平成23年8月30日 生駒山にひと足早い秋の気配~市の天然記念物「ヒトモトススキ」が穂をつける

東大阪市が天然記念物に指定している「ヒトモトススキ」が、生駒山ろくにある日下新池のほとりで茶褐色の穂をつけ、平地よりひと足早い秋の風情を漂わせています。
ヒトモトススキはイネ科に属するススキとは異なり、カヤツリグサ科の植物で、一株の根元からたくさんの茎を伸ばし、無数の実をつける穂先がススキに似ていることからこの名が付けられました。 また、葉の縁が鋭くイノシシも切るという例えから別名をシシキリガヤともいいます。
本来ヒトモトススキは海岸に近い湿地に生育するもので山中に群生するのは珍しく、約3,000年前、大阪湾が生駒山ろくまで迫っていたことを裏付ける貴重な残存植物として、昭和49年3月に同市の天然記念物に指定されました。
しかし住宅開発による池の埋め立てや河川の改修などで年々減少していったため、平成11年11月、地元の有志がヒトモトススキを後世まで残したいと池の西側に石碑を立て、保全を呼びかけています。
直径3mmほどの小さな茶褐色の実が集まったかたまりをいくつもつけた穂先は重たげに垂れ下がり、山ろくからの風に吹かれてゆらゆら揺れ、秋の風情が漂い始めていました。
