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東大阪市

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    令和4年度市政運営方針

    • [公開日:2022年3月2日]
    • [更新日:2022年3月3日]
    • ID:32760

     本日ここに令和4年第1回定例会を迎えるにあたり、市政運営に関する私の基本的な考え方を申し述べます。

     

     まず、令和2年1月に国内で感染者が確認されました新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活や経済を脅かすウイルスとして変異を繰り返しながら存在しており、出口の見えないトンネルをさまようような状況が続いております。今後も感染症対策と市民活動・経済活動の両立を慎重に行う必要があり、市政運営につきましても難しい舵取りを迫られる場面が想定されます。令和4年度におきましても、引き続き新型コロナウイルス感染症への対応を念頭に置き、感染拡大時と収束時、それぞれに適した施策を、市民の皆様、事業者の皆様に寄り添いながらスピード感をもって対応してまいります。

     3回目のワクチン接種につきましては、2回目の接種後一定期間経過した方から順次接種券を発送しております。今後も引き続き、接種を希望される方が速やかに接種いただけるよう進めてまいります。

     さて、国内の情勢におきましては、令和3年10月4日、岸田文雄氏が内閣総理大臣に就任されました。岸田内閣は、最優先課題である新型コロナウイルス感染症の対応に万全を期すことを前提に、デジタル化や気候変動問題への対応など、新しい資本主義のもとでの成長と分配の好循環を理念に掲げておられます。このような国の動向を受け、本市におきましても市民の皆様、事業者の皆様が成長を実感できる取り組みを進めてまいります。

     また、2025年に開催が予定されております大阪・関西万博に関しましては、一過性のイベントに終わらせることのないよう、SDGsの達成やいのち輝く未来社会のデザインという万博の理念をいかに後世につなげていくかが重要です。万博は企業のみならず、誰もがイノベーションを起こすきっかけとなりうるものです。大阪・関西の成長がモノづくりのまちである本市の発展につながるように取り組みを進めてまいります。

     万博の先にある統合型リゾート(IR)につきましては、令和3年9月に大阪府・市において設置運営事業予定者が決定されました。令和4年2月16日に「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」を大阪府・市、事業者が作成し、議会の同意を得たのちに令和4年4月頃国に提出される予定となっております。新型コロナウイルス感染症の影響により、全面開業の時期が延期されるなど不安要素はありましたが、国が候補地を決定し、大阪府・市が選定されますと、令和11年秋から冬頃の開業をめざすことが示されております。大阪・関西経済の新たな成長の起爆剤となることから、今後もその動向を注視してまいります。

     国内の経済情勢に目を向けますと、令和3年9月30日に緊急事態宣言が解除され、その後は新規感染者数が低位で推移し飲食や宿泊など外出関連業種を含めた本格的な経済活動の再開が進んでおりましたが、「オミクロン株」という新たな変異株の発生により、瞬く間に感染者数が増加する事態となりました。また、原油等の物価高による生産コストの上昇や、デジタル需要増を背景とする半導体不足による生産の制約等のマイナス要因により、生産能力の回復が鈍くなる可能性も否定できず、経済情勢はまだまだ予断を許さない状況です。

     市内の経済情勢におきましても、令和3年10月期から12月期の市内中小企業動向調査の景況感は改善の動きがみられましたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大や原油価格の高騰などの影響が続く中、先行き不透明な状態は続いております。引き続き国の動向を注視しながら、基礎自治体がなすべき施策を展開し、すべての人が幸福を感じることのできる社会の実現に向け、取り組みを進めてまいります。

     令和3年度からスタートいたしました東大阪市第3次総合計画、第1次実施計画も2年目を迎えることになります。人口減少に目を向けると、令和2年国勢調査では、国の総人口の減少と少子高齢化の傾向は鮮明になっております。一方で、東京都や、神奈川県、埼玉県などで人口が増加しており、長年、地方創生が叫ばれておりますが依然として東京一極集中の是正は進んでおりません。本市におきましては、第3次総合計画の人口目標は達成しているものの、8,844人の減少が見られ、人口減少社会への対応を踏まえた重点施策のさらなる取り組みを最適化しながら進めていく必要があります。


    東大阪市第3次総合計画で定めた3つの重点施策の取り組みについて

    第1の重点施策「若者・子育て世代に選ばれるまちづくり」

     まず、公教育における子どもの学力や教育の質の高さを確保し、子育て世代の定住増加につなげてまいります。令和2年度から一部の指定校において、EdTechツールのAIドリルを活用し、児童・生徒一人ひとりの個別最適な学びに取り組んだところ、自ら学ぼうとする意欲の向上と確かな学力の向上が見られました。令和3年度にはタブレット端末が児童・生徒1人1台ずつ配備され、ICT教育に対する環境が整ったことに伴い、令和4年度からすべての小中学校においてAIドリルを導入してまいります。

     また、本市ではベトナム・フィリピンなどの外国籍児童・生徒が増加しており、多文化共生教育の必要性がより高まっております。さまざまな国の文化や歴史に触れ、多様性を認め合うことのできる学習機会を提供する事業として、「東大阪市カラフルコミュニケーション」を実施いたします。地域との連携や多様な方々との交流による年間の学習を通じて、グローバルな視点で物事を俯瞰する力や多様性を理解し、他者と協働しながら豊かな人生を切り拓くことのできる力を育成してまいります。

     若者・子育て世代が安心して暮らすために、妊娠期から子育て期まで、切れ目のない支援を引き続き行ってまいります。

     産後ケア事業につきましては、ショートステイ、デイサービス、訪問型とあらゆるニーズに対応できるよう、各メニューの利用回数を大幅に拡充し、大阪府下市町村の中でも、より充実した支援を実現してまいります。

     子どもの安全につきましては、令和3年に千葉県八街市で下校中の児童の列にトラックが衝突した事故や、宮城県登米市の保育施設に刃物を持った男が侵入した事件は記憶に新しいところです。子どもの安全を確保するため、警察OB職員による交通安全対策や、従前より設置しておりますスクールゾーンや通学路強調シートの改修とともに、車の速度が上がりやすい道路等に通学路強調シートを新設いたします。また、令和3年度は幼稚園・子育て支援センターの7施設に防犯カメラを整備いたしました。これで全学校園および多くの保育施設に防犯カメラが設置されたことになります。引き続き子どもを事故や事件から守れるよう全力を尽くしてまいります。

     近年、家庭の中で親子の間に生じるストレスや経済的な問題、他者とのつながりの欠如など、さまざまな背景が引き金となり児童虐待等の事例が後を絶ちません。本市におきましても、全国の傾向と同様に虐待件数は増加し続けており、子どもの権利を十分に守るためには、支援が必要な子どもと家庭に対し、迅速かつ的確なサポートを切れ目なく行うことが大切です。最善の支援を行うためにも、府が担っている児童相談所機能を、本市が持つことで可能になる子どもへの新たな関わりを含め、児童福祉に関するあらゆる課題を包括的に把握し、一元的に担うことがより実効性のある方策ではないかと考えております。

     児童相談所を概ね5年後に開設することを目標に、新たに担当組織を設置し準備を進めてまいります。本市は、児童虐待という困難な現実に真摯に向き合い、子どもも親も守る、誰一人取り残さないまちをめざして全力で取り組むとともに、子ども・子育てに関するあらゆる施策を本市の実情に応じた最適なものに再構築し、市民の皆様とともに、すべての子どもが夢をもって安心して成長できるまちづくりを進めてまいります。

    第2の重点施策「高齢者が活躍するまちづくり」

     令和2年の国勢調査にて、全国の高齢者の人口が3,603万人、総人口に占める割合が28.6%といずれも過去最高となりました。本市も例にもれず、高齢化率は令和3年度で28.3%となり、人口の約3割が高齢者という状況です。また、本市の要介護認定者の割合は国や大阪府と比較して高く、特に70代後半から要介護認定率が増加する傾向が見られることから、高齢期の早い段階からの介護予防に取り組むことが重要です。これまでの一般介護予防の取り組みでは、参加者の平均年齢は77.5歳と高く、また、男女比については女性が81%という状況であり、参加者は一定の層に固定化されているという状況が見えてきました。そこで令和4年度からは、成果連動型民間委託契約方式、いわゆるPFS方式による民間活力を活用し、これまでアプローチが不十分であった65歳から74歳の方、とりわけ男性をメインターゲットとして、「遊ぶ」「楽しむ」「仲間とつながる」ことを主軸に据えた、魅力的な介護予防プログラムを展開し、介護予防を通じた健康寿命の延伸に寄与するよう取り組んでまいります。令和3年度に実施したオンラインでの体操教室では、当初は操作がおぼつかなかった参加者も、今ではWeb会議サービス「Zoom」を使い、スムーズに教室に参加できるようになり、チャットで参加者同士のコミュニケーションを図っておられると仄聞しております。今後のデジタル社会の進展において、高齢者が取り残されることのないようにオンラインを活用した事業などを通じて引き続き支援してまいります。

    第3の重点施策「人が集まり、活気あふれるまちづくり」

     新型コロナウイルス感染症の影響により、イベントの延期、中止、縮小が相次ぐ中、令和3年10月2日に十分な感染症対策のもとで「花園ラグビーの日制定記念イベント」を開催し、約7,000人の参加者を集め大成功を収めました。イベントでは来場された皆様の生き生きとした姿を拝見し、リアルで楽しむ大切さを再認識いたしました。大阪・関西万博のテーマ事業プロデューサーの一人であるメディアアーティストの落合陽一氏は、コロナ禍において活動を制限された人々に対し、人類はもっと「祝祭性」を生かしていかなければならないと言われています。「祝祭性」とは、文字のごとく祝いごと、祭りごとですが、それらを楽しむ際の他者との共感や、気分の高揚を表しているものであると考えます。コロナ禍により活動を制限された私たちは、技術の進歩により、外出せずとも家にいながら仕事ができ、友人ともパソコン越しに会話ができるようになりました。それは私たちにメリットとなった反面、何か物足りなさを感じたのは、コロナ禍により失われた「祝祭性」が原因の一つであったのかもしれません。感染症の拡大と収束は今後も繰り返されると想定されますが、できうる限りの対策を講じつつ、市民の皆様が安心してリアルを共有できる場づくりを引き続き進めてまいります。

     令和4年度には、「花園ラグビー週間」にあわせて、花園ラグビー場において「マスターズ花園」を開催いたします。学生時代憧れであった花園で、ラグビーに青春を捧げたマスターズ世代が再びグラウンドに立ち熱い闘いを繰り広げることで、ラグビー界を盛り上げ、高校ラグビーの支援につながる大会となるよう、鋭意準備を進めてまいります。

     また、本市では、花園中央公園を未来社会の実験場に見立て、関連団体や企業と連携しながら「大阪・関西万博」の機運醸成と本市のイノベーションに寄与することを目的として、令和4年11月に「(仮称)HANAZONO EXPO」を開催いたします。市民の皆様、事業者の皆様が未来技術に直接触れる機会を創出し本市の発展、未来構築につなげてまいります。

     大阪府では現在、「新しいまちづくりのグランドデザイン」の策定を進められております。この計画は、現行のグランドデザイン策定後に生じた社会情勢の変化や新たな潮流を踏まえ、現在の考え方を整理・統合し、2050年に向けた大阪全体のまちづくりの長期ビジョンを示すものとして令和4年中の策定をめざされております。令和3年12月に開催されたキックオフとなる推進本部会議には、大阪府市長会会長として私も出席いたしました。地域の核となる拠点形成や特色あるまちづくり、豊かな自然環境を生かした取り組みなどにつきましては、高井田のモノづくり拠点や長田・荒本の中心拠点、生駒山系と山麓のつながりなど、本市域の特色とも一致いたします。今後は、大阪中心部の各拠点から本市のこれらの資源を有機的につなげ、夢洲から新たな知の拠点となる森之宮、東大阪のモノづくり、学研都市の先端技術拠点までの軸、ある意味で新たな日本の国土軸となりうるエリアをいかにして、イノベーションの拠点にしていくかが重要であると考えております。また、まちなかのパブリック空間で多様な人材が出会い、集い、交流することができるよう、「人」中心の居心地が良い都市空間の創出を進めるべく、本市においてもグランドデザインの策定動向を注視し、大阪府と積極的に協議を進めてまいります。

     新型コロナウイルス感染症の影響により、働き方やサービスに大きな変化が訪れました。このような状況の中、新しいビジネスを始めようと起業する人が全国でも多くおられます。大阪も例外ではなく、令和3年4月から9月までの新設法人数の増加率は、前年同期比で38.5%と、全国の34.6%を上回っております。多くの企業が集積し、大学のまちでもある本市において経済活動を活性化するには、さまざまな世代や業種の人が創業及び交流し市に定着していただけるよう、創業に関する支援など、新たなチャレンジを応援し、企業が多く誕生する風土を作るべく積極的に取り組みを進めてまいります。

     今年の秋には、NHK朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」の放映が決定しております。内気なヒロインがモノづくりのまち東大阪と自然豊かな長崎県五島列島で人間として成長しながら大空を飛ぶ夢に向かうストーリーであると聞いております。国民的ドラマの舞台に本市を選んでいただいたことは非常に光栄です。ドラマを通して東大阪市の魅力を多くの人に知っていただくとともに、オール東大阪でこの好機を生かす取り組みを行い本市のさらなる飛躍につなげてまいります。

    3つの重点施策の着実な推進をはかるための、行政が取り組む7つの分野別施策

    分野別施策1.人権・共生・協働

     DV対策事業につきましては、専門相談窓口を開設して以降、相談件数は年々増加しております。これまで以上に被害者に寄り添った継続的な支援を実施するため、令和5年度中に配偶者暴力相談支援センター機能を備えるべく必要な準備を進めてまいります。

     人権とは人間が人間らしく生きる権利であり、誰にとっても尊重されるべきものです。人権を侵害する北朝鮮の拉致問題は、日本の主権を侵害し日本国民の生命と安全を脅かした重大な問題です。令和3年度はすべての拉致被害者を取り戻すためのシンボルであるブルーリボンにちなみ、花園ラグビー場のメインゲートのブルーライトアップを行うとともに、横田拓也さんの講演を開催するなど拉致問題の啓発を通じて市民の人権に関する意識の向上に取り組みました。今後もさまざまな人権問題について講演や各般事業を継続的に行ってまいります。

    分野別施策2.子ども・子育て

     病気等により集団保育が困難な場合に子どもを預かる病児保育施設につきましては、コロナ禍とも重なり、未だ当該施設のない東部地域での開設には至っておりませんが、ようやく整備の目途が立ちつつあります。また、令和3年度は既存の2か所の病児保育施設にネット予約のシステムを導入し、利用者の利便性の向上に取り組んでまいりました。今後もより便利に、安心してご利用いただける取り組みを検討してまいります。

     令和4年度中には(仮称)石切子育て支援センターがオープンし、これにより本市の子育て支援センターの整備計画が完了いたします。こちらの施設では一時預かりを行うことで、不定期就労やリフレッシュなど保護者のニーズに的確に対応することが可能となります。地域に愛され頼りにされるような施設を地域の皆様と作り上げてまいります。

     ケアを要する家族のために、本来大人が担うような家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもは「ヤングケアラー」と呼ばれています。国が令和2年度に行った調査では、中学生のおよそ17人に1人存在することがわかりました。本市においても、ヤングケアラーの支援に関わる部局で庁内連絡会を立ち上げ、その実態を把握するため取り組みを進めております。ヤングケアラーの支援には、対象となる子どもを早期発見することが不可欠ですが、当事者は、ヤングケアラーとしての問題を抱えていることに気づきにくいのが現状です。遅刻や欠席など、ヤングケアラーの子どもが出すわずかなサインを見逃すことのないよう、関係部局が連携し、相談窓口や必要な支援策の構築に努めてまいります。

    分野別施策3.教育

     児童・生徒の熱中症対策として、避難所の暑さ対策も兼ねて進めている学校体育館への空調整備につきましては、体育館外壁の改修や、照明のLED化などと合わせ、PFI方式で実施することを決定し、令和5年度の整備着手に向け、事業者の選定を進めてまいります。

     中学校給食につきましては、あたたかい給食を提供できる食缶方式を採用し、令和元年度より段階的に実施してまいりました。令和4年度から全中学校での完全給食が実現いたします。生徒の健全な心身の育成に資するよう、安全でおいしい給食の提供を行ってまいります。

     ドリーム21につきましては、開設以後30年にわたり、科学・文化・スポーツを通じ、人間性豊かな子どもの育成に取り組んでまいりました。令和4年度は、老朽化したプラネタリウムを、話題性のある最新設備でバーチャルな星空を鑑賞いただけるスポットとしてリニューアルし、花園中央公園全体の活性化にもつなげてまいります。

     野外活動センターにおきましては、1年を通して四季を感じることのできる自然環境や大阪平野の眺望など、大きなポテンシャルを秘めております。その魅力を最大限に活用し、自然の中での活動を通じて、青少年の健全な育成を図るとともに、市民の皆様にも十分満足いただけるようなコンテンツの構築やコミュニケーションづくりの場などの環境整備を進め、大人も子どももワクワクする施設づくりに取り組んでまいります。

    分野別施策4.スポーツ・文化・産業

     スポーツにつきましては、本市を拠点に活動する花園近鉄ライナーズやFC大阪、06ブルズなどのスポーツチームを市民の皆様と一体となって応援してまいります。また、令和3年11月には、その3チームが競技の垣根を越え、市民の健康増進とスポーツを通じた地域活性化を目的に「ジョイントハンズ花園」を結成されました。今後は本市のさまざまな事業で連携いただくなど、「スポーツのまち」の実現に向けより良い共創を進めてまいります。

     ウィルチェアスポーツにつきましては、日本車椅子ソフトボール協会と締結しているパートナーシップ協定に基づき、令和3年7月に、車椅子ソフトボール日本代表チームの合宿誘致が実現しました。日本代表チームには東大阪市の名称と市章のロゴが入ったユニフォームでプレーしていただくとともに、市民の方と日本代表選手が交流できる体験会を行うなどウィルチェアスポーツの普及振興にも取り組みました。今後も、誰もが一緒に楽しむことができるインクルーシブなスポーツとして推進し、共生社会の実現に寄与できるよう努めてまいります。

     文化につきましては、心に安らぎや潤いをもたらしてくれる大切なものです。令和3年度は子どもたちを文化創造館の大ホールに招待し、プロのオーケストラの迫力ある生演奏を体感してもらうことができました。市民の誰もが文化芸術の素晴らしさを感じていただける取り組みを今後も積極的に進めてまいります。

     鴻池新田会所においては、重要文化財建造物の耐震診断が完了いたしました。文化庁と大阪府の協議の上、令和5年度より耐震補強工事を実施する予定のため、やむを得ず一般公開を一時中止する必要があります。史跡の保存活用計画を策定し、本市の歴史を感じ、郷土への愛着を感じていただける施設として、装い新たな鴻池新田会所の姿を早期にお披露目できるよう取り組みを進めてまいります。

     文化複合施設につきましては、整備事業を一旦凍結しておりました。この間、デジタル化の進展や新しい生活様式の推奨といった、当初想定していなかった社会状況の変化の中、国の施策や文化財保護法の改正などを背景に、ICOM京都大会2019に参加した自治体としての知見を踏まえ、ニューノーマル時代に最適な施設としてのあり方を検討する必要があります。加えて大阪府のグランドデザイン・大阪都市圏においても、自然や歴史・文化等の資源を活かした生駒山系の広域的なまちづくりを挙げられておりますことから、昨今の時代背景と生駒山系エリアの価値を高める可能性を秘めた自然・歴史・文化資源の活用について、早急に検証を進め、その上で最適な施設の方向性を見出してまいります。

     産業につきましては、未だに続くコロナ禍の影響により、事業者の皆様からさまざまなお困りの声もお聞きしています。資金繰りや新しい生活様式への対応方法など、中小企業が抱える多様な課題の解決に向けて、中小企業診断士による企業経営サポート事業を引き続き実施してまいります。

     雇用につきましては、令和3年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業に対し70歳までの高年齢者の就業機会の確保が努力義務として設けられました。令和3年度に収集した高齢者の就業に関するアンケートの結果を分析し、令和4年度以降は企業と高齢者、それぞれのニーズに応じたマッチングの機会提供や、高齢者向けのセミナーを新たに開催するなど、高齢者があらゆる場面で輝くまちづくりをめざして取り組みを進めてまいります。

    分野別施策5.健康・福祉

     新型コロナウイルス感染症対応につきましては、「オミクロン株」という新たな変異株の発生により、今までにないスピードで感染が拡大いたしました。本市におきましても大幅な感染者数の増加を記録しており、新型コロナウイルス感染症の相談や、疫学調査の対応、自宅療養の方に対する支援など、市民の安全・安心を守るために、保健所職員はじめ、全庁あげて対応しております。今後も引き続き適切かつ必要な支援を続けてまいります。

     市立東大阪医療センターにおいては、新型コロナウイルス感染症に対し、中河内救命救急センターと連携し、妊産婦や乳幼児も含め軽症中等症から重症までの治療にあたり、府内医療機関でもトップクラスの陽性患者数を受け入れながら、一般急性期医療の両立に全力で取り組んでおります。令和4年度は、大学病院に準じた診療機能を有するDPC特定病院群の指定をめざすと聞いております。市民の命と健康を守る「最後の砦」として、引き続き必要な支援を講じてまいります。

     80代の親が50代の子どもの暮らしを経済的に支える家庭状況を指す「8050問題」や、子育てと親族の介護が同時期に発生する「ダブルケア」など、市民の皆様が抱える課題は複雑化・複合化しています。1つの窓口では解決しきれない課題に対応するため、市民の皆様の困りごとをまずは受け止め、関係機関の連携により課題解決を進めていく重層的かつ包括的な支援体制を整備してまいります。

    分野別施策6.都市・環境

     大阪モノレール南伸事業につきましては、令和11年の開業に向け、周辺整備事業を着実に進めております。モノレールの新駅の予定地である本庁舎東側のイオン跡地につきましては、「荒本北二丁目地区地区計画」を策定し市の中心拠点にふさわしいにぎわいとゆとりが調和した、市内外から多くの人が集う新たな駅前拠点をめざしてまいります。また、長田駅周辺につきましては、官民のさまざまな人材が集まるエリアプラットフォームを構築し、「市の中心拠点」にふさわしいまちの将来像の検討を進めてまいります。

     地域公共交通の利用促進につきましては、市民の皆様が移動する際の利便性の向上と外出機会の促進を目的に、令和3年12月より電車・バスの利用が不便な地域にタクシー乗り場を設置しました。この社会実験を踏まえて、新たな交通施策につなげるよう検討してまいります。

     花園中央公園につきましては、公園利用者の為の複合施設である「ファミリーガーデン」が令和4年秋にオープンする予定となっております。今後も引き続き、公園のにぎわい創出に努めてまいります。

     空き家対策につきましては、危険な空き家は解体を促進し、使える空き家は利活用を促進する取り組みを、民間事業者と協力し実施してまいります。近畿大学建築学部地域マネジメント研究室にて作成いただいた、眠っている空き家・空き地の利活用をサポートするサイト「東大阪市ストックバンクProject」や、市のウェブサイトにて空き家の活用事例等を発信し、同様の活用モデルを市内の各地域に波及させる事で空き家の利活用を促進してまいります。

     良好な都市景観や居心地の良い空間の形成により、人々が集う環境を創出することで、地域への愛着やまちの個性を育み、住む人や訪れる人にとって魅力のあるまちづくりを進めてまいります。本市の観光資源である生駒山やその山麓からの人の流れが期待できる東石切公園を、大阪平野が一望できるビュースポットとして整備し、ポケモンのマンホールや夜景を目的に訪れた人が、心地よく過ごせる空間を提供してまいります。

     環境につきましては、本市では令和2年に「2050年ゼロカーボンシティ宣言」を行い、家庭の省エネ相談会や大学・企業と連携した環境教育などを通して、家庭でできるCO₂排出抑制の取り組みを周知してまいりました。国が2030年度における温室効果ガス削減目標を2013年度比で46%とする新たな計画を策定したことを受け、令和4年度には本市の地球温暖化対策実行計画を改定し、最終目標である「2050年の温室効果ガス排出実質ゼロ」の達成に向けた取り組みを加速してまいります。

     公共施設等のLED化事業につきましては、まずは、本庁舎の照明設備のLED化に取り組みました。これにより、年間290tのCO₂の削減を見込んでおります。令和4年度は条件の整った外部施設よりLED化を順次導入し、省エネルギー化と脱炭素化を推進してまいります。

    分野別施策7.防災・治安

     近年日本では毎年のように全国各地で自然災害が頻発しております。予測することが難しい自然災害に対しては事前に想定し準備をしておくほかなく、本市においても大規模災害時を想定した防災力の向上、防災施設の整備は不可欠であります。災害時における地域や各防災関係機関との連携を強化するとともに、時勢を踏まえた効果的な訓練を実施し、激甚化・頻発化する災害に備えた体制構築を図ってまいります。

     特殊詐欺被害対策につきましては高齢者への振り込め詐欺被害防止対策機器の貸し出し、被害防止のための啓発を引き続き行ってまいります。また、近年多発するサイバー犯罪については、大阪府警察本部との協定に基づき、被害防止に向けた啓発活動を推進してまいります。

    行財政改革について

     これまで述べてまいりました各種施策を推進するにあたり、効果的・効率的な行財政運営は必要不可欠であります。引き続き、行財政改革プラン2020の着実な推進と、安定した健全な財政基盤の堅持に注力してまいります。

     国におきましては令和3年9月にデジタル庁が発足し、地域の課題解決をデジタル化により推進し、地方から国全体へのボトムアップによる成長を実現するための「デジタル田園都市国家構想」を掲げられました。本市におきましても、デジタル技術やデータを活用した、利用者目線での行政運営の効率化を図り、市民の利便性の向上につなげていくことを目的として、令和4年2月に「東大阪市デジタル・トランスフォーメーション推進方針」を策定いたしました。「行政サービスを変える」、「学校を変える」、「市役所を変える」の三つの柱を基盤として、デジタル社会に対応した東大阪市に変革してまいります。

     本庁舎2階と3階の市民生活部及び税務部の窓口につきましては、新型コロナウイルス感染症を契機とした新しい生活様式への対応や行政DXに備え、令和4年7月にリニューアルいたします。待合スペースの拡充とユニバーサルデザインの導入に加え、引き続き丁寧な来庁者対応を行うことでホスピタリティ溢れた窓口環境を実現いたします。

     以上、市政運営の基本的な考え方と令和4年度に実施いたします主要な施策について申し述べました。その他の予算の内容につきましては、お手元の予算書にお示しのとおりでございます。

    当初予算について

    本定例会で提案いたします令和4年度当初予算の総額は、

    一般会計で、 2,098億3,361万2千円

    特別会計で、 1,295億5,636万2千円

    企業会計で、   449億3,301万3千円

    となっております。

    最後に

     最近「well-being」ということばをよく耳にするようになりました。「肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態」のことで、個人がより良い状態で幸せと感じているという意味です。コロナ禍により、パラダイムシフトが加速して、人生を見つめなおす人も増える中で、この「well-being」という概念はますます注目を集めています。かつてはモノを所有する物質的な豊かさで人の幸せは考えられていましたが、これからはモノだけではなく、多様な豊かさによる、「well-being」が実現する社会をめざさなければなりません。約100年前に宮沢賢治が残した、「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という言葉があります。これは、一個人だけが幸せであれば良いというものではない、ということを示唆している言葉と読み取れます。世界中のすべての人の、十人十色な、多様な幸せの実現のためには、いかにお互いがつながり、ひびきあい、輝くことができるかが重要となるのです。

     私が左胸につけておりますSDGsGEARのバッジは、モノづくりのアイデンティティでもある歯車をモチーフに、本市に関わるすべての人が歯車のごとく、互いにかみ合い力を伝え合うことで持続的かつ加速度的にSDGsの目標達成に向け取り組むことで、本市の未来へつなげていきたいという思いを込めております。

     新型コロナウイルス感染症との闘いはこれからも続きますが、本市に関わるすべての人が、それぞれの多様な幸せを実感いただける「well-being」なまちづくりに向け、誰一人取り残さない「感動創造都市 東大阪」の実現につなげてまいります。

     議員各位並びに市民の皆様におかれましては、一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げまして、令和4年度の市政運営方針とさせていただきます。

    令和4年度市政運営方針(令和4年第1回定例会)

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