平成25年度市政運営方針
平成25年第1回定例会における野田義和市長の市政運営方針です。
~平成25年2月28日~
本日ここに平成25年第1回定例会を迎えるにあたり、市政運営に関する私の基本的な考え方を申し述べさせていただきます。
平成19年に市民の皆さんから市政運営を託され、早や6年目を迎えました。この間、市政マニフェストを柱として、市政推進に全身全霊で取り組んでまいりました。本年は、第2期市政マニフェストの達成に向けた施策をさらにスピードアップし、「活力ある東大阪の創造」を着実かつ力強く進める年と位置付け、決意も新たに各般の施策に取り組んでいく所存です。
さて、この1年を振り返ってみますと、わが国を取り巻く状況はさまざまな面で大きな変化がありました。まず、昨年は国内外ともに選挙の年でありました。国内におきましては、昨年11月16日に衆議院が解散され、12月16日に執行されました総選挙による民意の結果、政権が交代し、新政権が発足しました。また、国外においては、ロシア、フランス、エジプト、アメリカ、韓国などで大統領選挙が相次ぎ、中国においても最高指導者が交代しました。
経済状況については、長引く円高と世界景気の減速のもとで輸出に多くを依存するわが国の経済は大きな影響を受け、デフレが続く中で内需もふるわず、非常に厳しい状況が続きました。こうした状況に対し、昨年末に発足した新政権は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」による日本経済再生に向けた緊急経済対策の方針を打ち出し、過度な円高が是正されつつあり、景気回復への期待が高まっているところであります。
また、昨年8月には、社会保障・税一体改革関連法が成立し、子ども・子育て、医療・介護、年金などの社会保障制度改革と消費税率引上げによる社会保障財源の確保が図られることになりましたが、政府は、来年4月に予定されている8パーセントへの消費税率引上げは4月から6月の経済状況を見て秋に最終判断するとしており、その動向を注意深く見守ってまいる必要があると考えております。
このような中、国において、日本経済の再生と強い国土づくりをめざした予算規模13.1兆円の大型補正予算が計上されました。本市といたしまして、国の緊急経済対策を活用した事業については平成24年度補正予算に計上し、平成25年度当初予算と一体的に編成をしており、安全安心なまちづくりと市内経済の活性化にスピード感をもって積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
平成25年度の市政運営に対する基本的な視点
いま、わが国は政治、経済の両面において大きな変化の中にあり、また、社会状況においても、情報通信の飛躍的な発展などに起因し、国民の意識、価値観はますます多様化してきております。こうした転換期にあって、本市としましては、市民との協働による活力ある地域社会の形成と、将来にわたって持続可能なまちづくりを進め、「わがまち・東大阪市」を次世代へとしっかり引き継いでいかなければなりません。このような点に立って、平成25年度の市政運営に対する基本的な視点を三点申し述べます。
わがまちへの誇り
基本的な視点の第一は、「わがまちへの誇り」であります。
昨年は、わが国にとって、また、本市にとって非常に喜ばしい出来事がありました。本市出身の京都大学iPS細胞研究所長・教授山中伸弥氏がノーベル生理学・医学賞を受賞されました。本市をこよなく愛され、本市に居を構えられました国民的作家・故司馬遼太郎氏や本市出身の若き囲碁界のエース・井山裕太氏などとともに、わが国のみならず世界で光り輝く知性、才能にとっての原点や拠点が本市にありましたことは、東大阪市にとっての大きな名誉であり、誇りであります。これには、前例や慣習にとらわれず自由闊達に発想、議論する精神や、物事を根本から見つめようとする姿勢、そうした本市や市民の間に息づく風土、伝統が、いささかなりとも影響したのではないかと思っております。
同時に私は、これはモノづくりのまちにも共通する精神であると考えております。モノづくりとは、「何もないところ」から「かたちのあるもの」を生み出すことであり、きわめて創造的な行為であり、独創的な精神の結晶であります。
その創造性を本市のアイデンティティとして、また、市民すべてにとっての誇りとしながら、市民との協働により本市が持つポテンシャルを十分に発揮し、東大阪市のより一層の発展のため取り組んでまいりたいと考えております。東大阪市に住み、働き、学ぶ方々が、そして、東大阪市に生まれ、育った子どもたちが、わがまちを心から誇りに思えるまちづくりを今後とも行ってまいります。
地方分権の推進
基本的な視点の第二は、「地方分権の推進」であります。
いま、国において、地域主権改革一括法に基づき、基礎自治体への権限移譲、義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大など、地方分権改革が進められております。一方、地方からは、地方六団体や中核市市長会などを通じ、国に対しさまざまな意見表明や提言がされており、大阪都構想や特別自治市構想など新たな大都市制度のあり方やさまざまな分権改革も問題提起されているところであります。また、道州制の推進と基礎自治体の機能強化に関する論議もますます活発になっております。
本市は平成17年4月1日に中核市へ移行し、まもなく8年が経過しようとしています。地方分権の推進を本市の特色をいかしたまちづくりの絶好の機会ととらえ、住民に最も近いところで行政サービスを提供する基礎自治体としての役割をしっかりとふまえて、市民福祉のなお一層の向上を図ってまいります。今後も、中核市市長会等を通じ、さらに、諸課題や理念を共有する他都市との連携を図りながら、人口50万人を擁する基礎自治体として、地方分権の一層の推進に向け取り組んでまいりたいと考えております。
本市にあっては、近年整備されましたJRおおさか東線、阪神なんば線をはじめとする鉄道路線や高速道路網などにより、近畿圏の主要な地域や空港・港湾施設と時間的距離が短くなり、人・モノの往来を活発に行うことができる立ち位置になりました。また、製造業が集積するモノづくりのまちとして日本経済を根底から支える、わが国の経済戦略的に重要な位置を占めていると考えています。こうした「関西の中核的・中心的な都市」としての位置と役割を十分認識しながら、事務権限を都市経営のツールとして積極的に活用し、まちづくりを進めてまいりたいと考えております。
また、地方分権が量的に拡大し、質的にも深化する中で、自律した基礎自治体として、将来にわたり持続して良質な行政サービスを提供していくためには、職員一人ひとりの能力・資質の向上が今まで以上に求められます。とりわけ、私のトップマネジメントのもとに、継続的に改革・改善に取り組む強い志と実行力を持った職員が必要であります。中でも部局長は、各部局における政策推進の責任者であり、その責任と組織目標の明確化を図るため、「部局長マネジメント方針」を作成し、年度当初に市民の皆さんに公表してまいります。また、多様な行政需要に的確かつ迅速に対応するため、当然のことながら政策形成力が今後ますます重要となってまいりますことから、その能力向上を図ってまいります。
将来をしっかりと見据えた責任あるまちづくり
基本的な視点の第三は、「将来をしっかりと見据えた責任あるまちづくり」であります。
昨年公表されました厚生労働省の人口動態統計によりますと、平成23年のわが国の合計特殊出生率は1.39となっており、わが国は人口減少社会を迎えているとされております。また、人口構成においても、今後さらに生産年齢人口の減少と高齢者人口の増加が見込まれています。こうした中、今後、国、地方ともに税収の伸びは見込まれない一方で、医療、介護など社会保障関係経費の増加が予想されております。また、わが国においては、高度経済成長期に整備した大量の社会資本が経年とともに老朽化が進行しており、今後、適切な維持管理、補修、更新等によりいかに国民の安全を確保していくのか、また、これまでと同様の社会資本を維持し続けるのかどうかが議論されています。
このような社会状況の急激な変化に対する対応は、いま国や全国の自治体において大きな課題となっているところであり、本市もその例外ではありません。本市においては、高度経済成長期や三市合併時に多くの公共施設を整備しており、現在の保有建築物は900棟以上、延べ床面積約103万平米に及び、老朽化も進んでおりますことから、今後必要となる改修、建替などが喫緊の課題であります。また、その財政負担は将来にわたる行財政運営に大きな影響を与えるものであります。
こうしたことから、「(仮称)東大阪市公共施設マネジメント推進基本方針」を策定し、公共施設の適正な維持管理、改修による長寿命化や建替等により、市民の皆さんが将来にわたって安全かつ安心してサービスを享受できるよう取り組んでまいります。また、将来的な社会情勢や市民ニーズの変化にも対応できるよう、施設のあり方や民間活力の積極的な活用について検討を進め、効率的、効果的な実施を図ってまいります。市民会館をはじめとする公共施設について、耐震化や老朽化対策により安全安心かつ質の高いサービスを提供することは、厳しい財政状況の中にあっても早急に対応しなければならない課題であり、公共施設マネジメントの考え方をもとに、本年第2回定例会に所要の予算を提案してまいりたいと考えております。
今回の予算編成につきましては、市税収入が伸び悩む一方、生活保護費をはじめとする社会保障関係経費が増加するなど厳しい財政状況の中、財源不足を補うため、財政調整基金61億円を繰り入れるなどして対処し、市民生活の安全安心、そして東大阪市の未来にとって欠かすことのできない施策に財源を集中させ、編成したところであります。今後の行財政運営においては、小中学校の耐震化の促進や公共施設の老朽化への対応など、一時期に大きな財政負担を必要とする事業の実施を予定しており、ここ数年間は非常に厳しい財政環境が見込まれますが、懸案を先送りするのではなく、「着眼大局着手小局」の理念のもと、将来世代への責任としてしっかりと取り組んでまいります。
これらの行政需要に対しては、中長期的な視点に立って、行財政改革の一層の推進などにより財源確保を図りながら、持続可能な行財政運営を行ってまいります。行財政改革の柱として平成22年度に策定しました新集中改革プランにつきましては、平成22年度及び平成23年度の2ヶ年で計画額を13億円上回る約81億円の効果額を生み出したところでありますが、今後その取組を加速してまいりますとともに、新たな取組についても積極的に追加し、さらなる行財政改革に取り組んでまいります。
また、現在の厳しい経済状況の中、全国の生活保護受給者が昨年11月に214万7303人と7か月連続で過去最多を更新し、受給世帯も156万7797世帯と過去最多を記録しました。本市においても、昨年11月には保護率が4.2パーセントとなり、平成 25年度当初予算における生活保護費支給経費は約385億円と、一般会計予算の19.5パーセントを占めております。こうした状況に対して、昨年9月、生活保護行政適正化行動計画を策定し、ケースワーク業務のさらなる強化などの取組を進めておりますとともに、12月には、生活保護情報ホットラインを設置し、悪質な不正受給事案への対応を図っているところであります。これらの取組を今後も強化し、生活保護行政の適正化を進めてまいります。また、生活保護受給者に対する自立支援の強化に努めてまいります。
平成25年度については、後期基本計画第2次実施計画がスタートする年にあたります。第2次実施計画におきましては、市政マニフェストの推進を柱に、第1次実施計画での実績をふまえ、PDCA手法によりさらにその充実を図りながら、効果的、総合的に事業を推進してまいります。
五つのまちづくりの姿
安全で住みよいまちづくり
まず、「安全で住みよいまちづくり」であります。
東日本大震災の発生から早や2年近くが経ちましたが、いまだ震災からの復興はその途上であり、私たちは一日も早い復興を願い、引き続き被災地を支援するとともに、震災の教訓をしっかりと胸に持ち続ける必要があります。市政を預かる者といたしまして、改めて市民の皆さんの生命と財産を守るという自治体としての最大の責務を深く心に刻む次第であり、安全安心のまちづくりのため各般の施策を推進してまいります。
災害発生時の第一次避難所に指定されております小中学校の耐震化につきましては、耐震化を必要とする校舎がまだ200棟余り残っており、学校で学ぶ子どもたちと災害時に避難される市民の安全と安心を守るため、校舎の耐震化について平成27年度中に完了するべく、スピードアップを図りながら進めてまいります。
防災行政無線につきましては、災害発生時の市民への重要な情報伝達手段であり、また、災害現場の状況把握や指示伝達に非常に有効な通信手段となるものであり、その機能の充実強化を図るため、デジタル化を推進するとともに、屋外拡声子局を整備拡充してまいります。
また、本庁舎5階に災害対策本部機能を持った防災拠点を機能集約し、防災無線室の整備や防災機器の設置など、災害発生時の中枢指令機能の強化を図ってまいります。
水害や土砂災害対策につきましては、引き続き雨水増補管の整備や小中学校の校庭貯留による治水対策を進めてまいりますとともに、洪水ハザードマップの改訂版を作成し、全戸へ配付いたします。また、土砂災害警戒区域の指定を受けた日下山の急斜面部分について、土砂災害防止工事を年次的に実施してまいります。
基盤整備面とともに、災害が発生した場合に迅速かつ的確にこれに対応するためには、平時の準備が必要不可欠であります。大規模災害発生時においても行政機能を継続し、早期の復旧を可能とするため、事前に必要な対応方針や手段を定める業務継続計画(BCP)の策定に取り組んでまいります。
民間建築物の耐震改修促進につきましては、耐震基準を満たしていない民間建築物の耐震化への補助を引き続き行ってまいりますとともに、専門家と連携し、耐震診断・改修説明会をきめ細かく開催するなど、その充実を図ってまいります。
消防力の強化につきましては、増加する救急需要に対応するため、救急隊を現在建設中の北東部方面出張所に続き、平成26年度に中消防署管内に配備いたします。老朽化が進んでおります西消防署については、建替に向け着手し、大規模災害発生時にも防災活動拠点としての機能を十分に発揮できるよう整備してまいります。また、消防救急無線のデジタル化を推進し、高度・多様な情報伝達機能を確保してまいりますとともに、ポンプ車、支援車などの消防車両の更新を行ってまいります。
防犯対策につきましては、防犯カメラや防犯灯による街頭犯罪の抑止効果は非常に高いことから、自治会や商店街などが設置する防犯カメラ、防犯灯に対する補助を拡充してまいります。また、警察などの関係機関とも連携し、道路や公園など市内120箇所程度に防犯カメラを設置してまいります。
良好な住環境を形成し、「住みたいまち」「住み続けたいまち」を実現する上で、都市景観、みどり、うるおいは欠かせないものであります。東大阪市らしい豊かな都市景観の形成をめざして、本市の歴史や地域特性をふまえながら、景観重要道路の整備等を内容とする景観計画の策定に向けて職員の英知を結集して取り組んでまいります。
また、人口が集積する都市にあって、公園は生活にうるおいと安らぎを与える場であり、災害時の避難場所としての機能を果たすものであります。花園中央公園は本市唯一の総合公園として、東大阪市民にとっての「憩いの場・活動の場・ふれあいの場」であり、引き続き整備を進めてまいります。
良好な生活環境をつくるため、環境への負荷の低減を図る取組につきましては、家庭用燃料電池の設置費用に対する補助制度を新たに創設いたします。また、住宅用の太陽光発電設備設置に対する補助対象件数を拡充してまいります。
市民文化を育むまちづくり
次に、「市民文化を育むまちづくり」であります。
学力向上の取組につきましては、学力向上対策学校支援事業の実施などを通じ、学習意欲や生活習慣などの向上が図られてきていると考えております。これをさらに効果的に実施するため、「学びのトライアル事業」として推進をしてまいります。本市全体での学力向上を図ることはもとより、子どもたち一人ひとりの学習活動をきめ細かくフォローした取組を行ってまいります。
子どもたちの豊かな人間性や社会性を育む上において、クラブ活動は大きな役割を果たしているところであります。昨年、全国中学校ソフトボール大会で準優勝した花園中学校男子ソフトボール部や全日本合唱コンクール全国大会で銅賞を受賞した孔舎衙中学校合唱部をはじめ、クラブ活動において大きな成果を残した学校が多くありますが、クラブ活動のさらなる活性化に向け、その支援の充実に努めてまいります。
また、障害のある子どもたちが生き生きと豊かな学校生活を送れるよう、スクールヘルパーとケアアシスタントを増員するなど、特別支援教育の一層の充実を図ってまいります。
成長期にある子どもたちが心身ともに健やかに成長するためには、「食」の充実が欠かせないものであり、小中学校での食育の充実に向け、一層の取組を推進してまいります。また、中学校給食の実施に向けて、具体的な実施方法の検討を進めてまいります。実施にあたりましては、財政負担も考慮しながら、民間活力の活用など効率的・効果的な実施・運営形態を検討してまいります。
いじめにつきましては、一昨年、大津市で大変痛ましい事件が発生し、その後も悲しい報道が相次いでおります。こうしたことを教訓に、学校園と教育委員会が一体となって、子どもたちの状況をきめ細かく把握し、未然防止の強化と早期発見、早期対応を図ってまいります。
子どもたちが豊かな学校生活を送るためには、安全で快適な教育環境を整備していくことが重要であります。まず、学校トイレにつきましては、家庭や公共施設等で洋式トイレが普及し、和式トイレに不慣れな子どもたちが増えていることや、災害発生時に小中学校は第一次避難所となりますことから、高齢者や障害のある方などが使用しやすいよう、洋式化をはじめトイレの整備を進めてまいります。
また、学校耐震化にあわせ、中学校の空調機器を更新してまいりますとともに、小学校において、暑さ対策として昨年度から本格導入を開始しましたドライ型ミスト装置を引き続き整備してまいります。
小中学校の校舎につきましては、経年による老朽化が進んでいるものがあり、外部鉄骨階段や外壁をはじめ、順次その改修を進めてまいります。
文化・芸術の振興につきましては、平成21年に文化芸術振興条例を制定し、市民が文化活動に取り組める環境整備や文化に親しめる機会の提供に努めているところでございます。司馬遼太郎記念館については、日本全国から多くの方々が訪れる本市の文化の発信拠点であり、司馬遼太郎記念館と周辺の地域資源を活用しながら、「文化のまち」の魅力を本市内外にアピールしてまいります。
また、市民美術センターにつきまして、「ナイトミュージアム」として、夜間の開館とあわせてロビーコンサートを開催し、施設及び周辺のライトアップを行うなど、花園中央公園で実施いたしますイベントとも連携させながら、新たな魅力を生み出してまいります。
ラグビーワールドカップ2019につきましては、全世界に東大阪市をアピールする絶好の機会でもあります。これまでに誘致活動で署名をいただきました約7万人の方々の熱い思いとともに、近鉄花園ラグビー場での開催に向け、「花園を世界のラグビーの新たな聖地にする」との意気込みで、引き続き強力に誘致活動を進めてまいります。また、競技スポーツと観戦スポーツという両面からラグビーの楽しさを市民や子どもたちに知っていただくため、一層のPRに努めてまいります。
健康と市民福祉のまちづくり
次に、「健康と市民福祉のまちづくり」であります。
救急医療体制につきましては、引き続き中河内医療圏の八尾市、柏原市や地域医療機関等との連携協力により、安心して医療を受けられる体制を確保してまいります。また、中河内医療圏における二次救急を担う市立総合病院について、三次救急を担う中河内救命救急センターとの適切な役割分担のもと、これまで以上に連携を強化し、救急医療体制の強化を図ってまいります。
市立総合病院では、平成22年3月に国からの指定更新を受けました地域がん診療連携拠点病院として、平成25年度中に再度の指定更新をめざしているところであります。また、高度医療機器について引き続き整備を進めてまいりますとともに、緩和ケア病棟設置についての検討を行うなど、中河内医療圏における中核病院としてのさらなる機能充実に取り組んでまいります。
がん検診につきましては、引き続き子宮頸がん、乳がん、大腸がん検診の無料クーポン券を該当年齢の方々に送付し、医療機関や保健センターでの検診を実施してまいります。また、がん検診の啓発の充実に努め、受診率の向上を図ってまいります。
食の安全の確保につきましては、環境衛生検査センターにおいて、食品中の残留農薬検査に使用する分析装置を国の新たなガイドラインに対応したものに更新し、検査機能の充実を図ってまいります。
また、本年3月に策定を予定しております「第2次東大阪市健康増進計画(健康トライ21 第2次)」に基づき、生活習慣の改善など一次予防に重点を置きながら、市民の健康増進の総合的な推進を図ってまいります。
少子化、核家族化が進行し、地域での人間関係が希薄になる中、子どもたちが良好に成育する環境を整備し、社会全体で子育てを支援することが強く求められています。こうした中、昨年8月、国において子ども・子育て関連3法が成立したところであります。平成27年度からの国の子ども・子育て新システムの本格実施に向け、「(仮称)東大阪市子ども・子育て支援事業計画」の策定に取り組み、本市の地域特性に応じた子育て支援施策を総合的、効果的に推進してまいります。
保育所待機児童の解消に向けましては、平成25年度、民間保育所4園が開園することとなっており、2園の園舎増改築に対する補助もあわせ、290名の入所定員の拡充をいたします。
一方、在宅子育て支援につきましては、育児・子育て相談や情報提供の充実、一時預かりの実施、つどいの広場の拡充など、安心して子育てできる環境の整備を図ってまいります。
また、平成25年度中に、本市5箇所目の子育て支援センターとなります「(仮称)楠根子育て支援センター」を開設し、旭町子育て支援センター「あさひっこ」等と同様、子どもたち、保護者、地域の皆さんから愛され、信頼される子育て支援ネットワークの拠点としてまいります。
大きな社会問題となっております児童虐待への対応につきましては、関係機関との連携を強化し、情報の共有化と迅速適切な対応ができる仕組みづくりを進めますとともに、相談支援体制や啓発事業の充実など、未然防止と早期発見、早期対応に努めてまいります。また、高齢者虐待、障害者虐待の防止につきましては、一時保護が必要な場合の居室確保の予算を計上し、その取組の充実を図ってまいります。
新障害児者支援拠点施設につきましては、療育センターと高井田障害者センターの機能を統合・強化し、障害児・者のライフステージに応じた専門的な支援サービスを提供する施設として、旧建設局跡地に建設するにあたり、所要の予算を計上いたします。
市民が主体となったまちづくり
次に、「市民が主体となったまちづくり」であります。
これからのまちづくりは、地域住民の皆さんが自分たちのまちは自分たちでつくるという思いのもと、施策の企画立案から実施に至るまでの過程に自ら参画する取組が求められます。それが地域の活力や魅力をさらに高めることにつながるものであり、市民と行政が協働のパートナーとしてともにまちづくりを進めていくことが必要であります。
このような「東大阪市版地域分権」の仕組みづくりに向けまして、地域の各種団体によるさまざまな活動についての報告や、まちの魅力や地域の課題についての意見交換を行う「まちづくり意見交換会」を各リージョンセンターにおいて実施してまいります。
また、地域の市民活動を支援するため、地域サポート職員を配置し、「東大阪市版地域分権」に向けた全庁的な体制整備を進めてまいります。
特定非営利活動法人(NPO法人)につきましては、まちづくりにおける重要なパートナーであり、昨年10月にその設立認証などの事務権限が大阪府から移譲されたところでありますが、NPO法人の設立運営等に関する相談業務やマネジメントのための講座開催など、その活動基盤強化に向けた支援を行ってまいります。
人権が尊重された、差別のない豊かで明るいまちづくりは、市政の基本となるものであります。同和問題や、外国籍住民、障害のある方、女性などさまざまな人権問題の解決に向け、引き続き人権啓発事業の充実を図ってまいります。また、北朝鮮人権侵害問題啓発週間事業を通じ、拉致問題についての関心と理解を深めていただけるよう取り組んでまいります。
活力ある産業社会を切り拓くまちづくり
次に、「活力ある産業社会を切り拓くまちづくり」であります。
本定例会におきまして、厳しい経営環境に直面している本市の中小企業の振興を図る中小企業振興条例、ならびに住環境と工場操業環境との共生を図る住工共生のまちづくり条例という二つの重要な条例を提案いたしております。これらの条例及び条例に基づく施策を積極的に展開し、モノづくり企業、中小企業が元気なまちづくりを進めてまいります。
住工共生のまちづくりの推進にあたりましては、事業所の立地調査を実施してまいりますとともに、住宅・工場間における環境対策支援や工場移転支援など各般の事業を総合的、効果的に展開してまいります。
また、市内企業の製品の高付加価値化を促進するため、2社以上で共同して行う新たな技術の研究などについて、その支援の充実を図ってまいります。さらに、競争力を備えた製品づくりのため、市内企業のデザイン力向上に向けた取組を進めてまいります。
中小企業の技術力向上につきましては、産業技術支援センターにおいて、中小企業単独では整備することが困難な測定機器を計画的に整備し、その技術力向上を支援してまいります。平成25年度については、エックス線解析装置とデジタルマイクロスコープの更新を予定しております。また、先般の地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所との包括提携協定を契機として、本市のモノづくり企業のさらなる技術力向上を支援してまいります。
以上、市政運営の基本的な考え方と平成25年度に実施いたします主要な施策について申し述べました。その他の予算の内容につきましては、お手元の予算書にお示しのとおりでございます。
当初予算について
本定例会に提案いたします平成25年度当初予算の総額は、
一般会計で、1,973億3,458万円
特別会計で、1,161億4,458万3千円
企業会計で、 588億4,688万9千円 となっております。
最後に
最後に、いま日本国中の自治体が大きな転換期に直面をしております。旧来からの手法や国から示される画一的なモデルは地域の特性をふまえた今後の都市経営にとって必ずしも最適なものとはいえず、おのおのの自治体が自らの頭で考え、自らの足で立ち、自らの言葉で語ることが求められています。本市も今まさにこうした状況にあります。このような時にあって、私たちは一人ひとりではその力は決して大きなものではないかもしれませんが、多くの人々が東大阪市の未来のため思いを共有し、力を合わせる時、それは大きなエネルギーとなり、時代を切り拓く改革のパワーとなります。私は人間の力を信じ、そして未来を信じるという点において創造的進化の信奉者であります。50万東大阪市民の総力を結集するとき、東大阪市は自他ともに認める日本でナンバーワンのまちになれると確信をしております。なすべき課題はなお山積をし、いまだ道半ばでありますが、地平線にその姿をはっきりと思い描いております。この私たちが愛し、誇りとする東大阪市のため、従前にも増して私自身が強いリーダーシップを発揮し、全身全霊を捧げる決意でございます。
議員各位並びに市民の皆さんにおかれましては、ご理解を賜り、市政推進になお一層のご協力をいただきますようお願い申し上げまして、平成25年度の市政運営方針とさせていただきます。
平成25年度市政運営方針(平成25年第1回定例会)
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