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東大阪市

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    平成27年度市政運営方針

    • [公開日:2015年3月9日]
    • [更新日:2021年3月10日]
    • ID:14847

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    平成27年第1回定例会における野田義和市長の市政運営方針です。

    ~平成27年3月2日~

     本日ここに平成27年第1回定例会を迎えるに当たり、市政運営に関する私の基本的な考え方を申し述べさせていただきます。

     私は、平成23年10月に市民の皆さまから2期目市政の舵取りを任され、この3年余り、渾身の勇をふるい、市政運営に邁進してまいりました。この間、市民の皆さまと喜怒哀楽を分かち合い、多くの方から叱咤激励を受け、職員と労苦をともにし、また、議会の皆さまの多大なご理解とご協力をいただきながら、奮闘努力してまいりました。

     2期目市政では、1期目に引き続き、市政マニフェストの推進を軸として、スピーディーかつ力強く各般の施策を推進してまいりました。

     まず、公共施設再編整備計画の策定や住工共生のまちづくり条例の制定、東大阪市版地域分権に向けた取り組み等、本市の新しいまちの姿を描き、まちづくりの大きな方向性を定めました。また、子育て支援センターの整備や子ども医療費助成制度の拡充等、市民サービス向上に直結する取り組みを進めてまいりました。

     また、小中学校校舎や防災関連施設の耐震化、防災システムの整備、浸水対策の推進等、市民の安全・安心を守る施策を実施いたしました。さらに、新集中改革プランの着実な実行等により、行財政運営の基盤強化を図ってまいりました。

     こうした結果、今、本市は、まちづくりの礎を固め、輝かしい未来への着実な一歩を踏み出しつつあると確信しております。この確信の上に立って、私は、引き続き、市長として、市民の皆さまと一緒に、わが愛する東大阪市のさらなる発展、飛躍を成し遂げたいという熱い思いを強く抱くに至りました。

     私は、今秋に行われます市長選挙において、三たび、市政運営の重責を担うべく、市民の皆さまに信を問う決意をここに表明いたします。

     

     さて、この1年間の政治、経済状況を振り返ってみますと、政府は、長期にわたるデフレからの脱却と富の拡大を目指し、アベノミクスを推し進めています。

     その一方、昨年4月に消費税率が8%に引き上げられました。増税に伴う景気の失速が懸念される中、首相は、消費税率の再度の引き上げを1年6か月先送りすることを決定するとともに、衆議院を解散いたしました。総選挙の結果、政権与党は引き続き安定多数を確保し、安倍内閣は新たなスタートを切ることになりました。

     また、日本銀行による金融緩和策等により、株高、円安が進みました。政府は、株価、企業業績、雇用等、多くの経済指標は、著しい改善を見せていると評価しております。

     しかし、残念ながら、東大阪市の中小企業には、まだ、その恩恵は届いておりません。市内中小企業動向調査報告の概況では、製造業の景況が3期連続でマイナス値となるなど、消費税増税に伴う反動減や円安の進行等により、景況は停滞気味であるとされており、先行きは、決して楽観を許すものではないと認識しております。

     統計によると、本市の製造業で働かれている従業員の6割以上の方が東大阪市民であります。私は、市内中小企業は、本市の存立基盤であると同時に、日本の産業、経済をも支える屋台骨であると常々思っております。まずは、その中小企業が、利益を出して、そこで働く人たちの給料が上がり、その上がった給料で、地域の小売業、飲食業やサービス業でモノを買い、楽しんでいただく、こういった形での経済の好循環が実現されなければ、地域が活気づくことはなく、また、強い日本経済を取り戻すことはできません。

     私は、中小企業のまち東大阪市を預かる市長として、国の緊急経済対策を活用した施策の実施や住工共生のまちづくりの推進等、可能な限りの具体的な手立てを実施する一方で、国に対してメッセージをしっかりと発信することにより、市民生活と地域経済を守ってまいります。

    平成27年度の市政運営にあたっての4つの柱

     さて、平成27年度に向けては、ラグビーワールドカップ開催都市の発表、子ども・子育て新制度のスタート、地方教育行政制度の改革等、国等による大きな動きが予定されております。本市は、これまでのまちづくりの方向性をしっかり見すえつつ、新たな流れに機敏に対応し、施策を展開してまいります。

     このような考えの下、平成27年度の市政運営に当たっての4つの柱を申し述べます。

    東大阪市の新たなシンボルの創造

     第一の柱は、東大阪市の新たなシンボルの創造であります。

     ラグビーワールドカップ2019の開催都市が、まもなく、ワールドラグビーから発表されます。長い道のりであった誘致活動のゴールは目前であります。私は、花園が開催地として決定されることを確信しているところであり、この千載一遇の好機を活かし、本市の魅力を世界へ発信できるよう取り組んでまいります。

     また、花園ラグビー場は、ラガー憧れの聖地であることはもとより、歴史と伝統ある日本初のラグビー専用スタジアムであり、ラグビーのまちを標榜する本市にとって、絶好のシンボルとなる施設であります。平成27年4月から本市が供用開始することに伴い、今後の運営に当たりましては、市民にご利用していただける機会を増やすなど、市民の皆さまに、より親しまれる施設となるよう、整備を進めてまいります。

     また、ラグビー場が立地する花園中央公園は、緑豊かな環境に加え、本格的な野球場やドリーム21、ラガーステーション、市民美術センター等、スポーツから文化まで、子どもからお年寄りまでが楽しめる、素晴らしいポテンシャルを持つ公園であります。その魅力を十分に発揮し、にぎわい、憩い、防災等、まちづくりの核として整備するよう努めてまいります。平成27年度は、ラグビーのまち東大阪の夕べとナイトミュージアムを開催し、スポーツと文化の魅力を多くの来訪者と市民に味わっていただくなど、公園の魅力を引き出し、高める取り組みを進めてまいります。さらに、市民の皆さまの緑化活動の拠点となる(仮称)緑化センターの整備に向け、設計に着手するとともに、東花園駅前からのアクセスルートについても、詳細設計に着手し、周辺地域を含めた環境整備を図ってまいります。

     市民の皆さまの待望久しい新市民会館については、昨年10月に基本構想を策定いたしました。基本コンセプトは、「鼓動・協働・躍動ワタシを動かす場所 ~ワクワク・感動工場~」であります。このフレーズを初めて耳にしたとき、私は、市民の皆さまをはじめ多くの人が集い、憩い、笑顔で楽しむ姿が目に浮かび、心が躍りました。現在、建設、運営に際し、最適な事業手法を検討しているところであります。その結果を踏まえ、中核市・東大阪市の新たなシンボルとしてふさわしい、文化芸術の創造と発信の拠点として、平成31年度の完成を目指し、スピーディーに整備を進めてまいります。

    人口減少問題への対応

     第二の柱は、人口減少問題への対応であります。

     昨年11月、政府は、人口減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくため、「まち・ひと・しごと創生法」を制定いたしました。

     本市においても、今後、急激な人口減少と高齢化が予測されている中で、将来にわたり、活気に満ちた東大阪市をつくるためには、若者が安心して働き、自らの希望に基づき結婚し、子どもを産み、育て、本市に愛着を持ってもらう環境をつくることが必要不可欠であります。私は、日本社会が直面している、この未曾有の変化をチャンスとすべく、特に、子育て支援や雇用施策の充実、新たな観光まちづくりの推進等、本市の特色を活かした東大阪市版「まち・ひと・しごと総合戦略」の策定に取り組んでまいります。

     計画のスタートに先立つ平成27年度では、まず、子育て支援施策につきましては、「東大阪市子ども・子育て支援事業計画」を核として、さらなる充実を図ってまいります。

     妊娠、出産の支援につきましては、府内各市に先駆けて実施した妊婦健診助成の充実に加え、平成27年度からは、妊娠・出産・子育て期に応じた情報のメール配信事業や、産後ケア事業を実施するなど、妊娠や産後間もない子育てにかかる負担と不安の軽減を支援してまいります。

     次に、幼児期における教育・保育につきましては、幼稚園と保育所の良さをあわせ持つ認定こども園制度への移行が進められております。公立幼稚園・保育所につきましても、この仕組みを活用し、地域ごとの需要量と供給量等を見極めながら、再編整備を進め、質の高いサービスが提供できるよう取り組むとともに、地域の子ども・子育て支援の拠点づくりを進めてまいります。

     次に、待機児童の解消につきましては、民間幼稚園の認定こども園への移行と小規模保育施設の創設で、本年4月1日から定員枠を175名拡大するよう進めており、さらに28年度に向けては、新たに280名の定員枠を確保することにより、待機児童ゼロに向けた施策を加速度的に進めてまいります。

     本市では、3歳未満のお子様を育児されている世帯のうち、約75%の方が、在宅で子育てをされております。この方々につきましては、家族や地域からの孤立を防ぐため、より手厚い支援が必要であるとの認識のもと、地域の子育て力の向上を強力に推し進めてまいります。子育て支援センターを拠点とした相談事業に加えて、つどいの広場の新設や子育てサポーターによる出前相談の開始、また、本市独自の取り組みである子育て応援団の拡充を行うとともに、特にニーズが高い一時預かり事業については、幼稚園の余裕教室を利用して新設するなど、年次的に拡充を図ってまいります。

     本市は人情の厚い土地柄であります。行政だけでなく、商店街や小売事業者、自治会や民生委員の皆さまなど、さまざまな方々のご協力を得ながら、地域で子どもを見守るまちをつくるとともに、「子育てしやすい、子どもにやさしいまち」東大阪市を強く発信してまいります。

     労働雇用施策につきましては、本市は、モノづくり、中小企業のまちであるとともに、市内に多くの大学や短期大学が立地するまちであります。多くの方が大学入学時に本市に転入され、通われています。この方たちが、卒業後、市内企業に就職して、東大阪市に住み続けていただくことになれば、企業もまちも活気づきます。このような視点から、平成27年度は、市内企業のヒアリングを実施し、求人状況等について、きめ細かに把握するとともに、求人ニーズの開拓を図ります。また、市内大学との連携により、学生の意識の啓発を図りながら、学生が本市の企業に、より一層関心と興味を持ち、就職につながるよう、働きかけてまいります。

     新たな観光まちづくりの推進につきましては、ラグビーワールドカップの開催が本市の飛躍に大きなチャンスであることを踏まえ、従来の観光施策を一歩進め、来訪者の増加による地域経済の活性化と、市民の地域への誇り、愛着の向上が図れるよう、学識経験者、事業者等の連携、協力を得ながら、「住んでよい、訪れてよい」東大阪市の実現に向けて、仕組みづくりを進めてまいります。

    新しい教育委員会制度の活用

     第三の柱は、新しい教育委員会制度の活用であります。

     本年4月から、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が改正、施行されます。この改正は、地方教育行政における責任体制の明確化、迅速な危機管理体制の構築、地方公共団体の長と教育委員会との連携の強化等を内容とする、制度の抜本的な改革となるものであります。

     昨年、パキスタンの女子学生マララ・ユサフザイさんにノーベル平和賞が授与されました。マララさんは、国連のスピーチで「1人の子ども、1人の教師、1冊の本、そして1本のペンが、世界を変えられる」と話されました。この言葉に、私は、改めて、教育が持つ力の偉大さと尊さに感銘を受けました。次代を担う子どもたちが、心豊かに人生を送り、新しい社会とまちをつくっていくために、教育の果たす役割の大きさは言うまでもありません。私は、これまでの市政運営を通じて、教育施策の充実や教育環境の改善を図ってまいりましたが、この制度改革をさらなる好機として、教育行政の発展に心血を注いでまいります。

     新制度では、市長と教育委員会で構成される総合教育会議が設置され、この会議の中で、地域の実情に応じた教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱を定めることとされております。特に、学力の向上、いじめや不登校への対応をはじめ、本市の教育行政が直面する喫緊の課題について、教育委員会の皆さまと精力的に議論を重ね、本市の特色ある、よりよい教育が実現できるよう、平成27年度中の大綱策定を目指してまいります。

    効率的で健全な行財政運営

     第四の柱は効率的で健全な行財政運営であります。

     私は、平成22年度から平成26年度を計画年度とする新集中改革プランを着実に実行することで、平成25年度までに、目標額を約45億円上回る218億円余りの効果額を生み出すことができました。

     歳出面では、効果額の約46%が人件費の抑制によるものでありますが、主には、職員数計画の実行を進めた効果であります。本市の平成25年4月1日現在の一般行政部門における職員数は、1,718人、人口1万人当たりの職員数は、34.21人であり、これは、全国の中核市43市のうち、最も少ない数であります。また、一方で、パスポート窓口の開設等、市民サービスの向上につながる権限を大阪府から譲り受けるなど、50万都市にふさわしい仕事の範囲を積極的に広げてまいりました。

     歳入面では、未収金対策の推進に努め、市税や国民健康保険料等の収入率は、めざましく上昇いたしました。特に、国民健康保険事業特別会計では、平成2年度には177億円に及んだ累積赤字が解消寸前になるなど、財政の健全化が着実に進んでおります。

     しかし、今後、市民の皆さまの多様なニーズに応え、活力あるまちづくりを進めるため、多額の財源を要する事業が予定されており、手綱を緩めることなく、不断の取り組みを進めてまいります。

     こうした認識に立って、現在、平成27年度から5か年を計画期間とする「(仮称)東大阪市行財政改革プラン」を策定しているところであります。この行財政改革プランでは、これまでに取り組んでまいりました諸課題の中でも、特に、老朽化の進む公共施設について、今日的な状況を踏まえた施設のあり方を検討し、より良質なサービスを効果的、効率的に提供できるよう、統廃合や集約化等の見直しを進めてまいります。また、「削る」「やめる」だけの行財政改革だけではなく、公民協働の推進により市民サービスの向上を図る視点も重要であり、防災や緑化活動等さまざまな分野で、今後さらに市民や企業等、民間と行政との連携・ネットワークによって社会全体を支える仕組みづくりを進めてまいります。

     人事政策につきましては、地方公務員法の改正により、能力及び業績に基づく人事評価制度を導入することが求められております。この人事評価制度をより良いものとして構築することで、職員の士気や能力を高め、組織の活性化を図ってまいります。また、やる気のある若手職員の早期選抜や、女性職員の指導的地位への積極的な登用を進めるなど、活力ある人事政策を推進することにより、さらに、市民の皆さまに喜んでいただける市役所をつくってまいります。

     なお、平成27年度に実施する行財政改革プランの主な取り組みといたしましては、まず、マイナンバー制度の個人番号カードの交付開始後、カードの有効活用の取り組みとして、市内約170か所をはじめとする全国の指定コンビニエンスストアで、住民票の写しなど各種証明書を交付するサービスを、平成28年2月を目途に導入いたします。市民の皆さまの利便性の向上を図りながら、市内12か所の行政サービスコーナーにつきましては、平成28年3月をもって廃止いたします。

     また、指定管理者制度の活用につきましては、民間のノウハウを活かしたさらなるサービスの向上と管理経費の縮減を目指し、平成28年4月からすべての図書館に指定管理者制度を導入するため、「図書館条例」の改正議案を本議会においてご提案しているところであります。

     なお、収入の確保策といたしましては、未利用地等の有効活用を進めるほか、公共施設の空きスペース等を活用した有料広告事業の拡大等にも取り組んでまいります。

    5つのまちづくりの姿

     次に、平成27年度に実施いたします主な施策について、後期基本計画でめざす5つのまちづくりの姿に沿って申し述べさせていただきます。

    安全で住みよいまちづくり

     まず、「安全で住みよいまちづくり」であります。

     小中学校校舎の耐震化につきましては、平成25年度から3か年の計画で、耐震化に取り組んでいるところであり、平成27年度においては、36校104棟の工事を実施してまいります。また、市立日新高校校舎4棟につきましても、実施設計に着手してまいります。

     その他の市有建築物につきまして、まず、消防局では、建て替え中の西消防署の新南棟を完成させるほか、中新開、若江、足代の各出張所の耐震工事を実施いたします。また、旧四条の家、東診療所跡建物を耐震化、改修したのち、旭町庁舎の機能を仮移転することで、耐震性を確保してまいります。さらに、東体育館の耐震リニューアル工事を行うほか、他の施設につきましても、順次、整備を図ってまいります。

     ライフラインである水道施設につきましては、配水池と管路の耐震化を進め、災害に強い水道施設の構築に努めてまいります。また、現在、基本計画を策定している上下水道庁舎につきましては、上下水道サービスの拠点、能率的・合理的な業務運営の拠点、ライフラインを担う拠点となる施設であることから、一日も早い完成を目指してまいります。

     浸水対策につきましては、下水道事業を長年にわたり継続してきた結果、「昔のことを思うと、随分、浸かりにくくなった」との市民のお声も頂戴するところであります。しかし、近年、全国的にゲリラ豪雨が頻発し、大きな被害が報道されております。この予測困難な天災に対応するため、「東大阪市総合雨水対策アクションプラン」を策定したところであり、このプランに基づき、浸水被害の軽減に努めてまいります。平成27年度は、雨水増補管や校庭貯留施設を整備するほか、浸水、治水に対する理解を促進するための出前教室の実施等、ハード、ソフト両面での対策を進めてまいります。

     また、土砂災害警戒区域に指定されている日下地区市有地につきましては、平成27年度は、未対策の3か所のうちの1か所について、危険防止対策工事の設計を実施してまいります。

     防災力の向上につきましては、平時から自主防災組織、消防団、警察、自衛隊、事業者等多くの組織、関係機関と緊密な連携を取り、総合的な防災力を高めることが重要であります。この視点から、昨年は、農業協同組合や大手運輸業者、小売業者等と災害時における協定を締結したところであり、今後ともより多くの団体と連携を取れるよう努めてまいります。また、災害の特性は、地域ごとに異なることから、連合校区を単位とした地域版ハザードマップを地域住民の皆さまとフィールドワークを実施しながら作成することにより、危険個所の確認や避難行動の迅速化に役立ててまいります。

     治安対策につきましては、街頭犯罪防止のため、防犯カメラの設置を進め、現在、市内で約1,000台が運用されております。街頭犯罪のうち、ひったくりや路上強盗等の犯罪は、府下的にも大幅に減少するなど、防犯カメラの有効性が表われております。また、夜間の犯罪防止については、防犯灯の設置も有効であることから、LEDへの切り替えも含め、平成27年度も引き続きこれら機器の設置補助等、対策を進めてまいります。また、治安対策は、機器の設置に加えて、市民一人ひとりの心がけや地域の皆さまの活動とあいまって、さらなる効果が見込まれることから、関係機関との連携の下、犯罪の発生状況を分析した効果的な啓発や青色防犯パトロール活動への補助等を行うことで、市と地域が一体となっての治安向上を目指してまいります。

     都市計画につきましては、人口減少や高齢者の急増が見込まれる中、市域全体での望ましい土地利用の誘導を目指し、都市再生特別措置法の改正に伴い創設された立地適正化計画の策定に向け検討してまいります。

     都市の景観につきましては、昨年、「東大阪市景観計画」を策定したところであり、平成27年度は、大規模建築物を建築する際の届出制度を運用するとともに、景観形成重点地区等の候補について、市民と協働で検討を進めてまいります。良好な景観は、市民の郷土への愛着と誇りを育み、将来にわたって市の財産となるものであります。本市で育つ子どもたちの心に残り、ここで育ってよかったと思える魅力あふれる「東大阪市らしい景観」をつくるため、取り組みを進めてまいります。

     また、まちの美化につきましては、「東大阪市みんなで美しく住みよいまちをつくる条例」の精神に基づき、市内主要駅周辺にタバコのポイ捨てを禁止するマークタイルを設置するなどの啓発を行い、美しいまちづくりを目指してまいります。

     交通基盤の整備につきましては、昨年9月、市民の悲願である近鉄奈良線の全線高架化が実現しました。この高架化工事の完成は、長年にわたって関係各位が積み重ねられた努力の結晶であります。この資産をさらに活かすべく、今後、関連の側道整備や大阪瓢箪山線の早期完成、未認可区間の早期事業化に向けて取り組んでまいります。また、市民生活に密接したインフラである橋梁や道路の舗装等の修繕につきましては、国の交付金を活用し、計画的かつ加速度的に進めてまいります。

    市民文化を育むまちづくり

     次に「市民文化を育むまちづくり」であります。

     昨年8月に開催いたしました「クラシックコンサート・イン・東大阪」では、関西フィルハーモニー管弦楽団による演奏をお楽しみいただきました。このコンサートは、本市にとって、まだ歴史の浅い取り組みでありますが、会場は満員となり、市民の熱意と関心の高さ、また、本物の芸術が持つ力の大きさに心を動かされました。そこで、この力に、子どもたちが直接触れることにより、豊かな感性や生きる力を育んでいただくため、平成27年度から市立中学校、高等学校の音楽系クラブに所属する生徒を対象として、プロの演奏家による派遣指導を実施してまいります。

     子どもたちの学力向上につきましては、学力向上支援コーディネーターを中心として「学びのトライアル事業」を推進した結果、漢字や計算等の基礎力が着実に伸びつつあります。しかし、全国学力・学習状況調査における本市の平均点は、府平均点、全国平均点には届いていない現状を踏まえ、今後、学期制の検証や、小中連携を進めることにより、より一層の学力向上に努めてまいります。

     教育環境の整備につきましては、小中学校トイレのリフレッシュ整備を21校、また、暑さ対策として中学校のエアコン更新を10校、小学校のドライミスト設置を16校で実施するなど、子どもたちが、より安心、快適な環境で学校生活を送れるよう努めてまいります。

     史跡公園としての整備を進めている河内寺廃寺跡史跡公園につきましては、平成26年度に実施設計を終えたところであり、平成28年度の完成を目指して、着工してまいります。

    健康と市民福祉のまちづくり

     次に、「健康と市民福祉のまちづくり」であります。

     昨年8月、約70年ぶりにデング熱の国内感染が確認され、また、西アフリカで多数の死者が出ているエボラ出血熱の感染が世界的規模の対策を求められる事態となりました。市民の生命と健康を守るため、関係機関との連携を密にし、職員の意識、技術の向上を図ることで、万一、事象が発生した場合にも万全の対策が取れるよう備えてまいります。

     市民の健康増進・維持、健康寿命の延伸の取り組みにつきましては、「健康トライ21(第2次)」に基づき、市民の主体的な健康づくりを支援してまいります。また、がんや脳血管疾患・心疾患等の生活習慣病の早期発見と重症化予防に向けた取り組みを進めてまいります。特に国民健康保険の特定健康診査につきましては、さまざまな手法による広報や通知を強化し、健康診査の有意性を周知することにより、受診率の向上を目指してまいります。

     生活困窮者の支援につきましては、平成27年度から生活困窮者自立支援法が施行されることに伴い、生活困窮者が生活保護に至る前の段階からの支援を強化してまいります。ワンストップ窓口としての自立相談支援事業に加え、就労準備支援事業や家計相談支援事業等を実施することにより、複合的な問題を抱える生活困窮者を包括的に受け止める新たなセーフティネット機能を構築してまいります。

     高齢者福祉施策につきましては、いわゆる団塊の世代が高齢者となった現在、今後は、後期高齢者人口の急増が見込まれるとともに、要介護認定者やひとり暮らし高齢者等が増加すると予測されております。すべての高齢者の方々が住み慣れた地域で安心してできるだけ長く生活していただけるよう、必要なサービスが一体的に提供できる「地域包括ケアシステム」の構築に向け、スピード感を持って取り組みを進めてまいります。特に、認知症高齢者の支援につきましては、認知症サポーターの養成をはじめとした認知症の理解への啓発をはじめ、SOSオレンジネットワーク事業の充実等、地域で見守る仕組みの強化に努めてまいります。

    市民が主体となったまちづくり

     次に、「市民が主体となったまちづくり」であります。

     東大阪市版地域分権に向けた取り組みとして、昨年夏まで開催いたしました「まちづくり意見交換会」のファーストシーズンには、延べ42回で、1,940名を超える方々に参加していただきました。子育てや地域資源の活用、高齢者等、さまざまなテーマに沿って、活発な意見交換をしていただき、ここで生まれた皆さまの想いとしての事業案は、地元企業等のご協力も得ながら、イベント開催等の成果として実を結び始めております。また、現在、開催しているセカンドシーズンでは、学生や若い社会人の方、より幅広い層の参加を得て、取り組みが広がりつつあります。今後、これまでの取り組みで浮かび上がってきた課題をしっかり検証しつつ、「自分たちのまちは自分たちでつくる」機運の醸成を図り、東大阪市版地域分権のさらなる進捗に努めてまいります。

     広聴活動につきましては、これまで、市政世論調査や施策ごとにおけるパブリックコメントなどにより市民の皆さまのご意見を頂戴してまいりましたが、より一層の充実を図るため、平成27年度から市政モニター事業を導入いたします。公募により登録していただいた市民の皆さまに、市が実施、計画する施策、事業等に対するアンケートを、ウェブサイトを活用して回答していただくことにより、施策の充実等、市政運営に役立ててまいります。

    人権行政につきましては、行政は人権尊重の視点に立ってあらゆる施策を実施することが責務であります。同和問題や、外国人住民、障害のある方、女性、北朝鮮人権侵害問題等、さまざまな人権問題の解決に向け、引き続き不断の努力で人権啓発事業の充実を図ってまいります。

    活力ある産業社会を切り拓くまちづくり

     次に、「活力ある産業社会を切り拓くまちづくり」であります。

     昨年6月に「小規模企業振興基本法」が施行され、国や地方公共団体等が、小規模企業に対して戦略的な支援を行っていくための大きな方向性が打ち出されました。本市におきましては、モノづくり支援策といたしまして、平成27年度は、公益財団法人東大阪市産業創造勤労者支援機構の販路系コーディネーターがモノづくり企業の現場に赴き、販路開拓の支援に当たるとともに、小規模企業等が抱えるさまざまな経営課題に対応する総合相談窓口を案内するなど、小規模企業等のニーズにきめ細かく対応する支援を行ってまいります。

     商業の振興につきましては、地域生活の拠点としての魅力ある元気な商店街づくりが必要であります。意欲ある若手商業者の発掘や、消費者等とのネットワークづくり、プロジェクトの立ち上げから実践、成果検証までを総合的に支援する取り組みを行い、地域密着型の商店街づくりを粘り強く支援してまいります。加えて、国の平成26年度補正予算における交付金を活用し、消費喚起効果も高いプレミアム付商品券事業を実施してまいります。

     都市における農業は、新鮮、安全な農産物の供給に加え、防災や治水機能、福祉・教育の場の提供等、多面的な役割を果たしております。こうした認識の下、農業の振興につきましては、「ファームマイレージ運動」を核として、農業体験事業を引き続き実施するほか、市内飲食店と生産者・消費者との交流事業等により、市民の市内農業についての理解と関心を深めるとともに、生産者の栽培意欲の向上を図ってまいります。

     以上、市政運営の基本的な考え方と平成27年度に実施いたします主要な施策について申し述べました。その他の予算の内容につきましては、お手元の予算書にお示しのとおりでございます。

    当初予算について

    本定例会に提案いたします平成27年度当初予算の総額は、

     一般会計で、2,242億 3,529万 4千円

     特別会計で、1,259億 4,176万 2千円

     企業会計で、  642億 1,690万円

    となっております。

    最後に

     最後に、本市が歩むべき道は、決して平坦といえるものではありません。しかし、本市には、誇ることができる無数の宝があります。それは、先人が脈々と築かれてきた歴史・文化であり、知恵であり、絆であります。また、お一人おひとりの市民やこれから生まれてくる子どもたち、東大阪市に縁のある法人など、そのすべてが宝であります。この宝を守り、伝え、また、あるときには、宝を磨き、宝を創る、その私たちの営みの積み重ねが、東大阪市のあかるく元気な未来を拓くのだと信じております。

     幕末の思想家である吉田松陰が残した言葉に「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。」というものがあります。

     私は、皆さまとともに夢をしっかり見すえ、愛してやまない、わが東大阪市のため、不撓不屈の努力を捧げてまいる覚悟でございます。

     議員各位並びに市民の皆さまにおかれましては、一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、平成27年度の市政運営方針とさせていただきます。

    平成27年度市政運営方針(平成27年第1回定例会)

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    東大阪市企画財政部企画室 企画課

    電話: 06(4309)3101

    ファクス: 06(4309)3826

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