演奏します。
10月5日(日曜日)
〈本屋〉10時~11時30分
伝統芸能 神楽「獅子舞」披露
伊勢神楽の伝統を受け継ぐ加納文化伝統保存会と川田郷土芸能保存会が「獅子舞」を解説付きで披露します。
〈本屋〉14時~15時
「SAXAS-サクアス-」ステージライブ
二人の若手実力派サックス奏者上馬場啓介さん、新井貴之さんと新鋭ピアニスト水池謙元さんからなるユニット「SAXAS」が客席と一体となるステージを披露します。
〈本屋〉15時30分~16時30分
ともさかダンススタジオヒップホップダンス
小学校~高校の子どもたちがヒップホップダンスを披露します。
10月4日(土曜日)・10月5日(日曜日)
〈米蔵中庭〉
マルシェ(飲食・物販・体験イベント)
おいしいグルメやかわいい雑貨、親子で楽しめる体験ブースが大集合します。
※飲食は、中庭での提供となります。中庭では持参したレジャーシートを広げて飲食や休憩ができます。
〈敷地周辺〉15時15分~16時30分
ミニまちあるき
東大阪観光協会のまちガイドボランティアが、鴻池四季彩々とおりや五箇井路など鴻池新田会所周辺を案内します。
※参加費:無料。各日15人(当日先着順)。
楽しいイベントは他にも
河内の水とともに栄えた鴻池を巡る
鴻池新田会所の再オープンを記念してまち歩きを開催します。
- とき
- 10月18日(土曜日)
- ☆JR鴻池新田駅に9時30分集合、12時解散
- 対象
- 小学校高学年以上の方
- ※小学生・中学生は保護者要同伴。
- 定員
- 15人(申込先着順)
- 料金
- 500円
- 申込方法・申込み先など
- 10月15日(水曜日)までに申込専用ウェブサイトまたは電話で
- 申込方法・申込み先など 問合せ先
- 文化財課 06(4309)3283、ファクス 06(4309)3823
17th 鴻池JAZZストリート2025
鴻池周辺6か所でジャズライブを開催します。メイン会場の鴻池新田会所では、落語・講談も行います。
- とき
- 10月26日(日曜日)10時~17時
- 料金
-
- JAZZ会場=2000円
- 落語会場=1000円
- ※その他の会場など、詳しくは東大阪・鴻池JAZZ実行委員会ウェブサイトをご覧ください。
- 問合せ先
-
- 鴻池新田会所 06(6745)6409
※10月1日(水曜日)から開設。 - 東大阪・鴻池JAZZ実行委員会Eメールアドレス info.kounoike@higashiosaka-jazz.jp
- 鴻池新田会所 06(6745)6409