令和4年8月29日 秋の風情 ヒトモトススキ
市の天然記念物に指定している「ヒトモトススキ」が、生駒山麓にある日下新池のほとりで茶褐色の穂をつけ、平地よりひと足早い秋の風情を漂わせています。
ヒトモトススキは、イネ科に属するススキとは異なり、カヤツリグサ科の植物で、一株の根元からたくさんの茎を伸ばし、無数の実をつける穂先がススキに似ていることからこの名が付けられました。また、葉の縁が鋭くイノシシも切るという例えから別名をシシキリガヤといいます。
本来ヒトモトススキは海岸に近い湿地に生育するもので、山中に群生するのは珍しく、約3,000 年前、大阪湾が生駒山麓まで迫っていたことを裏付ける貴重な残存植物として、昭和49 年3 月に東大阪市の天然記念物に指定されました。
標高130m にある日下新池のほとりに根を張るこのヒトモトススキは、1mから2mの背丈です。穂先には、直径3㎜ ほどの小さな茶褐色の実が集まったかたまりをいくつもつけて重たげに垂れ下がり、山麓からの風に吹かれてゆらゆら揺れていました。9 月中旬から下旬にかけて穂先の小さな実がはじけると、生駒山に本格的な秋が訪れます。