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東大阪市

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    令和6年度市政運営方針

    • [公開日:2024年2月28日]
    • [更新日:2024年2月27日]
    • ID:38335

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     本日ここに令和6年第1回定例会を迎えるにあたり、市政運営に関する私の基本的な考え方を申し述べます。

     はじめに、令和6年の幕開けと同時に、石川県能登半島においてマグニチュード7.6の地震が発生しました。犠牲になられた方々に心からのお悔やみを申し上げます。また、被災された皆様にはお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を支援してまいります。地震発生当日には、本市消防局から緊急消防援助隊大阪府大隊に隊員の派遣を行い、初動が重要となる人命救助にかかる迅速な対応をいたしました。また、市立東大阪医療センターからはDMATなどの災害派遣医療チームや市職員の派遣、現地の要望に応じた支援物資の提供などを行っております。時間の経過とともに必要な支援は変化し、柔軟な対応が求められてまいります。今後も現地の状況に応じて、被災された皆様への継続的な支援と、被災地の早期の復興に向け、尽力してまいります。そしていつ起こるかわからない予測不能な災害に常に備え、市民の命と財産を守るために、本市の防災力を向上させる取り組みを引き続き行ってまいります。

     先般の令和5年第4回定例会において、5期目の所信を表明したところでございますが、本定例会では、「子どもファースト」と「次世代への投資」を見据え、令和6年度当初予算案のご提案とともに、私の5期目の市長選挙にあたり、市民の皆様とお約束したことを盛り込んだ第3次総合計画第2次実施計画の主な施策を中心として、市政に対する運営方針を述べさせていただきます。

     まず、この1年を振り返りますと、国内では昨年、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが、2類相当から5類感染症へと移行したことにより、国内消費も徐々にコロナ禍前に戻る兆しを見せつつあります。さらに、海外からの入国者の水際対策の解除によるインバウンド消費の後押しなど、景気回復の要素はあるものの、能登半島地震の影響等もあり足踏み状態が続いています。また、昨年は歴史的とも言える物価高騰の波が家計を圧迫し、このことから、長らく低迷が続いた日本の賃金を押し上げていこうとする社会全体の機運が高まっているものの、中小企業が多い本市においては、大企業のみならず中小企業においても賃上げのできる国の取り組みが必要であり、それが日本経済の真の回復へとつながるものと考えます。

     物価高騰につきましては、市民の皆様の生活に多大な影響を及ぼしており、国の対策として、住民税非課税世帯等に対する給付金を支給しておりますが、本市の独自施策として、とりわけ負担が大きい、ひとり親世帯や多子世帯の方々への物価高騰対策給付金の支給や、65歳以上の方々に対して、お米やその他食料品等の給付事業を実施しております。先を予測しにくい時代ではありますが、今後も国や府の動向を注視し、市民生活の安定が図れるように効果的な支援策を講じてまいります。

     本市の人口動態につきましては、昨年総務省が発表した令和4年の人口移動報告において、本市は539人の転入超過という結果が出ておりましたが、令和5年においても、522人の転入超過となり、2年連続500人を超える喜ばしい結果となりました。本市の人口移動の傾向として、住み替えの際は、比較的市内からの転居が多いという傾向があることから、住みよさや今まで住み続けていただいた愛着などを理由に選んでいただいていることに加え、交通利便性など本市の住みやすさが徐々に浸透し、市外からも選んでいただけているものと認識しており、実際に若者世代の転入超過数の増加が見られております。これからも住みたいまち、住み続けたいまちとして本市を選んでいただけるよう、とどまることなく努力してまいります。

    東大阪市第3次総合計画で定めた3つの重点施策の取り組みについて

    第1の重点施策「若者・子育て世代に選ばれるまちづくり」

     将来にわたってまちの活力を維持するため、若者・子育て世代から「大阪に住むなら東大阪市」と選んでもらえるまちをめざして、第1次実施計画を推進してまいりました。人口の社会増減の年代別の動向を確認いたしますと、子育て世代の数値が令和4年以降改善していることがデータに反映されており、この流れを止めることのないよう、第2次実施計画期間では、「子どもファースト」の視点を取り入れ、若者・子育て世代に引き続き選んでいただけるような施策を進めてまいります。

     昨年の市長選挙の際、公約に掲げました次世代への投資に関しましては、令和6年度より、小学5、6年生の学校給食費の無償化を実施いたします。現在、国は全国の小中学校に対して給食の実態調査を行っており、今年の夏ごろまでに結果が公表される予定となっておりますが、その成果や課題の分析を注視しつつ、今後も新たな財源確保を行い、対象学年を拡げてまいります。

     次に、子育て家庭への支援につきましては、国は、在宅で子育てを行う家庭を対象とした支援の拡充として「こども誰でも通園制度(仮称)」を創設するにあたり、令和5年度よりモデル事業を実施しておりますが、令和6年度からはモデル事業をさらに拡充させ、今後の本格実施を見据えた形で試行的事業を実施します。本市においても、令和6年度より対応できる民間教育保育施設において、「こども誰でも通園制度」を試行的に実施し、本格実施に向けて課題の把握に努め、多くの子育て世帯が子育て支援施策の充実を実感できるよう取り組みを進めてまいります。

     0歳児から2歳児の保育料無償化につきましては、国が令和元年10月より、子どもの年齢や所得、多子による負担軽減等の条件に応じて、幼児教育や保育の一部無償化を実現しております。異次元の少子化対策として、対象範囲の拡充を国に要望することはもちろんですが、無償化により生じる保育施設利用者の増加など、想定されるさまざまな課題を整理しつつ、必要な財源を確保した上で、段階的に無償化を検討してまいります。

     「市内小中学校の修学旅行の無償化」や、「所得制限を設けた塾代助成補助」につきましては、私の5期目の任期中の実施に向け、手法等の検討を行ってまいります。

     次に、昨年10月に設置した「子どもファースト推進本部」では、まずは子どもファーストを職員一人ひとりが自分ごと化するため、子どもファースト施策に関する職員意識調査を実施しました。併せて、推進本部の主目的である本市に必要とされる子どもファースト政策や次世代への投資を推進するにあたり、全国統一的な水準で制度構築が求められる施策や、子ども・子育て当事者の視点が求められる施策の把握を行いました。これらの結果に基づき、他自治体とも連携し、国への要望を私が先頭に立って働きかけるとともに、各部局における子どもファーストの視点を取り入れた事業の横展開や、子どもの意見聴取手法の検討など、子どもファースト政策においてのロードマップを描いてまいります。

     ICTを用いた教育の推進につきましては、令和3年度に小中学校の児童生徒に1人1台のタブレット端末が配備されたことにより、教育現場においてもICTを活用した教育環境の充実を引き続き進めてまいります。

     年々増加する不登校児童生徒に対する支援として、「ふれあいオンラインルーム」を昨年より設置し、外出することが難しい児童生徒に対し、個々の状況に応じた支援を充実させるため、オンラインによる学習支援等を実施しております。令和6年度からはメタバース(仮想空間)も活用し、より参加しやすい環境を整えていくことで、誰一人取り残されない学びの保障を実現してまいります。

    第2の重点施策「高齢者が活躍するまちづくり」

     これから到来する人生100年時代においては、高齢者の健康寿命の延伸や社会参加の促進、住み慣れた地域での生活支援、ICT技術の活用等が重要となってまいります。令和6年度より「東大阪市いきいき長寿TRYプラン2024」として、高齢者保健福祉計画、第9期介護保険事業計画、認知症施策推進計画がスタートいたします。高齢者があらゆる世代の方とともに豊かにいきいきと暮らせる地域共生社会をめざして、取り組みを進めてまいります。

     令和4年度から開始した介護予防プロジェクト「トルクひがしおおさか」では、趣味性が高く、多くの学びや社会参加につながるさまざまな講座を開設し、これまで介護予防に関心がなかった方々も、楽しみながら継続的に参加できる工夫を行っております。令和6年度はプログラム参加者が地域で活躍できる場づくりをサポートするなど、年を重ねながら一層豊かで元気な生活を送れるよう、継続して取り組んでまいります。

     国の推計によりますと、令和7年には65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症になるといわれております。令和6年1月に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行されたことに伴い、認知症の人を含めたすべての人が、相互に人格と個性を尊重し、支え合いながら共生する社会づくりが求められています。その実現に向け、引き続き「認知症サポーター」の養成に取り組み、幅広く認知症に対する理解を促していくとともに、早期発見・予防などを含め、地域の状況に応じた認知症施策を、総合的かつ計画的に推進してまいります。

     就労意欲のある高齢者の方々へのサポートとしまして、高齢者雇用を希望する企業と、就労を希望する高齢者との合同企業説明会では、多様な勤務形態や職種の提供など、あらゆる就業スタイルを提示するなど、就労を希望する高齢者の選択の幅を広げる取り組みを進めてまいります。

     また、就活ファクトリー東大阪では、令和5年7月より、誰もがキャリアカウンセリングなどのサービスを受けられるよう利用対象者の拡充を行い、高齢者の就労へつなげております。令和6年度は高齢の利用者へアンケートを実施することで、よりニーズにあった施策展開を図ってまいります。

     急速に広がるデジタル化に対応できない方々が取り残されないよう、令和3年度よりデジタルデバイド対策を実施しております。令和5年9月より一人ひとりのニーズに合わせたスマホ個別相談会を行い、参加者からは好評を得たことから、令和6年度においても引き続き実施いたします。より多くの高齢者が、デジタル社会の利便性を享受していただくことで、高齢者の新たな学びや社会参加の促進に取り組んでまいります。

    第3の重点施策「人が集まり、活気あふれるまちづくり」

     令和4年度より開催しております「マスターズ花園」につきましては、「ワールドマスターズゲームズ2027関西」開催への機運醸成のため、引き続き開催いたします。公民連携による持続可能な取り組みとすべく、認知度の向上をめざしながらラグビーの普及および「全国高等学校ラグビーフットボール大会」の支援につなげてまいります。

     新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた外国人旅行者も、令和5年の観光庁のデータでは2500万人まで回復しており、「2025年日本国際博覧会」や、「ワールドマスターズゲームズ2027関西」といった国際的なイベントが今後予定されていることから、大阪や関西には国内外を問わず、多くの旅行者が訪れると想定されます。この機運を逃すことなく、モノづくりをはじめとした本市の観光資源を活かし、交流人口の増加と市内経済の活性化に取り組み、さらなるにぎわいの創出へとつなげてまいります。

     昨年2回目を開催しました「HANAZONO EXPO」につきましては、来場者数も約8万人と、第1回と同様多くの皆様にお越しいただき、幕を閉じることができました。本イベントは、令和6年度をフィナーレとし、いよいよ1年後に開催を迎える「2025年日本国際博覧会」に舞台を移して、「HANAZONO EXPO」で磨きをかけた本市独自のコンテンツを中心として、本市のブランド力をPRする場へとつなげてまいります。

     「2025年日本国際博覧会」に向けて、市内企業を世界にアピールしていく支援事業につきましては、参画が確定した市内企業の積極的なプロモーションを行うとともに、大阪ヘルスケアパビリオン内に設けられる「リボーンチャレンジ」への展示・出展にかかるサポートを行います。世界から多数の来場者が見込まれる万博において「モノづくりのまち東大阪」を効果的に発信し、存在感を高めてまいります。

    3つの重点施策の着実な推進をはかるための、行政が取り組む7つの分野別施策

    分野別施策1.人権・共生・協働

     男女共同参画センター・イコーラムにつきましては、性別にとらわれることなく一人ひとりの能力と個性を発揮できる持続可能な社会を実現するため、さらなる施設機能の充実を進めてまいります。SDGsの目標の1つである「ジェンダー平等の実現」に向け、あらゆる世代に利用される施設をめざして、現在実施している相談窓口やイベント、交流の場の提供に加え、SNSなどさまざまな媒体を活用し積極的な広報を行い、これまで以上に市民の皆様に親しまれる施設となるよう努めてまいります。

     多文化共生社会推進事業の一環として実施しております「東大阪市カラフルコミュニケーションパーク」につきましては、令和6年度も継続して実施いたします。お互いの違いを認め合うためには、相手の立場や背景、そしてそこからくる視点の違いに対する深い理解が必要です。その重要性を子どもたちが自ら学び、理解することで、人権を尊重し、より豊かな共創と協力の精神が培われることから、これからの未来社会を担う人材育成の一助となるよう取り組んでまいります。

     在留外国人の増加に伴い、市内小中学校における日本語指導が必要な児童生徒数が年々増加しております。子どもたちが教育や生活の場で円滑にコミュニケーションを図り、安心できる環境を整備するため、官民連携やDXの活用等も視野に入れながら検討を行ってまいります。

     ひきこもり支援につきましては、内閣府が令和4年に行った調査において「広義のひきこもり」にあたる人の推計は、国民の生産年齢人口の約2%にあたる146万人という結果が出ており、本市においても何らかの支援につながっていない方が相当数存在すると考えられます。当事者や家族の視点に立ち、一人ひとりの状況に応じたきめ細かな支援を行えるよう、引き続き取り組みを進めてまいります。

    分野別施策2.子ども・子育て

     児童相談所につきましては、子ども家庭総合支援拠点をはじめとした子どもと家庭を支える複数の機能を備えるとともに、子育て支援サービスに取り組んできた四条図書館との複合施設として、基本計画の策定を進めております。子どもをキーワードとした各機能の役割を発揮して、相乗効果を生み出し、地域に根差し、親しまれ、本市の子どもファーストの思いを具現化する施設となるよう、検討を行ってまいります。令和6年度においては、児童相談所と既存の相談窓口や子育て支援の機能が一体となって、子どもや家庭への支援を切れ目なく行う体制の構築や、計画的な職員の育成とともに、子どもの権利を尊重する新たな取り組みなど、事業準備を着実に進めてまいります。

     ヤングケアラーへの対応につきましては、これまで各支援機関や市立中学校・高等学校の生徒を対象に実態調査を行い、対象者の把握や必要な支援を検討してまいりました。自ら声を上げづらいヤングケアラーの存在に気づくことができる体制構築をめざし、関係機関の職員等に向けた研修を継続的に実施しております。また、改正児童福祉法を踏まえ、令和6年度より本格実施となる子育て世帯訪問支援事業につきましては、対象世帯を拡充し、子どもが本来の生活を送ることができるよう、引き続き取り組みを進めてまいります。

     日常的な医療的ケアを必要とする児童につきましては、身近にある地域の保育施設を利用できるよう、入園予定の保育施設へ看護師等を派遣し、心身の状況に応じた適切な保育が受けられる体制づくりを進めています。令和6年度からは、看護師等を配置した民間保育施設に対し補助金を支給することで、医療的ケア児の受け入れ体制を拡充してまいります。

     発達に課題を抱える子どもへの早期療育、子育てに不安や悩みを抱える保護者への支援を目的に、市として個別支援に配慮した療育教室を開催しております。子どもの心身のすこやかな育成を図るために、これからも多様化する利用者のニーズに合わせた支援を行ってまいります。

    分野別施策3.教育

     子どもたちがこれからの未来社会を生き抜くうえで必要となる創造力や問題解決力を育むため、探究的で教科横断的な視点に立った学びである「STEAM教育」につきましては、令和5年度よりモデル校2校において関連プログラムを実施いたしました。生徒が自ら問いを立てて試行錯誤を繰り返し、実社会や実生活に学びをつなげていく姿が見受けられており、令和6年度も実施校を広げ、児童生徒の資質と能力の育成につなげてまいります。

     児童生徒の熱中症対策として、令和5年度には市立中学校・高等学校における屋内運動場の空調整備と老朽化に対する改修を実施いたしました。令和6年度は市立小学校において実施し、工事が完了した学校から順次、屋内運動場空調設備の稼働を開始し、良好な学校環境の確保に努めてまいります。

     人生100年時代へと社会が転換する中、より豊かで充実した人生を送る上で、生涯にわたり学び続ける生涯学習は非常に重要です。全世代が豊かな人生を送るための学習環境はもちろん、とりわけ高齢者の生きがいや社会参加の促進にもつながるよう、社会教育施設をはじめとした公の施設の有効活用による自主的・自発的な学習活動の場の提供など、さらなる生涯学習の推進に努めてまいります。

    分野別施策4.スポーツ・文化・産業

     スポーツのまちづくりの推進につきましては、本市をホームタウンとして活動する「花園近鉄ライナーズ」「FC大阪」「大阪ゼロロクブルズ」の3つのプロスポーツチームとともに、スポーツを通じたにぎわいの創出に努めてまいります。また、国の第3期スポーツ基本計画を踏まえ、第2次東大阪市スポーツ推進計画を策定中であり、スポーツを「する」「みる」「ささえる」ことを通じて、すべての人が生涯にわたりスポーツを身近なものとして親しみ、楽しむことができる環境を整え、誰もがいつでもいつまでもスポーツに触れることのできるまちづくりを進めてまいります。

     ウィルチェアスポーツの推進につきましては、「HANAZONO EXPO」などの集客力が高いイベントと同時に体験会や試合を開催することで、多くの方への周知につながりました。また、市立小学校へのウィルチェアスポーツの出前授業なども好評であることから、今後も工夫しながら、より多くの方にインクルーシブに楽しめるスポーツとしての普及促進に努めてまいります。

     現在休館中の郷土博物館と埋蔵文化財センターを統合した新博物館の整備事業につきましては、引き続き基本計画を策定してまいります。また、令和6年度より郷土博物館と埋蔵文化財センター等の所蔵品をデジタルアーカイブとして公開し、市民の皆様が文化財に触れられる機会を確保するとともに、新博物館オープンまでの機運醸成にも取り組んでまいります。

     令和6年9月に開館5周年を迎える文化創造館の記念事業につきましては、「東大阪市愛はぐくむ子どもスクラム基金」を活用し、子どもも楽しめるオペラを上演いたします。文化創造館Dream House大ホールのオーケストラピットを使用した生演奏による上質なオペラを、多くの子どもやその家族の皆様が気軽に体験できる機会を提供してまいります。

    分野別施策5.健康・福祉

     人生100年時代を迎えるにあたり、市民の皆様がそれぞれのライフステージにおいてウェルビーイングな生活を送り続けることが、健康寿命の延伸のためには非常に重要となります。

     大阪府では健康をサポートするアプリ「アスマイル」において、健康活動の記録などによりポイントを付与し、利用者にインセンティブを与え、府民の主体的な健康づくりを促進する取り組みを行っています。令和6年度より、本市においてもこのアプリを活用し、国保加入者が特定健診を受診した際に市独自のポイントを上乗せすることで、現役世代の健康意識や特定健診の受診率向上につなげてまいります。

     企業経営において、近年注目を浴びている「健康経営」という概念は、事業者が労働者の健康を重視することで、事業者にとっては生産性の向上や離職率の低減につながり、労働者にとっては健康を維持しながら職場で働くことで全体のモチベーション向上につながります。中小企業が多い本市において、事業者の健康経営の推進は地域全体の健康増進に寄与することから、令和6年度より、地域全体の健康課題の共有や、情報交換を行う場として「地域・職域連携推進協議会」を設置し、健康寿命の延伸と、職域保健向上に資する連携事業を実施してまいります。

     AYA世代と言われる若年者層のがん患者に対する支援につきましては、就学や就職、子育てなど多様なニーズへのサポートが必要となります。とりわけ、終末期におけるAYA世代のがん患者が、住み慣れた自宅で自分らしく生活を送るために、公的な支援制度が手薄となるはざまの世代であることから、令和6年度より、在宅療養のサービス利用料への助成を行ってまいります。

     働く意欲のある障害者の支援および重度障害者の就労機会の拡大を図ることを目的とした重度障害者等就労支援事業につきましては、 令和5年10月より、現行の障害福祉サービスでは利用ができない時間帯にかかる支援を、就労支援の一環として実施しております。障害を理由として、働く意思と能力がありながら働くことのできない方に対する就労機会を拡大するため、支援学校や事業者にも本事業の周知を行うなど、引き続き障害者の自立と社会参加を促進してまいります。

    分野別施策6.都市・環境

     菅義偉前内閣総理大臣が提唱され、岸田文雄首相が所信表明演説で述べられたライドシェアにつきましては、国土交通省は、昨年12月にライドシェアにかかる方針を発表しました。この方針には、私が参画しております「活力ある地方を創る首長の会」の「地域公共交通小委員会」による「ライドシェア政策提言書」の内容が反映されており、地方が国を動かした良い事例となりました。併せて「活力ある地方を創る首長の会」では、地域における交通の課題解消にライドシェアを活用すべく、「自治体ライドシェア研究会」を発足しました。この研究会ではライドシェアの導入に取り組む自治体を募集し、実装までの事業スキーム等の検討や課題を研究会内で共有することで、より各地域の実態に即した制度となるよう、国と連携しながら進めております。

     本市におきましても、子育て世代や高齢者をはじめとする市民の皆様の移動利便性の向上と、なにより安心してご利用いただける新たな交通手段として、都市部自治体の見本となるような「東大阪版ライドシェア」を構築すべく、公共交通事業者とも共存共栄が図れるよう十分な連携を行い、令和6年度の早い時期からの事業スタートに向けて取り組んでまいります。

     次に、近鉄大阪線の長瀬駅、弥刀駅周辺につきましては、鉄道がまちを分断し、市民生活や経済活動を阻害しているとともに、緊急車両の走行など都市の防災性にも課題があります。まちづくりの観点から、これらの課題改善に大きく寄与する近鉄大阪線の俊徳道駅から久宝寺駅間の高架化について、事業化に向けた大阪府や近畿日本鉄道株式会社との調整、勉強会を本市が主導して実施し、高架化実現に向けた取り組みを行ってまいります。

     環境につきましては、「2050年ゼロカーボンシティ」の実現に向け、市民の皆様、事業者の皆様とともに脱炭素の取り組みを加速していかなければなりません。持続可能な社会を構築するために、より良い環境を次世代へとつないでいくことは、私たちの使命であります。家庭向けの省エネ相談会や事業者向けの環境マネジメントシステムの啓発などを引き続き行うとともに、家庭用の再生可能エネルギー等の設備や、事業者用の太陽光発電設備の導入促進に向け、国の交付金の活用などあらゆる手法を模索し、さらなる取り組みを進めてまいります。

     公共施設のZEB化につきましては、動物指導センターの改修工事の設計において、本市公共施設で初めてZEB Readyの認証を取得しました。また、消防力の強化を図るために新たに整備する(仮称)布施分署についても、ZEB Readyを計画に取り入れることとし、今後も引き続き公共施設のZEB化の検討を進め、「2050年ゼロカーボンシティ」の実現につなげてまいります。

    分野別施策7.防災・治安

     自然災害につきましては、ある程度の予測をもって対応できるものと、元日に発生した能登半島地震のように、突然の脅威として襲ってくるものがあり、災害への備えが改めて重要となります。南海トラフ巨大地震や内陸断層帯地震をはじめとした大規模災害への備えの一つとして、かねてより検討を進めてまいりました防災倉庫の整備に令和6年度より着工してまいります。

     また近年は、我が国のどこかで毎年のように豪雨や大型台風に伴う大規模災害が発生しております。本市の平野部で想定される浸水・氾濫災害を念頭において、市民の皆様が事前に危険箇所を把握し、的確かつ安全な避難ができるよう、昨年度よりハザードマップの更新作業を進めてまいりました。各地で発生している浸水・氾濫災害を本市に当てはめ、流域全体で治水機能の向上をめざす「流域治水」の考えを全国に先駆けて取り入れ、水害と治水に対する市民の皆様の意識醸成と、わかりやすい周知に努めてまいります。山麓地域においても、令和5年度より3年計画で進めている、土砂災害警戒区域のより安全な避難経路と自宅待機の可否等を検討するための基礎資料の作成に加え、令和6年度より土石流の精緻な流出・氾濫シミュレーションを3Dで可視化し、区域内における警戒避難体制を市民の皆様によりわかりやすく示してまいります。

     事前の防災知識と、発災時の適切な行動が、いのちを守ることにつながるということを市民の皆様に改めて認識いただくため、地域の防災訓練やイベント等を通じて、防災意識の向上につなげる取り組みを行ってまいります。併せて、防災の最前線の行動を市民の皆様に実感いただくため、国や大阪府の各機関に加え、警察や自衛隊とも十分な連携をとった上で、より実態に即した災害時の行動に備えた総合防災訓練を実施してまいります。

     治安対策につきましては、刑法犯認知件数は平成13年をピークに減少していましたが、コロナ禍での経済活動の制限が緩和された影響などもあり、令和4年以降増加傾向にあります。女性・子どもを狙った犯罪、特殊詐欺などの重点犯罪については、引き続き市内3警察署と緊密に連携し、被害防止に向けた啓発に粘り強く取り組み、安全で安心なまちづくりに努めてまいります。

    行財政改革について

     これまで述べてまいりました、次世代への投資の加速と子どもファーストを中心とした、各般施策を着実に推進するにあたり、これまでの行財政改革の効果的な取り組みについては継承しつつ、さらなる改革と成長を実感できる取り組みを推進し、健全で持続可能な財政運営を堅持し続ける必要があります。

     令和6年度は、次期行財政改革プランの策定年度となっております。所信表明でも述べました通り、平成17年度から取り組んでまいりました集中改革プランから現在の行財政改革プラン2020まで、着実に効果を上げてまいりました。現行プランの取り組みについての総括を行い、歳入の確保、歳出の抑制、選択と集中、人材の活用などの基本的な方針を中心として、次期プランへと発展的に継承してまいります。また、事務事業については、大きな変化が起きている社会状況の中で、目的が薄れていないか、今日的な目線で改善が行われているかなど、点検を行う必要性を感じていることから、子どもファーストの視点やDXの活用等を踏まえて、事務事業のたな卸しを戦略的に行うと同時に、より適正な事務の執行体制についても幅広く検討の上、プランの策定を進めてまいります。

     行政DXにつきましては、新型コロナウイルス感染症を契機として新しい生活様式に対応するため、本市では来庁せずに手続きを行うことができる電子申請システムを令和3年10月より導入してまいりました。令和5年度までに約800手続きの申請が可能となり、オンライン申請登録者数も6万人を超えるなど、市民の皆様の利便性向上と、業務の効率化に寄与しております。キャッシュレス決済機能や、電子申請が可能な手続きのさらなる拡充をめざし、今後も行政DXによる「行かなくてもよい市役所」を推進してまいります。また、令和2年に総合庁舎の市民課に導入しました異動受付支援システムにより、申請手続きの時間が大幅に削減されたことから、来庁者の窓口での申請書記載の手間と手続き時間の軽減を目的として、全行政サービスセンターにもシステムを導入いたします。

     ふるさと納税につきましては、令和5年度は、令和6年2月現在で4億3千万円を超える寄附をいただいており、前年と比較して1億円以上増額となる見込みです。令和6年度は、庁内関係部局からなる「ふるさと納税推進検討委員会」を活用し、市域の魅力発信とさらなる歳入確保に取り組み、6億円の寄附額をめざしてまいります。併せて、企業版ふるさと納税やクラウドファンディングについては、対象となる事業との親和性を見極めながら活用を進めてまいります。 

     以上、市政運営の基本的な考え方と令和6年度に実施いたします主要な施策について申し述べました。その他の予算の内容につきましては、お手元の予算書にお示しのとおりでございます。

    当初予算について

    本定例会で提案いたします令和6年度当初予算の総額は、

    一般会計で、 2,216億8,333万1千円

    特別会計で、 1,291億2,620万4千円

    企業会計で、  466億5,343万7千円

    となっております。

    最後に

     昨年、無作為抽出により選ばれた、多様な市民の皆様による「ひがしおおさか地方創生ラウンドテーブル」を開催いたしました。「子どもファーストなまちづくり」をテーマとして、自分たちには何ができるか、という「自分ごと化」の視点をもって考えていただいた結果、子育て世代の視点だけではなく車いす生活を経験された方からの視点や、高齢者の視点、子どもに近い若者世代からの視点など幅広い意見交換が行われ、参加者の皆様の満足度も高く、非常に有意義な会議となりました。このような無作為抽出によるご意見をいただける場の設置は、市として初めての取り組みだったのではないかと思っております。子どもに関連する問題は、子どもを持つ親だけの問題ではありません。市民の問題、地域の問題、そして行政の問題として、それぞれが自分ごと化し「何をすべきか」を考える風土をつくりあげていく必要性を感じました。

     ノーベル平和賞を受賞した南アフリカ共和国第8代大統領のネルソン・マンデラ氏は「社会が子どもたちをどのように扱うかということほど、その社会の本質を鋭く暴くものはない」ということばを残しています。これから何十年も先の未来社会を担う子どもたちが、夢や希望をもって生きることのできる社会を、私たちが責任をもって創り上げていかなければなりません。

     子どもファーストなまちづくりはすべての世代に優しいまちづくりになるということを念頭において、活力と魅力あふれる「感動創造都市 東大阪」を実現するため、令和6年度の第一歩を踏み出してまいります。

     議員各位、並びに市民の皆様、事業者の皆様におかれましては、より一層のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げまして、令和6年度の市政運営方針とさせていただきます。

    令和6年度市政運営方針(令和6年第1回定例会)

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