市街地再開発事業とは
再開発とは、広い意味である時代に人々が一度つくった「まち」を、時間の経過とともに新しい時代に見合った形につくり直すことといえます。
市街地再開発事業とは、老朽木造住宅等が密集していて防災上危険な地区や、公園や駅前広場などの公共施設が整備が遅れている地区などにおいて、細分化した土地の統合や不燃化した建築物の建築、公園や駅前広場などの公共施設を築造など、地区を再整備することです。
◆関係法令:都市再開発法(昭和44年6月3日施行)
都市再開発法は、市街地の計画的な再開発に関し必要な事項を定めることにより、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図り、もって公共の福祉に寄与することを目的に施行されました。

市街地再開発事業の手法には2種類あります

第一種市街地再開発事業(権利変換方式)
建物や土地の買収や収用に関わらず、従前に有していた建物や土地の権利を新たに建てる再開発ビルとその敷地等に関する権利に変換する権利変換方式によって事業を行います。
事業費は、土地を高度利用化して建てられた建物の床(保留床)を新しい居住者や店舗等の営業者に売却するなどして得た費用でまかないます。
◆対象となる施工区域
以下の1または2から5の要件を満たす区域
- 市街地再開発促進区域であること
- 高度利用地区、都市再生特別地区または地区計画、防災街区整備地区計画もしくは沿道地区計画の区域内であること
- 耐火建築物の割合が建築面積で全体の概ね3分の1以下、又は耐火建築物の敷地面積の割合が宅地面積の概ね3分の1以下であること
- 土地の利用状況が著しく不健全であること
- 土地の高度利用を図ることが都市機能の更新に資すること
◆施工することができる者
- 個人施工者
- 市街地再開発組合
- 再開発会社
- 地方公共団体
- 都市再生機構
- 地方住宅供給公社

第二種市街地再開発事業(管理処分方式)
施行区域内の建物や土地をいったん買収や収用して、従前の建物や土地の権利を有していた者が希望すれば、新たに建てる再開発ビルとその敷地等に関する権利を得ることができる管理処分方式によって事業を行います。
事業費は、土地を高度利用化して建てられた建物の床(保留床)を新しい居住者や店舗等の営業者に売却するなどして得た費用でまかないます。
◆対象となる施工区域
以下の1から5の要件を満たし、さらに6から8のいずれかに該当する区域
- 高度利用地区、都市再生特別地区または地区計画、防災街区整備地区計画もしくは沿道地区計画の区域内であること
- 耐火建築物の割合が建築面積で全体の概ね3分の1以下、又は耐火建築物の敷地面積の割合が宅地面積の概ね3分の1以下であること
- 土地の利用状況が著しく不健全であること
- 土地の高度利用を図ることが都市機能の更新に資すること
- 施行区域の面積が0.5ha以上
- 防災上、安全上支障がある建築物の棟数または床面積の割合が70%以上であること
- 重要な公共施設(避難地等)の緊急整備が必要であること
- 被災市街地復興推進地域内であること
◆施工することができる者
- 再開発会社
- 地方公共団体
- 都市再生機構
- 地方住宅供給公社

組合施工の市街地再開発事業の場合
一般的に多く行われている組合施行の市街地再開発事業について、ご紹介いたします。

組合施工による市街地再開発事業のしくみ
- 組合施行による市街地再開発事業は、5名以上の権利者(土地所有者や借地権者)が共同で「市街地再開発組合」を設立して行うものです。
- この事業は、「地区権利者」「地方公共団体」「新しく居住や営業する人」の三者が協力して行います。
- 権利者の方は、「権利変換」という方法で現在の土地や建物の価値に見合う分のビルの床(権利床といいます)を取得しますが、この事業では、土地を高度利用して床面積の大きなビルを建設しますので、なお余分な床が生まれます。この床(保留床といいます)を売却することで、事業資金を生み出します。
- 一方、市など地方公共団体は、事業全体の推進について指導・援助をしながら、事業資金の一部について補助金を出します。

土地や建物の権利変換のしくみ
現在地区内に所有している資産(土地や建物)を新しいビルの敷地や床の一部に置き換えることを「権利変換」といいます。
権利変換には、いくつかの方法がありますが、最も一般的な地上権非設定型(敷地共有方式)の場合を紹介します。
- 土地・建物は専門家が鑑定します。
- 敷地は1筆となり、権利変換を受けた権利者及び新しい入居者の共有となります。
- ビルの床は原則として区分所有となります。(一般の分譲マンションと同じ形態です。)
- 権利変換を希望しないで地区外に転出される方には、現在の資産に見合う補償金が支払われます。
- 借家人は、もとの家主の部分に入ることができます。

事業のながれ
みんなで考える | 井戸端会議 | ●隣同士や自治会、商店会の集まりなどで「街づくり」が話題に出ることがあると思います。ここからがスタートです。 | |||
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研究会・協議会 | ●地元の中から世話人を選んで、「街づくり研究会」や、「再開発協議会」のような組織をつくっていきます。 ここでは、勉強会や見学会を通じて街づくりのあり方や再開発について研究活動を行います。 | ||||
●市は「街づくり」について、資料の提供や勉強会、基本的な方針づくりなどのお手伝いをします。 | |||||
計画を練る | 準備組合の設立 | ●事業の具体的な検討を行い、その推進を図るために、権利者の組織・準備組合を結成します。 | |||
●権利者の合意形成を図りながら事業計画案を作成しますが普通はこの段階で専門コンサルタントや事業協力者(デベロッパー)を導入し、その協力を得ます。 | |||||
都市計画決定 | ●事業内容等がかたまると都市計画決定を行い、事業の円滑な推進のために法律による位置づけをします。 | ||||
事業の準備 | 再開発組合設立 ・地区外転出の申し出 ・権利変換計画の作成 | ●組合は、国や地方公共団体の指導と援助を受けて事業を実施するために一定の基準以上の地区内の権利者が合意して設立する組織で、府知事の認可が必要です。 | |||
●権利者が権利変換を受けるか地区外に転出するかの最終的な意思決定を経て、権利変換計画を作成します。 | |||||
事業の実施 | 権利変換計画の認可 ・仮設店舗等の準備 ・建物の除却 ビル工事着工 | ●総会での承認などを経て定められた権利変換計画は知事の認可を得て、いよいよ事業の着手となります。 | |||
●権利者は、仮店舗や仮住居にいったん入居するか、地区外に転出し、建物の除却を行います。 | |||||
再開発事業の終了 ・組合の解散 | ●ビルの工事が終了すると、必要な登記や事業の清算を行い事業を終了します。 | ||||
入居 | 新しいビルの運営 | ●ここから「新しいビルの生活」がスタートします。 | |||
●管理組織を設立し、新しいビルの管理と運営を行っていきます。 |