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東大阪市

あしあと

    分電盤からの出火事例 ~磁性体にかかる応力~

    • [公開日:2021年10月15日]
    • [更新日:2021年10月15日]
    • ID:29160

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    分電盤から出火

     本事例は、エアコン設置工事に伴い、敷地内に設置されたキュービクルに分電盤を増設し、エアコンの試運転を行った際に、増設した分電盤から出火した事案です。焼損したのは、分電盤内の配線用遮断器と接続しているブスバー(導体棒)でした。この火災の出火原因を調査していくと、特異な経緯で短絡事故が発生することが判りました。

    特異な経緯での短絡事故とは??

     導体に大きな電流が流れたことで、電磁石のような作用で付近の磁性体を引き寄せる電磁力が起因するものです。
     絶縁処理した電気配線やブスバーの近くにさまざまな金属小物をぶら下げて、50A程度の電流を流す実験をしてみると、銅やアルミに反応はありませんでしたが、鉄製の金属小物(クリップ、ワッシャー、螺子等)である磁性体は、電気配線やブスバーに引き寄せられました。
     実験結果では、概ね50A以上の電流量から磁性体を引き寄せる応力が働き、応力は電流量に比例し、導体と磁性体との距離に反比例することがわかりました。
     つまり、絶縁処理をしていないブスバーに接続されている配線用遮断器上にワッシャー等の磁性体を置き忘れた場合、電流が流れたタイミングで、ブスバーに磁性体が引き寄せられて短絡事故が発生し、今回のように火災に至ってしまうのです。

    原理の解明

     永久磁石では、磁束が常にN極からS極に向かい、その磁界の中に導体を置いて電流を流すと、電磁力が発生しますが、今回の事例は電磁力とは少し異なります。

     本件では、導体に電流が流れると、図2、3のような磁界及び磁束が発生します。磁界及び磁束密度は、電流が流れる導体に近ければ強く、遠ければ弱くなります。磁束はそれぞれの間隔を広げようとする性質があり、導体に近い磁性体の面にかかる応力(F’-F)と導体から離れている磁性体の面にかかる応力(F1’-F1)の大小関係で動くことになりますが、導体に近い方の応力が大きくなるため、導体に引き寄せられてしまいます。このような応力を「マックスウェルの応力」と呼びます。

     交流であれば、電流の向きとともに磁界の向きも常に変化しますが、この応力は電流(磁界)の向きに関係はありません。導体に流れる電流量、導体と磁性体との距離、磁性体の導体に近い面の面積や長さも関係して、磁界が強い方向、つまり電流が流れていく導体へ近づくことになります。つまり、施工が完了して、始動する場合は突入電流が流れるため、より広範囲に影響が出ることになります。

    おわりに

     今回のような電磁力が起因する火災は、一般家庭で発生することは考えにくいですが、高圧受電設備や分電盤内の絶縁処理がされていない箇所で発生する可能性が考えられます。ですので、電気設備を施工される方、竣工試験をされる方、保守点検をされる方は、今一度、始動前に金属小物の置き忘れがないかを確認していただくようにお願い致します。

    お問い合わせ

    東大阪市消防局警防部予防広報課

    電話: 072(966)9662・072(966)9663

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