金属火災の危険性を検証
平成29年6月12日(月曜日)、大阪府立消防学校において大阪府東部の消防本部が合同で燃焼実験を行いました。
東大阪市消防局は、管内で発生した金属火災をもとに、鉄、アルミニウム、マグネシウムの3種類の金属について燃焼状況や消火方法を検証する実験を行いました。
実験方法
- 各金属のくず、粉末に火花を当て着火を試みる。
- 火花で着火しない場合は、トーチバーナーで着火を試みる。
- 燃焼した金属は、乾燥砂や水を使用して消火を試み、金属火災の消火方法を検討する。
各種金属の着火及び燃焼状況
鉄くず(スチールウール)

火花で着火し、ゆるやかに燃焼することが確認できた。
鉄分(非危険物)

火花では着火せず、バナーの炎を当てても変色のみで着火しなかった。
アルミニウム切削くず

火花で着火せず、バナーの炎を当てたところ、切削時に付着した油分が燃焼したが、燃焼現象は継続しなかった。
アルミニウム粉末

火花で着火し、風などに煽られることで燃焼が促進、最終的に激しい燃焼が確認できた。
マグネシウム切削くず

火花で容易に着火し、閃光を放ちながら激しく燃焼することが確認できた。
マグネシウム粉末

火花では着火せず、バナーの炎を当てたところ着火、マグネシウム切削くずと同様に閃光を放ちながら激しい燃焼が確認できた。
消火方法の検証
乾燥砂による消火

いずれの金属も乾燥砂で覆い窒息消火することができた。しかし、消火後、高温の状態で砂を除去すると、再び激しい燃焼が起こった。
水による消火

燃焼中のアルミニウム粉末、マグネシウム切削くず、マグネシウム粉末に注水したところ、いずれの金属でも激しい燃焼が確認できた。
特にマグネシウム粉末は、他の金属よりも大きな火炎が確認できた。
実験結果考察
- 鉄粉による火災事例は本市でも複数あるが、今回実験で使用した鉄粉は、第2類危険物に指定される大きさ(53μm以下)ではなかったこと、乾燥砂の上に直接置き、空気との接触面積が小さかったため着火しなかったと思われる。
- アルミニウム粉末は、火花で着火した当初はゆるやかな燃焼であったが、風に煽られると急激に燃焼が進展したため、現場の環境や気象状況にも注意し消火する必要がある。
- アルミニウム粉末、マグネシウム切削くず、マグネシウム粉末は、乾燥砂で消火できるが、温度が高い状態で砂を除去し空気に触れさせると再燃するため注意が必要である。
- 金属が燃焼中に注水すると激しく反応することから、消火作業には細心の注意が必要である。