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東大阪市

あしあと

    令和5年度市政運営方針

    • [公開日:2023年3月1日]
    • [更新日:2023年3月1日]
    • ID:35428

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     本日ここに令和5年第1回定例会を迎えるにあたり、市政運営に関する私の基本的な考え方を申し述べます。

     

     まずこの1年を顧みますと、世界的には、ロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルス感染症の影響は続いており、物価高騰や原油高、そして円安の加速など、さらなる課題を突き付けられた年となりました。市内中小企業動向調査報告におきましても、来期以降の見通しについて、不安を感じる市内企業は少なくない、というのが現状であり、市内情勢は引き続き注視する必要があります。しかし、行動制限の緩和が続く中で、社会経済活動が正常に戻りつつあることから、景気は緩やかに持ち直し基調が見込まれており、出口の見えなかったトンネルにようやく光が見えてきたところです。

     また、明るい話題もありました。花園ラグビー場を本拠地とする花園近鉄ライナーズはディビジョン1に昇格し、令和4年12月17日の開幕戦を皮切りに、日本ラグビー最高峰の試合が花園でも開催されており、トップレベルで戦う選手に今後も熱い声援と、変わらぬ支援を続けてまいります。

     そして、本市をホームタウンとするFC大阪は、念願のJリーグへ参入しました。大阪府で3番目となるJリーグクラブの誕生は、27年ぶりとなる快挙であり、今シーズンはさらなる高みをめざしてJ3の舞台に立たれます。本市から新たな歴史の1ページを加えていただけるよう、ますますの活躍に期待し、引き続き支援を行ってまいります。本市を拠点とするプロスポーツチームとは今後もタッグを組み、本市の知名度の向上とにぎわいの創出に努めてまいります。

     さらに、東大阪市が舞台の一つとして選ばれた、NHK朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」の放送が、今月いよいよクライマックスを迎えます。東大阪が毎日メディアに取り上げられ、本市の魅力の再発見はもちろんのことブランドイメージは大きく向上し、まさに舞いあがった1年となりました。

     本市の人口移動の傾向として、転出が転入を上回る状況が続いておりましたが、令和5年1月30日に総務省が発表しました住民基本台帳に基づく令和4年の人口移動報告によりますと、転入が転出を上回る結果となりました。大阪府内では4番目に多い転入超過数でもあり、本市としましては、喜ばしい結果となりました。こうした希望ある話題を追い風に、令和5年度はさらに飛躍していくための大事な年ととらえ、改めて身を引き締めてまいります。

     社会に甚大な影響をもたらした新型コロナウイルス感染症につきましては、ウイズコロナにおける感染症対策のあり方について、行動制限を設けずいかに共存するか、というステージへと移行しつつあります。令和2年1月に国内で感染者が確認されてからは、全国の地方自治体は新型コロナウイルス感染症への対応に翻弄された3年間を過ごしてまいりました。本市も例にもれず、文化複合施設については一旦、凍結する判断をせざるを得なくなるなど、施策の推進に影響を及ぼしました。しかしこの間、博物館法の改正や、行政DXの推進などの社会情勢の変化に伴い、そのあり方について検討する中で、より良い方向をめざして新たな文化財施設の整備として再スタートを切ることになりました。混沌とした予測不可能な時代こそ新たな発想や価値を見出すチャンスであるととらえ、市民の皆様、事業者の皆様の声に耳を傾けながら、基礎自治体としてなすべき施策を引き続き進めてまいります。

     国では、デジタル田園都市国家構想がめざす「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を実現するため、令和4年12月に「デジタル田園都市国家構想総合戦略」が策定されました。デジタルは、地域課題の解決の切り札となるだけでなく、新たな付加価値を生み出す手段としてあらゆる分野で活用が可能です。本市におきましても、「東大阪市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を改訂し、行政と地域のDXを強力に推進してまいります。

     今後の行政DXの基盤となるマイナンバーカードを取り巻く環境につきましては、健康保険証や運転免許証との一体化や電子証明書のスマートフォン搭載などの方向性が示されていることから、本庁のマイナンバーカード交付窓口に加え、新たな交付場所として、布施駅近くに臨時窓口を設置し、普及促進をさらに図ってまいります。一方で、急速なデジタル化に不安を感じる方々を取り残さないよう、デジタルデバイド対策としてスマートフォンに関するさまざまな相談に応じる窓口を設置し、デジタルとアナログそれぞれの良さを活用して過渡期である時代を乗り越えてまいります。

     令和5年度は、東大阪市第3次総合計画第1次実施計画及び第4期市政マニフェストの最終年となります。必要な施策がきちんと実施できているかを捕捉し、着実な実施につなげてまいります。

    東大阪市第3次総合計画で定めた3つの重点施策の取り組みについて

    第1の重点施策「若者・子育て世代に選ばれるまちづくり」

    子どもの成長過程において、子育て世代にかかる経済的な負担は増加してまいります。近年の電気料金の引き上げや物価上昇など、経済的な負担に拍車がかかる一方ですが、子どもの健やかな成長を誰よりも願う子育て世代が、より良い環境のもと、本市で快適に生活をしていただくため、さらなる施策が必要です。そこで、学校給食の食材費等の物価高騰分にかかる支援を、令和4年度に引き続き実施するとともに、中学校給食につきましては、塾や部活動など中学生保護者の家計負担が増すことが想定されることから、恒久的な学校給食費の無償化を実施いたします。今後も子どもたちにとって安全で安心な、栄養価の高いおいしい給食を、質も量も落とすことなく提供してまいります。

    教職員の働き方改革の一環として、統合型校務支援システムを導入するため、令和5年度にその準備を行ってまいります。学校におけるデジタル機器の一層の活用により、教職員の事務的負担を軽減することで、児童生徒と向き合う時間を創出し、さらなる学校教育の充実をめざしてまいります。

    児童相談所の設置に向け、そのめざす方向性を明らかにするために、「東大阪市新たな児童福祉行政の基本方針・児童相談所設置計画」を令和5年3月に策定いたします。児童相談所を開設運営することにとどまらず、これをきっかけに本市の児童福祉行政をどう展開し、充実させていくかを視野に入れ、子ども見守り相談センターとの一体的な運営を図ることで、子どもを支える確かな拠点となり、子どもや家庭とをつなぐハブ機能を発揮できるよう取り組んでまいります。令和5年度においては、人材確保をはじめとした運営体制の整備と、施設整備に向けた基本計画の策定、さらに担うべき機能や事業の具体化に取り組み、開設の準備を着実に進めてまいります。

     国は、子どもが自立した個人としてひとしく健やかに成長することができる社会の実現に向け、令和5年4月にこども家庭庁を創設いたします。教育、少子化、児童虐待など、子どもに関する潜在的課題はおそらく無限にあり、そのひとつひとつに丁寧な対応を積み重ねていくことが必要であると私は考えております。市民の皆様が笑顔になり、笑い声が自然とあふれる「住みたい」「住んでよかった」と思っていただけるような「子どもファースト」なまちづくりをめざしてまいります。

    第2の重点施策「高齢者が活躍するまちづくり」

     令和4年12月末現在の本市の高齢化率は28%で、高齢者の方がいつまでも元気に、生きがいを持って社会で活躍していただくことが本市におきましても重要となります。令和4年度より実施しております新しい介護予防プロジェクト「トルクひがしおおさか」は、「65歳からもグイグイ進もう」を合言葉に、介護予防の無関心層に興味を持っていただけるような趣味性の高いプログラムを実施し、社会参加や生きがいづくりを促す取り組みを行っております。令和4年12月にキックオフイベント「トルクフェスタ」を文化創造館で開催したところ、約70%の方が介護予防・健康事業に初めて参加されており、本事業がめざす介護予防の無関心層へのアプローチ手法に手応えを感じました。社会参加する高齢者が増加することは、転倒や認知症、うつ病の発症リスクを低下させる傾向があり、いつまでも元気に活躍できる環境づくりに向けて、令和5年度も継続した取り組みを進めてまいります。

     また、高齢者の就業に関しましては、就労に関するニーズ調査の結果、就労に意欲を持つ高齢者が54.7%おられることがわかりました。そこで、就労意欲のある高齢者には、スキルアップを図るための就労支援セミナーや、企業と高齢者のマッチングの場となる合同企業説明会の開催など、シニア向け支援メニューの充実に努めてまいりました。一方、人材不足が課題となっている企業に向けて、シニア人材の雇用促進セミナーや活用事例の紹介など、企業がシニア人材に関心を高めていただく取り組みを進めております。令和5年度は、就活ファクトリー東大阪の対象年齢制限をなくし、高齢者も含めたすべての人が相談やカウンセリング等のサービスを受けられるよう、支援の拡充を図ります。今後も少子高齢化が進む中、健康で意欲のある高齢者が労働力の一翼を担える時代となりますよう、引き続き高齢者の雇用促進に努めてまいります。

    第3の重点施策「人が集まり、活気あふれるまちづくり」

     2050年に向けた大阪全体のまちづくりの方向性を示す「大阪のまちづくりグランドデザイン」が令和4年12月に策定され、本市は大阪の中核を担う拠点エリアの1つである「東部大阪 中枢エリア」に位置付けられました。このエリアにさらなる多様な都市機能を誘導し、イノベーションとにぎわいを創出するために、本市が果たす役割は非常に重要となってまいります。また、今月18日にはJRおおさか東線が大阪駅まで延伸され、2024年に第2期のまちびらきが予定されている「うめきたエリア」と直結します。本市は大阪市の中心部と関西国際空港、令和11年開業予定のモノレールの南伸により将来は大阪国際空港へも直結し、府内外へのアクセスがさらに向上することから、関西の自治体の中でも非常にポテンシャルが高い自治体であるといっても過言ではありません。大阪府・市は、東京と異なる個性と新たな価値観を持って対峙する副首都大阪の確立に向けて、副首都ビジョンの改定も予定しております。大阪・関西万博、そしてIRと、今後の大阪の成長と発展を、本市が主体者たる姿勢でリードしてまいります。

     本市におきましても、令和5年3月に「都市計画マスタープラン」を改訂し、モノレール南伸事業や長田・荒本駅周辺の中心拠点のにぎわい創出など、まちづくりに関わる重要な施策に取り組んでまいります。下町や人情といった、本市が長年積み重ねた伝統を、DXやダイバーシティ、ウェルビーイングなどの新たな価値と融合させて本市をアップグレードしながら、庁内はもちろんのこと産官学など多様な主体と共創のもとで、本市のまちづくりを着実に推進してまいります。

     令和4年10月には、「マスターズ花園」の記念すべき第1回大会を開催いたしました。全国から18校の高校ラグビーOBチームが集結し、中には御年91歳の選手も出場されるなど、全国高校ラグビー大会にも負けない熱気と気迫ある試合が繰り広げられ、素晴らしい成功を収めた大会となりました。参加者の満足度も非常に高く、継続開催を望む声も多かったことから、今後は、選手はもちろんご家族にも楽しんでいただける大会へと育てるとともに、現役世代への支援も併せて行ってまいります。

     令和4年度の大阪・関西万博の機運醸成イベント「HANAZONO EXPO」では、当初の想定を大きく上回る約7万人の来場者数となりました。国を含めたあらゆる方面より本イベントについての問い合わせをいただき、反響の大きさに私自身も驚きを隠せませんでした。周辺の自治体へも万博の機運醸成に向けた取り組みが波及しており、本市が果たした役割は大きかったのではないかと感じております。国家プロジェクトである大阪・関西万博を盛り上げるため、来年度も引き続き開催いたします。あわせて、大阪・関西万博に出展をめざす市内企業を支援するため、「大阪ヘルスケアパビリオン」の展示・出展ゾーンに参画する市内企業等に対して、新製品の開発や出展料等の補助を行い、参画企業のプロモーションを実施いたします。大阪・関西万博を契機として、市内企業の高い技術力やチャレンジ精神を刺激してイノベーションを促し、本市全体の経済発展とブランド価値の向上につなげてまいります。

    3つの重点施策の着実な推進をはかるための、行政が取り組む7つの分野別施策

    分野別施策1.人権・共生・協働

     ロシアによるウクライナ侵攻、北朝鮮による拉致問題や度重なるミサイル発射など、世界各地で平和と人権を脅かす行為が後を絶ちません。人権意識の向上のため引き続き啓発に努めるとともに、ジェンダー平等や多文化共生の推進など互いの存在を認め合い、他者の人権を尊重し、すべての人が心豊かに生活できる人権尊重のまちづくりの推進に取り組んでまいります。

     DV対策事業につきましては、令和5年7月を目途に「配偶者暴力相談支援センター」を開設いたします。これにより大阪府へ取り次いでいた証明書の発行業務や、裁判所への保護命令申し立てにかかる支援等が可能となります。相談者にとってより身近な場所で安心して相談できる環境を整備して精神的負担を軽減し、これまで以上に寄り添った継続的な支援体制を整えてまいります。

     多文化共生につきましては、「東大阪市カラフルコミュニケーションパーク」を近畿大学キャンパスと文化創造館において開催いたしました。今後も、子どもたちにグローバルな視点で社会を俯瞰する力と、共生のまちづくりを担う力を育むため、さまざまな国の方と出会い、文化を体験する機会を創出し、子どもたちの未来につながる取り組みを行ってまいります。

     公民連携事業につきましては、令和4年度において、Web会議サービスのZoomを活用した遠隔手話通訳サービスや、シェアサイクルの実証実験事業などを開始し、着実に歩みを進めております。今後も公民連携デスクを中心とした庁内横断的な連携事業を積極的に進めてまいります。

    分野別施策2.子ども・子育て

     病児病後児保育事業につきましては、石切子育て支援センターの近隣にて病児保育室の開設の目途が立ち、令和4年度中には工事が完了する予定となっておりますので、開設に向けて滞りなく準備が進むよう、支援してまいります。

     日常生活を営むために医療的なケアを受けることが不可欠な児童が、保育所等に入所を希望する際には、看護師の配置や設備が整った施設である必要があり、限定的な受け入れとなってしまうのが現状です。令和5年度より、医療的なケアが必要な児童が入園予定となる保育所等に看護師を派遣し、受け入れ体制の充実に努めてまいります。

     ヤングケアラー問題につきましては、対象者を把握するため、各支援機関に対し実態調査を行いました。ヤングケアラーは当事者に自覚がないケースや、家族の問題だからと自分から相談できないケースが多くあることから、SNSを活用するなど相談窓口のさらなる周知や、教育現場や支援機関とも連携を強化してまいります。そして、状況に応じて家事援助や育児支援サービスの提供など適切な支援を引き続き行ってまいります。

     令和5年3月より、すべての妊婦・子育て家庭が安心して出産・子育てができる環境を整備するため、妊娠期から出産・子育てまで一貫して身近で相談に応じる伴走型相談支援と、応援金支給の経済的支援を一体とした「出産・子育て応援事業」を実施いたします。さらに、令和5年度より低所得世帯の初回産科受診料の補助を実施するとともに、産後ケア事業などの支援策を引き続き実施することで、安心して出産・子育てのできる環境の充実を図り、誰一人取り残さない取り組みを進めてまいります。

    分野別施策3.教育

     教科横断的な学びの一つである「STEAM教育」という言葉を耳にする機会が増えました。これは科学や技術、数学などの理数的な学びに、探究的で創造的な学びを加えた教育概念であり、文部科学省もこの学習を推進しております。本市におきましても、子どもたちが新しい時代を築き、生き抜くうえで必要となる創造力や問題解決力を育むべく、HANAZONO EXPO にご協力いただいたSTEAM教育の第一人者である万博プロデューサーの中島さち子氏とともに、子どもたちだけでなく教職員にもSTEAM教育の学びが活かされるよう、モデル校におけるSTEAM教育の実践を通じた取り組みを進めてまいります。

     本市の小中学校における不登校児童生徒数は増加傾向にあり、学校内外の相談・指導につながっていない児童生徒に対し、一人一人に寄り添った対応と適切な教育機会を確保することが求められております。令和5年度はオンラインによる手法を導入し、AIドリル等を活用した学習や相談の支援を実施し、不登校児童生徒等の学びと自立につながる支援を進めてまいります。

     児童生徒の熱中症対策や快適な運動環境を整えるために、市立中学校・高等学校における屋内運動場の空調整備と老朽化に対する改修を、令和5年度にPFI事業として実施いたします。また、小学校における屋内運動場の空調整備等については、令和6年度の実施を予定しております。

     また、ドリーム21におけるプラネタリウムと、野外活動センターにつきましては、令和5年度当初からのリニューアルオープンに向け、各施設において最終的な整備を進めているところです。それぞれの施設の特色を活かした本市の新たな名所として、魅力ある施設となるよう今後も各指定管理者と十分な協議を行ってまいります。

    分野別施策4.スポーツ・文化・産業

     今年はラグビーワールドカップ2023フランス大会が開催されます。本市は、ラグビーワールドカップ2019™日本大会の開催都市でもあり、ラグビーとともに歩んできたまちでもあることから、パブリックビューイングを開催し、フランスの地で誇りと情熱を持って戦う日本代表のつわものたちにエールを送ってまいります。また、花園ラグビー場で開催される花園近鉄ライナーズとFC大阪、大学ラグビーの試合に高齢者の方を無料招待し、スポーツを生で観戦する機会の提供と、スポーツ観戦を通じた高齢者の生きがいづくりにつなげるとともに、花園中央公園のにぎわい創出に努めてまいります。

     文化につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、多くの子どもたちの文化芸術体験の機会が失われている中、生の文化芸術に触れる機会として、市立小学6年生を対象とした「クラシックの時間in文化創造館」を令和3年度より実施しております。子どもたちが一流の音楽を体感し文化に親しむことのできる文化事業として、引き続き実施してまいります。

     文化財施設につきましては、鴻池新田会所が耐震工事のため、また郷土博物館、埋蔵文化財センターにつきましても施設の老朽化のため、令和4年度末をもって一旦休館することになります。長年親しんだ文化財施設の休館が相次ぐこととなりますが、鴻池新田会所につきましては、令和7年度には一新して市民の皆様をお迎えできるよう、着実に整備を進めてまいります。郷土博物館と埋蔵文化財センターにつきましては、令和5年4月に施行される改正博物館法に基づき、子どもたちをはじめ多くの方が本市の歴史と文化財に興味を持ち、郷土への愛着を育むきっかけとなるよう、新たな文化財施設の整備に向けて基本計画の策定に着手いたします。また、本市の文化財のデジタルアーカイブ化を進め、新たな文化財施設の機能、整備計画とリンクさせながら新博物館オープンまでの機運醸成にも取り組んでまいります。

     産業分野につきましては、長引く新型コロナウイルス感染症や、生産年齢人口減少による人材不足、脱炭素経営やDX化など、事業者の皆様はさまざまな課題に直面しておられます。これまでの中小企業診断士による経営相談事業を継続し、生産現場自動化推進プロジェクト事業などの伴走支援に取り組むとともに、中小企業設備投資支援事業の枠組みを変更して、新たに省エネルギー化に向けた生産設備を更新する事業者への支援を行ってまいります。

     また、令和4年度より、日本貿易振興機構へ職員を派遣し、市内企業の海外展開の支援に努めております。令和4年10月には一般社団法人在日アフリカ人ネットワークが主催した「大阪アフリカビジネスフォーラム」が文化創造館において開催され、本市と中小企業基盤整備機構も共催いたしました。今後もさまざまな支援機関と連携しながら、市内企業の成長・発展につながる取り組みを進めてまいります。

    分野別施策5.健康・福祉

     新型コロナウイルス感染症が国内で確認されてから3年がたちますが、この間8回の感染拡大の波を繰り返してまいりました。先般、国は令和5年5月8日に感染法上の位置付けを季節性インフルエンザと同等の「5類感染症」とする方針を固められました。現在、全額公費で負担している医療費や医療提供体制については、急激な負担が生じないよう段階的な移行をめざすと言われており、今後の国の動向を注視するとともに、市民の皆様の安全安心を守るため、保健所職員、市立東大阪医療センターとともに、必要な支援を続けてまいります。あわせて、季節性インフルエンザの同時流行にも注意が必要です。令和5年度より特に重症化しやすい高齢者のインフルエンザワクチン接種費用の自己負担額を1,500円から1,000円に軽減し、さらなる健康維持を支援してまいります。

     3年ぶりに開催されました健康フェスタにつきましては、HANAZONO EXPOのフィールドを活用して開催し、普段はアプローチしづらい層にも健康の大切さを意識してもらう機会を創出することができました。今後も、企業や医療機関と連携し、次世代ヘルスケアやデジタルヘルスの活用も視野に入れ、ウェルビーイング実現に向けて取り組みを推進してまいります。

     高齢化の進展に伴い、今後も火葬需要が増加することが見込まれますが、市内斎場の老朽化が著しく、新たな斎場の整備が不可欠であると考えております。新斎場建設に係る方針を近く示してまいりたいと考えておりますので、今しばらくお時間を頂戴いたしたいと存じます。併せて、整備に向けてのご協力をお願いいたします。

    分野別施策6.都市・環境

     地域公共交通の利用促進につきましては、新たな社会実験として、デマンド型乗合タクシーや定額運賃などの運行手法を、交通事業者の協力を得ながら取り組み、誰もが利用しやすい持続可能な地域公共交通の仕組みを検証してまいります。

     花園中央公園全体の指定管理につきましては、令和5年度より公園内の施設も含めた一体的管理が始まります。各施設の管理や運営が連携することによるにぎわい創出のメリットを活かし、市民の皆様はもとより国内外から多くの方々が訪れる、日本を代表する国際的なエリアとして発展できるよう取り組んでまいります。

     環境につきましては、国は2030年度における温室効果ガス削減目標として2013年度比で46%の削減をめざし、さらに50%削減という目標に挑戦を続けることから、本市では令和5年3月に2つの地球温暖化対策実行計画を改定し、市域全体における温室効果ガス削減の短期目標を26%から50%へと大幅に引き上げます。それに伴い、これまで家庭向けの太陽光発電設備設置などの各種補助を行ってまいりましたが、令和5年度は市内事業者へも新たに太陽光発電設備導入支援を拡大いたします。

     また、動物指導センターの改修にあわせて、府内自治体では先行的となる公共施設のZEB化を進めてまいります。ZEBとは、省エネ性能の高い設備や再生可能エネルギーの導入により、消費エネルギーや温室効果ガスを従来と比べて大幅に削減できる建築物のことでございます。今後も公共施設の大規模改修や新築時には、ZEB化の実現可能性について検討し、環境負荷の軽減に努めてまいります。

     「2050年ゼロカーボンシティ」の実現に向けて行政がイニシアチブを発揮し、市域全体で環境施策を促進してまいります。

    分野別施策7.防災・治安

     防災対策につきましては、災害時の支援物資を集約し各避難所へと配送する重要な拠点となる新たな防災倉庫の整備に向け、令和5年度は基本設計と実施設計を着実に進めてまいります。

     また、現在のハザードマップは、大阪府が公表した最大規模の洪水による浸水の想定を受けて作成したものですが、市民の皆様が実感しやすい、比較的高い頻度で発生する降雨による氾濫や浸水も想定し、簡潔でわかりやすい解説を加えたハザードマップの更新作業を進めてまいります。土砂災害警戒区域においては、土砂流出に対する区域内の危険度のレベルの整理や、指定避難所までのより安全な避難経路の抽出など、土砂災害警戒区域の基礎資料を作成し、山麓地域のより安全かつ確実な避難につなげてまいります。

     特殊詐欺被害対策につきましては、市内6か所の老人センターで特殊詐欺被害防止を目的とした防犯教室を開催したほか、高齢者と接する機会の多い方々を通じての啓発など、被害の多い手口や詐欺被害への注意を呼びかけておりますが、特殊詐欺被害は減少しておらず、さらなる啓発が必要です。引き続き警察と連携し、高齢者に限らず子どもや孫の世代に対しても、効果的な啓発活動を行ってまいります。

    行財政改革について

     これまで述べてまいりました各種施策を推進するにあたり、効果的・効率的な行財政運営は必要不可欠であります。

     行財政改革の取り組みとして、職員数計画に基づく着実な定員管理を行いつつ、児童相談所の設置に向けて必要とされる専門職の確保や育成など、戦略的な体制づくりを進めてまいります。また、令和5年10月に導入されるインボイス制度により、正確な適用税率や消費税額等を伝える必要性が生じてまいりますが、公の施設の使用料等の消費税課税対象となるものにつきましても、検討の必要があるこの機会に、受益者負担の観点も含め一定の方向性について検討してまいります。

     今後の少子高齢化の進展や、生産年齢人口の減少など、歳入と歳出のバランスが崩れる可能性は十分考えられますが、時代の変化にも常に迅速に対応し、立ち止まることなく行財政改革プラン2020に基づいた健全な行財政運営を進めてまいります。

     ふるさと納税につきましては、地域猫の不妊手術を目的としたガバメントクラウドファンディングにおいては219万3千円のご寄附を、また、HANAZONO EXPOの開催支援などを目的とした企業版ふるさと納税においては1,330万円のご寄附を頂き、令和4年度の寄附額は初めて3億円を超える見込みとなりました。企業版ふるさと納税とガバメントクラウドファンディングについては、地方創生に資する事業に対する有効な財源確保手段の一つとして、今後も積極的に活用してまいります。

     本市はかつて、危機的な財政状況に陥ったこともあり、そこからの脱却に向けて、市一丸となって行財政改革に取り組んだことにより、一時は176億円を超える赤字であった国民健康保険事業特別会計の黒字化や、生活保護行政適正化の推進による生活保護費のピーク時からの約60億円の削減など、大きな成果を上げることができました。また、職員数計画の実行による職員人件費の削減、未利用地等の売却及び貸付など、市民サービスの質を維持しながらも、あらゆる角度から最少の経費で最大の効果を上げるためにたゆまぬ努力を続けているからこそ、財源を生み出し、新しい価値を創造することができております。今後におきましても多くの課題はございますが、ひとつひとつ丁寧に、時代に即したあらゆる手段を駆使し、困難を乗り越えた自治体として自信を持って前進してまいります。

     以上、市政運営の基本的な考え方と令和5年度に実施いたします主要な施策について申し述べました。その他の予算の内容につきましては、お手元の予算書にお示しのとおりでございます。

    当初予算について

    本定例会で提案いたします令和5年度当初予算の総額は、

    一般会計で、 2,104億1,153万6千円

    特別会計で、 1,272億6,674万5千円

    企業会計で、  449億8,057万1千円

    となっております。

    最後に

     ラグビーワールドカップ2019™日本大会がアジア初として開催され、記念すべき年となった令和元年10月に、私は再び東大阪市政の重責を担わせていただくことになりました。これまで築き上げてきた実績とともに、ひときわ強い使命感を持って4期目のスタートラインに立ちました。国や府に対しましても、市として直面する課題や現場の声を伝え、積極的に提言を行い、他の市町村を牽引して大きな役割を果たしてきたという自負がございます。ほどなくして、新型コロナウイルス感染症による今まで経験したことのないあまりにも大きな社会変化に直面し、非常に厳しい市政の舵取りを迫られました。しかし、「万物は流転する」という言葉どおり、私たちは常に変わりゆく世界に身を置いているのだということを忘れずに、あらゆる変化を恐れることなく的確に物事を見極め、本市をより良い未来へと導くためのマネジメントを貫いてまいりました。

     教育環境の充実や、児童相談所設置に向けた整備、妊娠・出産・子育てまでの切れ目のない支援の充実、公民連携の推進、スポーツのまちというブランド、マスターズ花園の創設、HANAZONO EXPOなど、活力と魅力あふれる東大阪を創造するため、これまで市民の皆様や事業者の皆様のご協力があったからこそ、思いを一つにして邁進することができているということを、改めて実感しております。

     令和5年度は、子どもたちが笑顔になる、「子どもファースト」の施策に引き続き注力しつつ、いのち輝く未来社会のために、もっと前に、さらに飛躍する「感動創造都市 東大阪」の実現をめざし、力強く歩みを進めてまいります。

     議員各位並びに市民の皆様におかれましては、一層のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げまして、令和5年度の市政運営方針とさせていただきます。

    令和5年度市政運営方針(令和5年第1回定例会)

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