有機フッ素化合物(PFAS)とは
有機フッ素化合物(PFAS)
フッ素元素を含む化学物質の一部である有機フッ素化合物(PFAS)には、1万種類を超える非常に多くの種類があり、種類によって性質が異なり、PFASのなかで、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)、ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)の3種類は健康への影響を与えやすいといった性質が指摘され、2009年以降、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)や「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)により、その製造や使用が禁止されました。
フッ素樹脂コーティングのフライパンを使っても大丈夫?
全てのフッ素化合物が禁止されているわけではありません。禁止されているのは一部の物質だけになります。
焦げ付きを防ぐため、いわゆるフッ素樹脂コーティングされたフライパンが市販されていますが、これらに用いられるフッ素樹脂はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)でペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とは別の物質です。かつては、フッ素樹脂を製造する際の助剤にPFOAが使用されていましたが、日本弗素樹脂工業会によると、主要フッ素樹脂製造者は平成27年までに自主的な環境対応を完了しており、現在は使用されていません。また、平成27年以前に製造されたフライパンに関しても、PFOAはほとんど製品には残存していないことが明らかになっていますので、心配する必要はないと考えられます。
国際がん研究機関(IARC)による評価では、PTFEは「ヒトに対する発がん性について分類できない」とされ、PTFEやPFAのフッ素樹脂が健康に影響を与えるという報告はありません。
また、調理器具から剥がれ落ちたコーティングの破片を飲み込んだとしても、体には吸収されずに体内を通過し、毒性反応も引き起こさないことのほか、動物実験でも有害な影響が見られなかったことが報告されています
その一方で、調理器具に使用されるPTFEの使用上限温度は260℃で、PTFEを315から375℃に加熱し過ぎた際に生じる微粒子状物質やガスは有害であることから、一般の調理には問題はありませんが、フライパンの空焚きなどには注意が必要です。
健康への影響
国内においてPFOA、PFOSの摂取が主たる要因と見られる個人の健康被害が発生したという事例は確認されておりません。
環境省において内閣府食品安全委員会が行った食品健康影響評価の結果等を踏まえ、最新の科学的知見に基づき、専門家による検討が進められています。
飲み水での基準
2020年に水質汚濁に係る要監視項目として指定され、飲み水等における暫定的目標値としてPFOA及びPFOSの合計値で50ng/L以下とされました。
備考:体重50kgの人が毎日2リットルの水を飲用しても健康に対して悪影響が生じないと考えられる濃度。
東大阪市上下水道局では東大阪市の水道水に含まれる有機フッ素化合物(PFAS)の検査を実施しており、国が示す暫定目標値(50ng/L)を大きく下回っています。