市政だより 平成17年3月15日号 6・7面(テキスト版)
自ら考え、行動する「生きる力」を育むために 4月から市立小・中学校で二期制がスタート
子どもたちが学ぶ楽しさを知り、自ら考え、判断して行動できる“生きる力”を育むために、4月から市立小・中学校全校で二期制がスタートします。
本市では、平成15・16年度に計10校(小学校7校・中学校3校)を研究校に指定。各校は試行の中で、学校行事のあり方や長期休業の活用などの課題にさまざまな工夫をして取り組み、成果をあげています。
大阪府下では初めてとなる二期制の一斉導入によって、学校がどう変わろうとしているのか、研究校の取組みとともに紹介します。
三学期制から二期制へ
これまでの三学期制は、一学期、二学期、三学期の短い学期で区分されていましたが、二期制では前期と後期の二つの長い学期となります。
「二期制」を導入する背景として、ゆとりの中で充実した教育を行うために多くの学習時間が必要になってきたこと、また、きめ細かな指導や評価をするうえで学期の長期化が必要なことが挙げられます。
そこで、長い学期の中で、教師と子どもたちがじっくり向き合い、連続的に学習や課題に取り組むことができる「二期制の導入」を決定しました。
前期
<授業日数 約100日>4月1日から10月の第2月曜日
後期
<授業日数 約100日>10月の第2月曜日の翌日から翌年3月31日
4月
春季休業・始業式
5月
6月
7月
夏季休業
8月
夏季休業
9月
10月
終業式、始業式
11月
12月
冬季休業
1月
2月
3月
修了式、春季休業
二期制導入のねらい 「生きる力」につながる確かな学力の向上
授業時間数の増加
二期制を導入することで始業式、終業式などの行事の削減や見直しを図り、小学校では10時間程度、中学校では20時間程度の増加時間数が生まれます。この授業時間の確保によって、繰り返し学習や、子どもたちへのきめ細かな指導とともに特色ある教育活動が可能になります。
学期の長期化
ゆとりある長い学期の中で、子どもたちが学ぶ楽しさを感じ、自ら学ぶという意欲を持たせるために工夫を凝らした授業を展開することができます。
その中で、子どもたちの個々のがんばりを長期的な視点で評価することができます。
心豊かな充実した学校生活の創造
生徒指導、進路指導の充実
学期の長期化、授業時間の増加にともない、時間的にも精神的にも教師と子どもたちが向き合うゆとりができるため、懇談会や三者面談などの内容の充実が図れます。
学校の活性化による特色ある学校づくり
学校行事の充実
一つの目標に向かってみんなで協力し取り組む運動会や文化発表会などの学校行事は、子どもたちの「生きる力」を育む上で、欠かすことのできないものです。
また、生まれた時間を有効に使って、学校行事のさらなる充実や学校・地域・保護者が一体となった新たな行事を設けることができます。
長期休業中の有効活用
二期制では、学期の途中に長期休業が含まれるため、学習の流れを保つ必要があります。そこで夏休みなどの期間中に、学習支援や学習補充などを目的とした「学習サポートデー」などを設けることによって、9月からの学習や評価に生かし、子どもたちの学習意欲の向上につなげることができます。また、夏季スクールなど学校ごとに特色のあるさまざまな取組みを行うことによって、子どもたちの夏休み中の変化や成長も見守ることができます。
二期制の実施はこれまでの学校の教育活動を見直すことで教育に新しい風を吹かせ、子どもたちの学校生活を充実させることをねらいとするものです。
今後は、各学校での創意工夫を凝らした二期制の実践により、本市の教育がさらに発展するように努めていきます。
問合せ先
学校教育推進室 06(4309)3268、ファクス06(4309)3838
学校行事の充実を 枚岡中学校 三浦 春子 校長
平成15年度から二期制研究校として取り組まれてきた枚岡中学校の三浦校長にお話を伺いました。
二期制導入で、授業時間は増加しましたか。
はい。導入前に比べ短縮授業や始業・終業式の日数の削減により大幅に増加しました。
増加した時間はどのように活用していますか。
運動会や文化発表会、臨海学舎など学校行事の時間を確保することができました。ひとつのことに創意工夫し取り組むことができる学校行事は、子どもたちが成長するうえで欠かせないものです。
学習や評価の工夫をされていますか。
長期休業中に、英語検定講座や漢字検定講座などを設けて学力の向上をめざすとともに、9月以降の学習の継続にも努めています。また、高校受験を見すえて、2年時から通知表の評価を5段階から10段階に変更しました。
秋休みを設定しているとお聞きしましたが。
地元の枚岡神社の秋祭りと同じ日に秋休みを設けました。子どもたちもお祭りに参加することができ、地域の伝統行事を体験できると喜ばれています。
二期制を導入するうえで心がけることは。
やはり増加した授業時間をどのように活用していくかが、とても重要になってきます。それぞれの学校の特色を生かし、子どもたちが意欲的に学び、さまざまな事を体験できる環境を作っていくことが必要ではないでしょうか。
地域・保護者とともに
地域の祭りで思い出づくり 夏祭りを開催 鴻池東小学校
平成15年度から二期制に取り組む鴻池東小学校では夏季休業中、校内で「夏祭り大会」を開催し多くの子どもたちで賑わいました。
同小学校区には神社がなくお祭りが行われないことから「子どもたちに祭りの楽しさを味わってもらおう」と同小学校区自治連合会などの協力で2年前から始められたものです。
昨年7月31日に行われた夏祭り大会には全校生徒576人のうち約400人が参加。地元商店街の協力でさまざまな屋台を出店したほか、櫓も設置され、浴衣姿の子どもたちが盆踊りなどを楽しみました。連合会長の片岡正信さんは「夏祭りは、子どもたちの楽しい思い出になればと思い開催しました。これからも地域の祭りとして根付かせていきたい」と語っていました。
また、このほか同校では保護者、地域の協力で「校内キャンプ」なども行っています。
達成し自信につながる喜びを 夏季スクールを開催 長堂小学校
平成16年度から研究校として二期制を実施している長堂小学校では、夏休みを有効に活用するために夏季スクールを開設。スポーツから伝統文化まで、地域の方やボランティアを講師に招いて行われた講座に、多くの子どもたちが参加しました。
その中のひとつ、「お能」の講座には児童20人が参加し、能の基本となる足の運びから発声まで、楽能会の猪飼康夫さんの指導のもと一生懸命練習に取り組みました。
子どもたちは夏休み以降も練習を重ね、11月28日に小阪の西村能舞台で行われた遊楽会に特別出演。多くの観客の前で練習の成果を堂々と披露しました。「大きな声を出せるようになり、違う自分になれたみたいです。これからも続けていきたい」と笑顔で話すのは4年生の奥田早穂さん。
参加した子どもたちはこの貴重な体験を通して、達成する喜びと自信を得ることができました。