腸管出血性大腸菌感染症(O157など)について
腸管出血性大腸菌感染症は食品や感染した人の便などを介して感染する感染症です。大腸菌は人や動物の腸管に存在し、通常病原性はありません。しかし、いくつかの大腸菌は人に対して病原性があり軽症なものから重篤な症状になるものもありますので注意が必要です。

原因と感染経路
大腸菌の中でも病原性大腸菌と呼ばれるもので、腸管出血性大腸菌もこのグループになります。腸管出血性大腸菌の中にはベロ毒素を産生するものがあり、出血性の大腸炎を起こすことがあります。
感染経路は腸管出血性大腸菌に汚染された食品を食べることや感染した人の糞便で汚染されたものを口にすることで感染する経口感染です。特に食品は加熱不十分なお肉だけでなく、サラダ・白菜漬け・井戸水などさまざまな食品が原因になります。

症状と経過
平均的な潜伏期間は3から5日で激しい腹痛を伴う頻回の水様便の後、血性下痢(下血)が見られます。また、軽度の発熱も見られます。重症化すると溶血性尿毒症(HUS)や脳症などを併発し場合によっては死亡することがあります。健康な成人の場合、感染してもほとんどが単なる下痢だったり無症状で終わることが多いです。しかし、溶血性尿毒症(HUS)は乳幼児や小児、基礎疾患を有する高齢者に起こりやすいといわれておりこの年齢層の人には特に注意が必要です。

治療方法
お腹が痛くて下痢が続いたり疑わしい症状があったら、かかりつけ医に相談しましょう。

予防対策のポイント
・お肉は中心部までよく加熱しましょう。また、生野菜は水道水でしっかり洗いましょう。
・冷蔵庫に保存しているお肉のドリップ(肉汁)が他の食品を汚染しないよう注意しましょう。
・調理や盛り付け・食事の前に手をしっかりと石鹸で洗いましょう。
・発症した患者のいる家庭や共同生活をしているグループはトイレや洗面所を消毒しましょう。消毒には逆性石鹸や塩素系漂白刺を薄めたものを使用します。
・発症した患者のいる家庭や共同生活をしているグループは患者の衣服やリネン等の取扱いに注意しましょう。
