中東呼吸器症候群(MERS)について
中東呼吸器症候群(MERS)は、2012年に初めて報告された新しい種類のコロナウイルスによる感染症です。
中東地域に居住または渡航歴のある方、あるいはMERS患者との接触歴のある方からの患者発生が継続的に報告されています。
現在、日本国内での発生は確認されておりません。

原因と感染経路
人がどのようにしてMERSに感染するかは、まだ正確には分かっていません。
ヒトコブラクダがMERSウイルスの感染源動物のひとつであるとされています。
その一方で患者の中には動物との接触歴がない人も多く含まれています。家族間や、感染対策が不十分な医療機関における患者間、患者と医療従事者間など、濃厚接触者間での感染も報告されています。

症状と経過
主な症状は、発熱、咳、息切れなどです。潜伏期間は2から14日間(平均5日)です。下痢などの消化器症状を伴う場合もあります。症状が現れない方(無症状病原体保菌者)や軽症の方もいますが、高齢の方や糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患をお持ちの方は重症化する傾向があります。

治療方法
特別な治療法はなく、症状に応じた対処療法がおこなわれます。
現在MERSに対するワクチンはありません。

予防対策のポイント
海外渡航時には渡航先での流行状況を確認し、手洗いの励行や動物との接触を避けるなど、一般的な衛生対策を心がけることが大切です。

感染の疑いがある場合
中東地域等、MERS患者の発生が報告されている地域から帰国後14日以内に、発熱や咳などの症状がみられたら、直接医療機関には行かず、保健所に連絡の上、流行地域等に滞在していたことを告げてください。念のため、感染の疑いのある方と同居する家族の方も、不要不急の外出をさけてください。
帰国時に発熱や咳などの症状がある方は、空港内等の検疫所へご相談ください。
症状がある間は、他者との接触を最小限にするとともに、咳エチケット(咳・くしゃみをする際に、マスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえる)を実行してください。

医療機関の方へ
MERSの届出基準(別サイトに移動します)に該当する疑い症例があった場合は、直ちに最寄りの保健所まで電話でご相談ください。
