こんろの火災(天ぷら油火災)
こんろ火災は一般家庭の出火原因1位
天ぷら油の火災は、東大阪市内で毎年発生しています。
こんろ火災は、てんぷら油火災をはじめ、魚焼きグリルの中が燃える火災、また、気づかないうちに服に火がついてしまう着衣着火など、さまざまなケースがあります。
今回は、天ぷら油の加熱によって発生する天ぷら油火災について説明します。
火をつけたら、絶対にその場を離れない
こんろ火災は、一般家庭の出火原因で常に上位を占めているもので、なかなか減りません。
昨年、東大阪市で発生したこんろ火災は、21件中20件が建物火災で、その中で16件が一般家庭で発生しています。こんろ本体の性能は上がっているのに、なぜ火災が減少しないのか?要因として、やはり使用者の問題が挙げられます。
その中でも、ほとんどのこんろ火災が使用者が使用中にその場を離れてしまうことで、油が発火温度に達して発生する天ぷら油火災です。
こんろを使用している時は、絶対にその場を離れないでください。
油の発火温度
揚げものに適した天ぷら油の温度は180℃前後です。
天ぷら油の発火温度は360℃以上となっています。
天ぷら油で調理をする際、火力にもよりますが、例えば500cc(ペットボトル1本分)の油をこんろで加熱すると、約3分から4分程度で180℃に、約15分から20分後には、発火温度である360℃に達します。
※200℃を超えると、白煙が発生します。白煙が出ると温度が上がりずぎているサインですので、注意してください。
火災現場で話を聞くと、「揚げものはカラッと仕上げたいから、いつも部屋中が真っ白になるくらい油を温めて調理しています。」と言っていた人がいて驚いたことがあります。
油を高温にすると、危険ですよ‼
180℃
217℃
294℃
304℃
※今回の実験は少量の油で行っています。このため、油の温度が急激に上昇したことで、温度センサーに瞬間的にタイムラグが生じたと考えられます。
油の量で発火までの時間が変わる
経過時間 | 400cc | 800cc |
---|---|---|
4分 | 210℃ | 139℃ |
8分 | 284℃ | 230℃ |
12分 | 341℃ | 288℃ |
16分 | 358℃ | 322℃ |
18分 | 367℃ | 332℃ |
20分 | 373℃ | 340℃ |
22分 | 378℃ | 346℃ |
少量の油での調理に注意してください
フライパンを使っての揚げ焼き、最近、健康志向の高まりや節約の観点から人気がありますが、これも注意が必要です。
上の表のとおり、油の量で発火する時間が大きく変わります。油の量が少なければ、当然、発火するまでの時間も短くなるので注意してください。
このフライパンを使っての揚げ焼きによる火災は、油が少量なので思っているよりも油の温度が上がっていることに気づきにくいため、使用者が目を離していなくても、調理中に発火しています。
皆さん、注意してください。
Siセンサーがあるから大丈夫と思って、その場を離れてはいけません
最近のこんろには、「Siセンサー」という安全装置が搭載されています。
Siセンサーは鍋底の温度が240℃を検知すると火力を制御するセンサーで、油の温度が発火温度まで上がらないようにするものです。
しかし、油の量が少なすぎると、Siセンサーが反応する前に発火温度に達してしまうことがあります。
また、鍋底が焦げていたり、錆などが付着するなどして汚れていると、Siセンサーが正常に反応せずに誤差が生じることがあります。
「うちのこんろは最新式やから大丈夫‼」なんて思って油断しているあなた、危険ですよ!
こんろ火災は、そのちょっとした油断から起きてしまうのです。
使用中は、絶対にその場を離れてはいけません。
使った油は要注意‼
また、劣化した油(使った油)は、新しい油よりも発火温度に達するのが早いのです。
何度か使用した古い油は酸化していることで、新しい油よりも早く発火温度に達してしまいますので注意してください。
天ぷら油火災の消火方法について
➀こんろの火を消す
まず、こんろのスイッチを切ってください。
油の温度が下がらないと、火を消すことはできません。
(2)消火器やエアゾール消火スプレーで消火
天ぷら油火災を消火するのに、最も安全で有効な消火方法です。
万が一のために、ご家庭に消火器や消火スプレーを用意しましょう。
(3)鍋の蓋や濡れたタオルやシーツ等で鍋を覆い、窒息消火
鍋全体を覆う事ができるくらいの大きさが必要です。
水滴が垂れない程度にタオル等をしぼってから使用してください。
何枚か重ねると窒息効果や冷却効果も高くなります。
水をかけて消火することは絶対にしないでください
天ぷら油が燃えている時に水をかけることは大変危険です。水は100℃で沸騰(1気圧)するので、高温の油に投入された水は一気に水蒸気となり爆発的に拡散、周辺に高温の油をまき散らして大変危険です。 (天ぷら油火災になっている時の油の温度は300℃を大きく超えているため、水は瞬間的に沸騰します。)
少量の水滴でも
大きな炎になってしまいます
映像【天ぷら油火災の消火方法】
消火器や消火スプレーがない場合にタオルを使った消火方法の映像です。
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