市政だより 平成23年新年号 6・7面(テキスト版)
まちづくりを語る新春座談会 市民の夢と希望をかなえるために
第2次総合計画後期基本計画スタート
平成22年3月に策定した第2次総合計画後期基本計画は、これから先、東大阪市が「住み続けたいまち」「住みたくなるまち」になるための平成23年から10年間のまちづくり計画です。
策定には、地域シンポジウムや地域別ワークショップなどを行い、市民が主体的に参画する取組みを通じ、市民の意見が多く反映された7つの地域別計画と5つの部門別計画からなっています。
このほど、後期基本計画スタートの年を記念して、昨年行われた地域シンポジウムのパネリストと野田市長がこれからのまちづくりについて語る新春座談会を開催しました。参加者の皆さんがこれからの東大阪市をどのように思い、考えておられるのかをご紹介します。
(司会者)石田 榮仁郎さん(近畿大学法学部法律学科教授)
東大阪市長 野田義和
(対談者)川中 知子さん(今米緑地保全会)
(対談者)酒井 理さん(大阪商業大学総合経営学部商学科准教授)
(対談者)嶋田 亘さん(東大阪商工会議所会頭)
(対談者)戸山 隆明さん(東大阪市体育連盟会長)
(対談者)松浦 隆さん(東大阪市自治協議会会長)
石田
明けましておめでとうございます。
本年は後期基本計画のスタートの年となっています。野田市長はこの計画を通して、どのようなまちづくりを進めたいと考えておられますか。
野田市長
明けましておめでとうございます。
今回の計画策定にあたっては、多くの市民の皆さんの意見をお聞きし、まさに「市民の、市民による、市民のための計画」ができ上がったと喜んでいます。
「市役所が行うまちづくり」と「市民の皆さんが行うまちづくり」をうまく融合させ、市民の思いを一つひとつ実現していくまちづくりに取り組まなければならないと考えており、本日はお集まりいただいた皆さんに、後期基本計画を通したまちづくりについてお聞きしたいと思います。
後期基本計画とこれからのまちづくり
石田
まずは、まちづくりのあり方や今後どんなまちづくりを進めていきたいかなどについてお話いただけますか。
市民の情熱をまちづくりに
酒井
地域の中でいろいろな人が顔を合わせ、いろいろな議論をすることが必要だと考えます。
やる気のある一人ひとりが手を組んで思いを一つにし、まちづくりに取り組むことで、まちは強い勢いや力を持つようになり、みんなの情熱がまちづくりに反映するのだと思います。
野田市長
市民が主体となったまちづくり、これが後期基本計画の一番の思いといっても過言ではないと思います。これまで以上に市もいっしょに力を合わせて、地域のまちづくりを盛り上げていきたいと思います。
歴史や文化を次世代へ
川中
歴史や文化は興味を持たなければ、忘れ去られていきます。住んでいる場所の歴史や文化の背景を知り、次の世代に受け継いでいくことが必要だと思います。
野田市長
市内には、多くの優れた文化財や歴史的建物などがあります。一人ひとりが学び、ふれることで、今自分が住んでいる、働いている、学んでいる、東大阪の素晴らしさを感じ取ってもらえる、このことが地域愛、ふるさと愛につながっていくと思います。
ラグビーワールドカップを花園で
戸山
スポーツを通じた人とのつながりは、まちづくりにおける地域のコミュニケーションづくりに役立ちます。ぜひ、多くの市民にスポーツを通じたまちづくりに参加して欲しいと思います。
また、2019年のラグビーワールドカップが近鉄花園ラグビー場で開催されるよう、東大阪市民一体となって盛り上げていきたいと思います。
野田市長
多くの市民の皆さんにスポーツに励んでいただけるような環境整備に努めていきたいと考えています。
また、ラグビーワールドカップを近鉄花園ラグビー場で開催して欲しいという機運が高まってきました。多くの市民の皆さんのご協力を得ながら、誘致活動を進めていきたいと思います。
ラグビーワールドカップ開催時には、東大阪の素晴らしさ、とりわけモノづくりの素晴らしさを全世界に情報発信していきたいと考えています。
モノづくりからまちづくりを
嶋田
東大阪市は「中小企業のまち」「モノづくりのまち」として全国的に有名ですが、製造業の発展は、雇用拡大につながり、治安が向上するといわれています。また、製造業の発展に伴い生活が安定し、商業が潤うといった好循環が見込まれます。そのようなことから、まず製造業が豊かになることをめざしてやっていきたいと考えています。
野田市長
東大阪市のモノづくり企業は、日本の製造業の基盤であり、日本経済を支えているといっても過言ではありません。
市内でがんばっている、これからがんばっていこうという企業をどのように支えていくかを考え、実情にあった支援策を行い、地域全体が活性化できるように取り組んでいきたいと考えています。
地域と行政がつくるまち
松浦
これまで自治会では、「地域のことは地域自らが考え、決め、実践していく」という考えのもと、まちづくり活動を進めてきました。
しかし、市民だけでは解決できない課題があります。そのためには、課題を地域と行政が共有し、役割分担を明らかにしながら、お互いに力を合わせて課題解決にあたる必要があります。
野田市長
後期基本計画の地域別計画は、市域を7つに分けて策定した計画です。地域には、さまざまな特色があることから、地域の皆さんと話をしながら、まちづくりを進めていかなければならないと考えています。いっしょにこの東大阪市を良くしていこうという思いのもと、一つひとつ解決していきながら、まちづくりを進めていきたいと思います。
10年後の東大阪市のために
石田
続いて、後期基本計画の10年間に期待することや、やりたいこと、抱負などをお聞かせください。
元気な高齢者が若者を育てる
酒井
これからのまちには、若い人の力が大事になってくると思います。
若い人には、ぜひ自分が自分のまちを良くしていくのだという志を持って欲しいと思います。さらに、高齢者の人がやりがいを持ち、いろいろな活動を通して元気になってもらうことが、元気なまちづくりにつながると思っています。
歴史遺産や自然遺産の利用を
川中
異常気象のことなどを考えると、今米の屋敷林をこのまま10年先まで個人で維持管理することは難しいと考えており、記念館や公園という形で残せていければと考えています。
また、先人たちが残してくれた歴史遺産や自然遺産を多くの方に利用していただけたらと思っています。
稲田桃が咲き誇るまち
戸山
「稲田桃」が、10年後にはありとあらゆるところに植えられ、春先にはピンク色の花が咲き誇るようにしたいと考えています。
そのころには、「稲田桃」の花見の名所や「稲田桃ジャム」の産地として全国に知れわたり、たくさんの人が訪れるような、素晴らしいまちづくりにつながればと思っています。
産学官一体のモノづくりを
嶋田
10年後の東大阪市のモノづくりには、今までと一味違った商品の開発や、製品の高付加価値化、大学の高度な技術力や研究開発、行政のバックアップなど、産学官が一体となった動きが必要です。
また、技術の継承や住工共生の仕組みづくりなどのさまざまな環境整備を進めていきながら、商業もいっしょに栄えるまちとなることを期待しています。
高齢者も参加するまちづくり
松浦
10年後の自治会活動を考えますと、私たちが生まれ育ってきた地域の良いところを後世に伝える義務があると考えています。
高齢者の持つ知恵や伝統を次の世代に伝えられるよう、高齢者と子どもや若い人たちをつなぐ機会や行事に取り組んでいく必要があると思います。そうすることで、元気なまちが生まれると思います。
石田
ありがとうございました。
後期基本計画が描く「夢と活力あふれる元気都市・東大阪」の達成のためには、市民の皆さんと野田市長を先頭とする市役所の力を合わせることの重要性が明らかになりました。
最後に、野田市長より後期基本計画の取り組みに対する心構えや新年の抱負などをお聞きしたいと思います。あわせて、後期基本計画をより市民の皆さんに知っていただくための取組みについてお話いただければと思います。
野田市長
皆さんのお話をお聞きして、まちづくりには幅広くいろいろな側面があることを改めて感じました。もっと後期基本計画に磨きをかけて、市民の皆さんとともに進めていかなければならない、実現しなければならないという思いを強くするとともに、その責任の重さを実感しました。
今年は、この計画を順調にスタートさせ、市民の皆さんと市役所がまちづくりに対する思いを今一度共有しなければならないと考えています。
そのためにも、私自身が地域に出向いて後期基本計画の描くまちづくりや未来像について市民の皆さんといろいろなお話をさせていただいて、市政だよりやケーブルテレビなどを通じて周知していきたいと思っています。引き続きのご協力をお願いします。
石田
本日は、本当にありがとうございました。