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東大阪市

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    平成29年度市政運営方針

    • [公開日:2017年3月2日]
    • [更新日:2021年3月10日]
    • ID:19132

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     本日ここに平成29年第1回定例会を迎えるにあたり、市政運営に関する私の基本的な考え方を申し述べさせていただきます。

     本年、東大阪市は、市制施行50周年を迎え、2月1日、記念式典をとりおこなわせていただきました。

     この半世紀の間、本市の発足と発展にご尽力された数多くの先人に、改めて敬意と感謝の意を表します。また、営々と築かれた本市の歴史と伝統の重みを踏まえつつ、新たな半世紀に踏み出す年にあって、市長として市政運営の重責を担うことは、私にとって、この上ない誉れであり、身が引き締まる思いであります。

     私は、平成29年度を、東大阪市の来るべき半世紀を輝かしいものとするため、その礎を創造する年として、市民皆さまに強く記憶される年となるよう、市政の運営に全力を挙げてまいります。

     さて、この1年間の政治、経済状況を振り返ってみますと、国外では、大きな変化がいくつもありました。特に、昨年6月にイギリスの国民投票によってEU離脱の選択がされたこと、11月に行われたアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ氏が選出されたことは、いずれも事前の大方の予想を覆すものであったことから、世界に大きな衝撃が走りました。

     経済情勢では、大幅な円高が本市の経済にも暗い影を投げかけました。また、トランプ大統領によるアメリカ経済政策の転換により、世界経済の動向が不透明感を増しております。最新の本市中小企業動向調査によりますと、景況は、「2期連続改善。各種指標に改善が見られる中で、先行きに持ち直しを期待する」となっており、経済状況の好転に幾分の期待感を持ってはおりますが、今後とも一層の情報収集に努め、必要に応じて速やかな対応を進めてまいります。

     一方、国内では、政府は、ニッポン一億総活躍プランを閣議決定しました。このプランは、我が国の経済成長の隘路の根本にある少子高齢化の問題に真正面から取り組む、広い意味での経済政策として、子育て支援や社会保障の基盤を強化し、経済を強くする、新たな経済社会システムづくりに挑戦するものであります。

     このような流れを受け、政府は、「未来への投資を実現する経済対策」に基づいた補正予算を編成し、本市においては、この財源等を活用し、花園ラグビー場を、日本ラグビー界の西の一大拠点として、また、誰もがスポーツを楽しめ、人の流れと地域の賑わいを創出する新たな名所とするべく、改修工事に着手したところであります。

    平成29年度の市政運営にあたって4つの柱

     平成29年度におきましても、このような国の財源等も有効に活用しながら、これまでのまちづくりの方向性をしっかり継承しつつ、市政マニフェストや東大阪市まち・ひと・しごと創生総合戦略、後期基本計画第4次実施計画の推進を中心とした各般の施策を推進することで、活力と魅力あふれる東大阪市の創造に取り組んでまいります。

     このような認識のもと、平成29年度の市政運営に当たっての4つの柱を申し述べます。

    スポーツのまちづくりの推進

     第一の柱は、スポーツのまちづくりの推進であります。

     昨年の夏、リオデジャネイロでオリンピック・パラリンピックが開催され、連日繰り広げられるアスリートたちのパフォーマンスは、人々に深い感動を呼び起こしました。私は、スポーツが持つ力、人々を鼓舞し、勇気づけるエネルギーに改めて感銘を受けました。本市におきましては、933日後に迫ったラグビーワールドカップ2019日本大会に続いて、平成33年には、ワールドマスターズゲームズ2021関西のラグビー競技が、花園ラグビー場で開催されることが、昨年決定したところです。この大会は、国際マスターズゲームズ協会が4年ごとに主催する、30才以上の成人・中高年の一般アスリートを対象とした生涯スポーツの国際総合競技大会であります。2021年の大会は、アジアで初めての開催であり、本市がさらに注目される好機となります。

     また、本市は、多くの優秀なアスリートを輩出しております。昨年は、市立花園中学校陸上競技部の4人のスプリンターが、全日本中学校陸上競技選手権大会における男子400メートルリレーで、日本中学タイ記録で優勝する快挙を成し遂げました。私は、その栄誉を称えるとともに、市民に深い感動を与えたことに対し、市長賞詞を授与いたしました。市長賞詞は、この方たちも含め、過去10年間で、16人のスポーツ分野の方に授与しています。

     また、花園中央公園や東大阪アリーナ、東体育館等の施設において、多くの市民の方々が、日々、スポーツや運動を楽しんでいらっしゃる姿を拝見し、市民皆さまのスポーツや健康に対する関心の高さを肌身で感じるところであります。

     さらに、本市では、本市発足当初から、多くのスポーツ関係団体の皆さまが、各種競技の実技指導や広くスポーツを市民に広げるための活動に熱心に取り組んでおられ、市主催の事業にも積極的にご協力いただいております。産業面におきましても、モノづくりのまちとして、トップアスリートも愛好するスポーツ用具を作られる高い技術を持った企業があります。

     このように、本市には、スポーツを「する」「観る」「支える」という土壌とポテンシャルがあります。私は、市民皆さまが、自発性のもとに、各々の関心、適性等に応じて、安全かつ適切な環境のもとで日常的にスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、スポーツを支える活動に参画することが必要であると考えております。加えて、国際競技大会やトップアスリートの持つ魅力に触れる機会を数多くつくり、そのことによる市民皆さま同士の交流や健康づくり、国際交流の促進等を通じて、活気あふれた幸福で豊かな生活が送れるまちづくりを進めたいと思っております。平成29年度におきましては、スポーツ振興にかかる専門部署を新たに設置し、スポーツ推進を図る基本的な計画の策定に着手してまいります。

    「大学のまち」の推進

     第二の柱は、「大学のまち」の推進であります。

     本市には4つの大学があります。

     大阪樟蔭女子大学は、大阪初の4年制女子大学であり、大正6年の創立以降、建学の精神にある「高い知性と豊かな情操」を兼ね備え、社会に貢献できる女性の育成に尽力されてきました。本年、創立100周年を迎えるにあたり、教育環境の一層の充実と知的資源を活かした事業の展開等、伝統と革新の融合を体現されています。

     大阪商業大学は、昭和3年に、「世に役立つ人物の養成」を建学の理念として、その前身である大阪城東商業学校を開学され、その後、地域政策学研究科を擁する大学院を立ち上げられるなど、社会貢献に情熱を傾けてこられました。現在、地域課題にチャレンジする人材の育成をめざす公共学部の創設に向け、歩みを進められています。

     近畿大学は、市内で唯一の総合大学であります。志願者数日本一を誇り、先進的な取り組みと強力な発信力で、今や「近大」の名に接しない日はないと言っても過言ではありません。建学の精神である「実学教育と人格の陶冶」の実践を通じて、世界と未来に向かって邁進される姿には、誰もが目を見張らずにはいられません。

     東大阪大学は、本市では、最も新しい大学であります。全国で初めて、「こども学部」を設置され、子どもをとりまく問題を子どもの視点に立って考える新しい学問のパイオニアであります。また、「日本語・外国語弁論大会」を開催されるなど、新たな分野に意欲的な挑戦を続けられています。

     このように、個性豊かな大学が立地し、卓越した教育者、研究者が集われていることは、本市の大きな財産であります。本市では、4つの大学に加えて大阪産業大学、大阪経済法科大学の近隣2大学と連携し、研究者の学識と知見を市政やまちづくりに反映するべく、政策の研究、提言を行っていただいております。これまでに、人口減少問題への示唆や公共サインのデザイン研究、八戸ノ里駅周辺でのにぎわい創出、若江城等の文化資源の調査や活用等、幅広い分野で多彩かつ有用なご提言と実践をいただいており、本市のまちづくりに成果となって実ってきております。今後とも、一層のご協力を得ながら、「大学のまち」としての価値をさらに高め、内外に発信してまいります。

     また、市内の4大学には、市内外から31,000人を超える学生が通学しています。この学生たちが持つエネルギーは、まちの活気の源であります。私は、この若者たちの力と地域とが結びついたまちづくりを推進するとともに、この若者たちのうち一人でも多くの方に、卒業後、本市で働き、暮らしていただくことが、さらなる本市の発展につながるものと考えております。そこで、先ごろ、若者たちとモノづくり企業等の若手社員との交流会を実施したところであり、さらに、若者たちの感性に訴えるモノづくりのまちをPRする動画の作成を進めております。また、平成29年度からは、本市の奨学金制度を利用されている方が、本市に住み、市内の企業に一定の期間、勤められた場合等には、その返還を免除する支援策を実施するなど、さらに若者にとって魅力あるまちづくりを進めてまいります。

    市民の安心を支える医療・福祉の充実

     第三の柱は、市民の安心を支える医療・福祉の充実であります。

     どのような境遇、立場にあっても、できる限り心安らかに、自分の持てる力を発揮しながら日々の暮らしを送りたいという、誰もが強く抱く願いを実現するため、私は、人に優しい、健康に生活できるまちづくりを進めております。平成29年度におきましては、医療、福祉分野の施策のさらなる充実を図ることで、市民皆さまの安心を支えてまいります。

     昨年10月1日、市立総合病院は、地方独立行政法人市立東大阪医療センターとして、新たな出発をいたしました。旧総合病院は、平成10年の開院以来、国指定の地域がん診療連携拠点病院、救急指定病院、災害拠点病院等の公的役割を果たしつつ、地域の中核病院としての機能を担ってまいりました。今回、独立行政法人化することで、急激な医療環境の変化に迅速かつ柔軟に対応することにより、経営課題を解決し、また、市民皆さまにとって安全・安心で質の高い医療を提供する病院として、より一層の発展ができるものと考えております。

     具体的には、市立東大阪医療センター中期計画において、3つの重点項目として、診療科の再開と新設、良質な急性期医療の提供、平成30年度までの単年度黒字化と計画期間全体での黒字化を掲げております。既に、理事長、院長の強力なリーダーシップのもと、心臓血管外科を新設するとともに、呼吸器内科では、肺腫瘍に特化した紹介制での外来診療が開始されております。さらには、今後、心臓血管外科手術等、高度な急性期医療に対応できる手術室や集中治療室が整備される予定となっております。また、4月からは、中河内救命救急センターの指定管理を受託し、一体的な運営を行うことで、地域全体の救急医療の向上につながることが期待できます。市立東大阪医療センターが、引き続き、地域に根差した市民のための病院として、市民皆さまの健康を守る役割を果たせるよう支援に努めてまいります。

     高齢者福祉施策といたしましては、介護予防・日常生活支援総合事業が本年4月からスタートいたします。この事業は、要支援1、2の方を対象として、これまでの全国一律の介護サービスから、NPO団体や民間企業、ボランティア等が参画し、多様なサービスを充実することにより、地域で介護予防に取り組み、高齢者を支える仕組みを構築するものであります。また、今後、増加が見込まれる認知症については、認知症サポーターやSOSオレンジネットワーク事業を通じた市民皆さまや事業者の方々による支援に加え、医師会等、関係団体のご協力を得て、認知症初期集中支援チームを設置し、病気の初期の段階で本人や家族を包括的に支援することにより、自立生活へのサポートを強化してまいります。

     障害者福祉施策におきましては、念願の障害児者支援センター「レピラ」が平成29年4月1日にオープンする運びとなりました。この施設は、市立療育センターと市立高井田障害者センターの機能を合わせ持つ施設であるだけでなく、障害児の通園定員の増員や診療機能の充実を図り、障害児から成人までのライフステージに合わせた児者一貫した支援を行う拠点施設であります。障害のある方やご家族が、地域で安心して生活していただけるよう、運営の充実に努めてまいります

    市役所を変える取り組み

     第四の柱は、市役所を変える取り組みであります。

     これまでの市役所を変える取り組みのひとつである行財政改革の歴史を振り返ると、特筆すべきは、人件費の総量抑制であります。私が本市の市議会議員に当選した30年前の昭和62年では、正規職員数は市政史上、ほぼピークとなる5,700人余りを数えておりました。平成元年での人件費の普通会計決算に占める比率は、30%を超え、東大阪市は、「給与支払い団体」であると揶揄されたこともありました。

     こうしたことを背景として、危機的な財政状況から脱出するため「職員800人削減計画」等、職員数の適正化や人件費の総量抑制の取り組みがなされ、平成17年には、中核市となり、市民サービスの向上につながる権限の移譲を受けつつも、必要最小限の職員数での行政運営を図ってまいりました。

     その結果、平成27年4月1日現在の正規職員数は、3,678人、人件費の普通会計決算に占める比率は、13.5%となりました。また、一般行政部門における職員数は、1,745人、人口1万人当たりの職員数は、34.98人であり、これは、全国の中核市のうち、依然として、最も少ない数となっております。

     一方、このように少ない職員数で行政を運営していくためには、職員の資質向上が不可欠であります。しかし、大変、残念なことに、一昨年以来、職員による、あってはならない事件、不祥事が続発し、市民皆さまには大変なご心配とご迷惑をおかけしました。かかる事態を受け、私は、再発防止に向け、平成27年度において、コンプライアンス指針を策定するなど、制度の構築と運用を進めているところであります。

     私は、コンプライアンスとは、単に法令やルールを遵守するということにとどまらず、より広い意味で、「市民の期待と信頼に応えること」であると思っております。市役所は、市民の役に立つ所でなくてはならず、そのためには、職員一人ひとりが仕事に誠実に向き合うことはもちろん、現状をしっかり把握し、次のステップを見据えて、迅速に仕事に取り組まなければなりません。同時に、上司、部下、関係部署がしっかりしたミーティングをすることで、情報を共有し、風通しの良い職場、組織を作っていくことが重要であります。私は、常々、各部局に対して、情報共有と人材育成についての確実な取り組みを求めているところであり、今後も、私自身が、機会あるごとにメッセージを発信するとともに、研修の充実等により、職員の意識改革と職場風土の向上に取り組んでまいります。

     公共施設につきましては、平成29年度では、PFI方式により新旭町庁舎の建て替えを進めるとともに、東大阪市社会福祉協議会等が入居している総合福祉センターの建物を改修し、市民皆さまから要望の強い貸館機能を持つ施設を整備してまいります。また、旧永和小学校跡地には、教育センター等の整備を行い、旧大蓮東小学校跡地には、幼保連携型認定こども園等の施設を建設してまいります。旧市民会館跡地につきましては、東大阪商工会議所新会館を誘致し、その一部に新永和図書館の整備を進めてまいります。 

     その他の行財政改革の取り組みにつきましては、「行財政改革プラン2015」の着実な実行に努めているところであり、平成29年度は、職員給与や福利厚生等の事務の民間委託を進めることで、より効率的な業務執行を図ってまいります。

    5つのまちづくりの姿

     次に、平成29年度に実施いたします主な施策について、後期基本計画でめざす5つのまちづくりの姿に沿って申し述べさせていただきます。

    安全で住みよいまちづくり

     まず、「安全で住みよいまちづくり」であります。

     昨年は、国内では熊本や鳥取、国外ではエクアドル、イタリア等で地震が頻発し、いずれも甚大な被害をもたらしました。さらに、海外でのテロ組織による凄惨な事件が続発し、国民の不安をかきたてています。また、新潟県糸魚川市における未曾有の大規模火災の惨禍は記憶に新しいところです。危機管理においては、予断を捨て、最悪の事態を想定することが肝要であり、こうした観点から、安全・安心への備えをハード面、ソフト面で進め、災害に強いまちを作ってまいります。

     まず、ラグビーワールドカップ2019の花園開催を控え、大規模集客施設等で緊急対処事態が発生したことを想定し、対策を進めてまいります。平成29年度は、花園ラグビー場での国際テロ等の緊急事態を想定した警防計画を策定し、市の初動体制や情報収集、伝達体制の確認等を目的として、大阪府、警察、医療機関等の関係機関と連携し、共同図上訓練を実施いたします。

     次に、市有建築物の耐震化につきましては、近年、小中学校校舎や防災関連施設の耐震化事業を集中的に進めた結果、平成18年度に35.4%であった市有建築物全体の耐震化率は、毎年度、着実に上昇し、平成28年4月1日時点において76.6%となりました。今後、「東大阪市市有建築物耐震化整備計画」等に基づき、多数の者が利用する一定規模以上の建築物である特定建築物等を優先して取り組み、市有建築物の計画的な耐震化を図ってまいります。平成29年度では、石切、枚岡幼稚園や縄手、若江、意岐部公民分館等の耐震補強工事を実施してまいります。

     次に、消防力の強化につきましては、平成26年度から建て替えを進めてまいりました西消防署が、本年7月に完成いたします。今後、西地区の防災活動拠点としての役割をより確実に果たしてまいります。

     密集住宅市街地につきましては、老朽木造賃貸住宅が集積する若江・岩田・瓜生堂地区において、安全で安心なまちを目指し、建物の不燃化と防災道路の整備を進めてまいります。

     浸水対策につきましては、雨水増補管事業を進めているところであり、平成28年度では「新大蓮幹線」が完成し、周辺地区の被害軽減が期待できます。平成29年度は、「新岸田堂幹線」の整備を進めるとともに、校庭貯留施設1施設を整備いたします。

     治安対策につきましては、これまで街頭犯罪対策に重点を置いて取り組んでまいりました。その結果、ひったくり事案は、発生時のピーク時であった平成12年の777件から平成28年は、暫定値で48件にまで減少いたしました。今後、この犯罪抑止効果を維持するため、特に効果が高いと考えられる防犯カメラにつきまして、所管部局の一元化により、効率的、効果的な運用を図ってまいります。

     一方、還付金詐欺を始めとする特殊詐欺認知件数が大幅に増加しております。平成28年の被害額は、大阪府内で約53億円に上る過去最悪の数値であり、本市でも大きな被害が出ている非常事態であります。こうしたことから、先ごろ、市内3警察署との連携のもと、東大阪市特殊詐欺被害防止緊急連絡会を発足させたところであり、今後、有用性が認められる振り込め詐欺防止機器の設置促進やさらなる啓発、注意喚起などの対策を強化することにより、特殊詐欺被害から市民皆さまを守ってまいります。

     都市計画につきましては、今後、さらなる少子高齢化、人口減少が予測されるなか、本市が持続可能な都市経営を行うため、恵まれた鉄道網や利便性の高い都市構造を活かした、快適で魅力・活力あふれるまちづくりをめざす立地適正化計画の策定を進めてまいります。

     交通基盤の整備につきましては、平成29年度末に、JRおおさか東線の新駅が開業予定であり、引き続き、事業の円滑な進捗を図ってまいります。

     また、大阪モノレールの延伸につきましては、現在、大阪府において軌道や駅、環境への影響に関する調査等が実施されており、平成29年度では基本設計に着手し、平成30年度に必要な都市計画決定を行うものとお聞きしております。本市には、仮称ではございますが、鴻池新田、荒本、瓜生堂の3つの駅の設置が予定されており、平成29年度におきましては、これらの駅の駅前広場等の予備設計を進めるとともに、交通事業とまちづくりが連携した総合的かつ戦略的な交通施策の推進を目指し、総合交通戦略の策定に着手してまいります。

     街路の整備につきましては、施行中の都市計画道路と駅前広場の事業を円滑に進めてまいります。特に、花園ラグビー場へのアクセス道路と東花園駅前広場については、ワールドカップ開催に向け再整備を加速するとともに、都市計画道路大阪瓢箪山線についても、事業主体である大阪府への働きかけを強め、早期の完成を目指してまいります。

     適切な管理がなされていない空家等の対策につきましては、東大阪市空家等対策計画の策定を進めているところであります。平成29年度では、実地調査による実態把握を行い、特に、放置すれば倒壊等著しく保安上危険であるなどの特定空家等に対する認定と指導を進めてまいります。

     循環型社会の形成につきましては、「環境にやさしい ごみを出さないまち 東大阪」の実現に向けて、市民皆さまや事業者の方々とともにごみの減量化、資源化への取り組みを進めております。一般廃棄物処理基本計画で掲げているごみの減量目標の達成に向けて、平成28年度には、東大阪市廃棄物減量等推進審議会で、大型ごみ有料化について、ご審議をいただいたところであり、平成29年度では、審議会からの答申を踏まえ、制度設計に取り組んでまいります。

    市民文化を育むまちづくり

     次に「市民文化を育むまちづくり」であります。

     まず、学校教育につきましては、小中一貫教育の取り組みを進めているところであります。これは、すべての中学校区において、義務教育9年間を見通した、系統性・連続性のある教育を実施するもので、確かな学力の定着、学校移行期における円滑な接続と適応、いわゆる中1ギャップの解消、郷土に誇りをもったグローバルな人材である「グローカルな人材」の育成をめざすものであります。モデル校区として、池島中学校区、縄手南中学校区を指定し、平成31年度に「義務教育学校」として開校を予定しております。平成29年度は、小・中学校で一貫した生活・学習指導の段階的な実施を図るなど、本格的な導入に向け、準備を進めてまいります。

     次に、教育環境の整備につきましては、小学校の暑さ対策といたしまして、ドライ型ミストの設置を進め、平成28年度までに全校で導入が完了したところであります。ミストは一定の効果が認められるものの、暑さを大幅に緩和するまでには至っておりません。特に、近年の夏場の猛暑下における児童の体調管理や熱中症予防は、大きな課題となっており、また、良好な学習環境づくりを進めるためにも、小学校普通教室におけるエアコンの導入が必要であると考えております。そこで、導入手法や事業費等を勘案し、平成29年度では、PFI方式を活用した事業実施の可能性について、調査を実施いたします。

     中学校給食につきましては、「完全給食」、「全員喫食」での給食を目指し、生徒が必要とする栄養量に配慮した学校給食を、平成31年度を初年度として順次、全校で提供できるよう、平成29年度では、義務教育学校に移行する予定の2中学校の配膳室の設計を行ってまいります。

     次に、文化事業につきましては、市制施行50周年記念イベントを開催いたします。市民皆さまとともに、東大阪市の魅力を体験し、喜びを分かち合い、東大阪市への誇りと愛着を高めることで未来への糧とする、そのようなひとときを過ごしたいと思っております。

     また、本市の名誉市民である井山裕太六冠に因んだ囲碁大会を開催いたします。囲碁は集中力が身につき、創造力を育み、発想が豊かになる頭脳ゲームだと言われています。この事業を通じて、本市の未来を担う子どもたちに、超一流棋士の井山六冠との交流という夢のような、かけがえのない経験をしていただくことで、将来の成長や才能の開花につながってほしいと願っております。

    健康と市民福祉のまちづくり

     次に、「健康と市民福祉のまちづくり」であります。

     子ども・子育ての支援施策につきましては、「子ども・子育て支援事業計画」に掲げる3つの柱を中心として、計画的に進めているところであります。

     まず、幼児期における質の高い学校教育・保育の提供につきましては、平成29年4月から、市立初の幼保連携型認定こども園である縄手南こども園と小阪こども園、幼稚園型認定こども園である北宮こども園を開園いたします。待機児童の解消につきましては、近年、民間保育施設への改築補助等、施設整備を進めた結果、平成28年4月には、79人減少し、127人となりました。平成29年4月からは、民間幼稚園から幼保連携型認定こども園への移行や小規模保育施設の創設により122名の定員増が実現いたします。さらに、平成30年度に向けても、183名の増員を図っており、待機児童ゼロに向け加速してまいります。在宅での子育て支援につきましては、3園の認定こども園や5月に開設する布施子育て支援センターにおいて、特にニーズの高い一時預かり事業を実施するなど、保護者の方の就労や心身のリフレッシュを支援してまいります。

     子どもの貧困対策につきましては、平成26年に「子どもの貧困対策に関する大綱」が閣議決定されたところであります。未来を担う子どもたちは、社会全体の宝であります。しかし、政府の調査によりますと、我が国の子どもの貧困の状況は、先進国の中でも厳しいものとなっております。子どもの将来が、生まれ育った環境に左右されることがないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することがないよう環境整備や教育の機会均等を図ることは、私たち大人の責務であります。生活保護世帯や生活困窮世帯、ひとり親世帯に対して、教育支援、生活支援、保護者に対する就労支援、経済的支援の幅広い面からの総合的な対応が必要であると考えており、平成29年度では、子どもの生活に関する実態調査を進めるとともに、対策にかかる基本的な計画を策定してまいります。

    市民が主体となったまちづくり

     次に、「市民が主体となったまちづくり」であります。

     東大阪市版地域分権制度の取り組みにつきましては、平成25年度から3年間にわたり、まちづくり意見交換会を開催し、「自分たちのまちは自分たちでつくる」という気運の醸成を図ってまいりました。平成28年度からは、地域の声や想いを市政に反映させるための仕組みを検討するため、地域の皆さんが考える「まち、地域」とは何か、地域が今以上に主体的にまちづくりをしていくためには何が必要かなどについてご意見をいただく「地域協働サミット」を、概ね中学校区ごとに開催いたしました。今後、サミットでいただいたご意見等を反映させながら、「東大阪市協働のまちづくり推進審議会」において、熟議を重ね、平成30年度の制度施行を目指してまいります。

     人権行政につきましては、人権が尊重される豊かなまちの実現を図るため、行政は、人権尊重の視点に立ってあらゆる施策を実施することが責務であります。同和問題や、女性、外国人住民、障害のある方々の人権問題や北朝鮮人権侵害問題等、あらゆる人権問題の解決に向け、たゆまぬ努力で人権啓発事業に取り組んでまいります。

     また、本市は、昭和60年に非核「平和都市」を宣言いたしました。近年では、他国のミサイル発射や核実験に対し、断固たる抗議を行いました。市域には、平和の女神像や平和祈念像等、平和に関する史跡、伝承も多く残されており、特に、戦争体験のない世代にも平和の尊さへの認識を深めることができる啓発事業を、引き続き実施してまいります。

    活力ある産業社会を切り拓くまちづくり

     次に、「活力ある産業社会を切り拓くまちづくり」であります。

     住工共生のまちづくりにつきましては、モノづくり推進地域の一部について、都市計画手法を活用した施策を進めております。高井田地区の一部については、「住工が調和して共存するモノづくりのまち」をめざす地区計画を決定し、川田・水走地区の一部については、「大阪府を代表する魅力ある工業地の形成」をめざす工業保全地区を追加する特別用途地区の変更を行ったところであります。今後、引き続き、立地促進補助金や工場移転支援の優遇策等も活用しながら、住工共生のさらなる推進を図ってまいります。

     都市ブランドの形成につきましては、近畿大学と連携し、「モノづくりのまち東大阪」の将来像を展望した都市ブランディングを行い、世界へ向けて発信してまいります。

     雇用支援施策につきましては、平成29年7月に布施駅前再開発ビルに「(仮称)就活応援窓口」を開設いたします。同じフロアとなるハローワーク布施や布施子育て支援センター等の関係機関と連携し、若者や女性をメインターゲットとした就労支援を行ってまいります。

     観光振興につきましては、新たな観光のまちづくりを推進するため、昨年10月、一般社団法人東大阪ツーリズム振興機構を東大阪商工会議所とともに設立し、モノづくり観光の受け入れ企業の拡大や新しいお土産物や食の開発等のプロジェクトを進めているところであります。平成29年度におきましては、ラグビーワールドカップ花園開催に向けた気運醸成に取り組むとともに、改修後の花園ラグビー場を日本の聖地から、世界でのブランドとするためのPR強化に努めてまいります。また、国内修学旅行で実績があるモノづくり観光の分野では、対象者を一般の方にも拡大し、体験プログラムの開発等を関係事業者と取り組んでまいります。文化・下町観光では、特に商店街への誘客を図るため、まち歩きプログラムの開発やボランティアのネットワーク形成を支援してまいります。

      以上、市政運営の基本的な考え方と平成29年度に実施いたします主要な施策について申し述べました。その他の予算の内容につきましては、お手元の予算書にお示しのとおりでございます。

    当初予算について

     本定例会に提案いたします平成29年度当初予算の総額は、

    一般会計で、 2,018億 7,654万 4千円

    特別会計で、 1,286億 7,002万 8千円

    企業会計で、   473億 1,863万 7千円

    となっております。

    最後に

     市制施行50周年記念ロゴマークには、自然、文化、町工場、ラグビー等をモチーフに、それらが大きなクスノキとなり、また、そこに集まる50万人の東大阪市民を描き、「永遠の発展」が表現されています。このマークを見るとき、私は、本市の持つ力と未来への可能性に思いを馳せることができます。

     日本経済を支えるモノづくり企業が集積するまち、世界へ開かれる聖地・HANAZONOを有するまち、学術・文化が根付く大学のまち、関西の交通の要衝にあって、人、モノ、情報が集まるまち、東大阪市が持つこれらのアドバンテージを活かし、さらなる大樹となって、繁栄するためには、市民、事業者の無限のポテンシャルを顕在化し、結集しなければなりません。

     そこに至る道は、決して平坦なものではなく、艱難辛苦も覚悟しなければならないかもしれません。しかし、私は、人々の持てる力と人々をつなぐ夢の力を信じております。私は、市民皆さま、事業者の皆さま、あらゆる人々のエネルギーを結集し、東大阪市の新たな半世紀、新たなステージに向けて、不撓不屈の精神で挑戦してまいります。

      議員各位並びに市民皆さまにおかれましては、一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げまして、平成29年度の市政運営方針とさせていただきます。

    平成29年度市政運営方針(平成29年第1回定例会)

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