市政だより 平成20年4月1日号 6・7面(テキスト版)
暮らしやすい市民生活の実現へ
市政運営方針の5つの基本政策など
あらましは、次のとおりです。
内外の情勢と対応
社会経済諸制度の変革期にある今日、各般施策の展開にあたっては、未来を見通す見識を持って、自治体を取り巻く内外の情勢を常に迅速かつ正確に把握し、市政の方向を誤ることなく的確に見定めることが、市政を担うすべての者に求められています。
経済と景気の動向
平成20年は、波乱を予感させる幕開けとなりました。
日本経済においては、年明けから金融・資本市場や商品市場が激震に見舞われ、平成14年2月に始まった戦後最長景気の持続性を不安視する声がある一方で、回復持続が見込まれるとの見方もあります。
現時点においては波及効果も見えず、本市にとって重要な中小企業の業績の低迷が懸念されています。
経済を左右する大きな要因となる政治情勢も、米国ではすでに大統領選挙が始まり、わが国では衆議院解散総選挙が取りざたされています。
平成20年は政治経済とも内外に予断を許さない大きな動きが予想されます。
本市の財政状況
一方、本市の財政状況は、平成18年度普通会計において、単年度収支で5,000万円の黒字を確保し、累積収支では約8億7,000万円の黒字となっていますが、市債残高は前年度より17億円増加し1,670億円になり、経常収支比率は94.9パーセントになるなど、依然として硬直した財政状況にあります。
平成19年度においても、昨年7月に決定した普通交付税の交付額が予算額を3億8,000万円下回り、基金などの取り崩しなどにより財源を確保しましたが、きわめて厳しい状況にあります。
また、平成20年度以降の財源確保についても、市税収入や地方交付税の原資となる国税収入の伸びが鈍化することが予想され、一層困難な状況が続くことを覚悟しなければなりません。
こうした状況のもと、本市としても内外景気の動向を十分に注視するとともに、ますます厳しさを増す自治体環境をも直視し、中長期的な財政見通しなどを示す中で、今後の財政運営の方向性を市民、議会、行政が共有することが、まず重要です。
同時に、徹底した行財政改革の断行で、中小企業の底力の後押しと市民生活に直結する、真に必要な分野の財源を確保しなければなりません。
自治体経営の課題
自治体経営では、次の2点が指摘されています。
1つは、自治体改革の正念場を迎える年だとの指摘です。
総務省が半世紀ぶりに見直した自治体の財政再建の判断基準が、平成20年度決算から適用になり、「客観的指標に基づいた連結決算の時代」に入ります。
新たな指標により早期健全化、財政再生の基準が明示され、自治体は自らの客観評価がしやすくなります。しかし、指標の1つでも基準を超えると国が「指導」、さらに悪化すると破綻自治体として国の管理下に入ることになります。
本市は長年行財政改革に取り組み成果を挙げてきましたが、この成果をさらに確実にするため、平成19年度決算において指標を公表し、今後の行財政運営にかかる精査を行っていきます。
2つめは、権限委譲をさらに進める新地方分権一括法の制定が、近々の課題になってきていることです。まさに未来を見通し、未来を見据え、変化に即応できる自治体経営が求められています。そのためには、中核市としての権限をフルに活用できる「志ある職員」を育てることが肝要です。
また、都市間競争から都市間連携へと視点を転換し、隣接自治体との具体の連携を目的意識的に追求しなければならない時代になりました。
高齢化と人口減少が続き、市民ニーズが多様化・増大する中で、自治体が活力を維持・発展させるには、周辺自治体など多くの自治体との緊密な協力が必要であると考えています。
環境問題や少子化問題
「温暖化は人類が直面するもっとも深刻な問題」であり、行政、企業、市民が一体となって取り組むべき課題です。『地球規模で考え、足元から行動を』をモットーに取り組みを進めていきます。
少子化の問題も避けることができません。20年後、30年後を担う子どもたちを育むため、子育て支援と教育の充実を社会全体で支えることが、「活力ある東大阪の再生」には不可欠だと深く感じています。
公における高い倫理性の保持・徹底
公における高い倫理性を保持・徹底することは、私の市政運営の基盤の1つです。消費者保護施策を充実するとともに、情報の公開と市政執行にあたっての透明性の確保に特段の配慮を払っていきます。
市民念願の2つの事業
再生推進元年にふさわしい市民念願の2つの事業が実現します。
1つは、いつ発生してもおかしくない災害に総合的に対応する消防総合庁舎が完成。市民生活を守る新たな消防・防災活動の拠点として、その機能を100パーセント以上発揮できるよう万全を期してスタートします。
また3月15日には、今後新大阪駅への直結が予定される「おおさか東線」がいよいよ開業します。市民の利便性の向上とまちづくりに大きく寄与するものです。
この2つの事業は、市民がその実現を長年待ち望んできたものであり、「活力ある東大阪の再生」への都市基盤整備の一環をなすものです。その効果を2倍にも3倍にも拡大していく取り組みを進めていきます。
残された課題解決へ
上下水道庁舎の再検討については、これまでの経過を整理し、防災機能の充実や効率的組織運営を図ることを視野に入れ、費用対効果を勘案の上、早急に方向性を明確にしていきます。
学校規模適正化の推進については、方針を決定し、関係する地域、保護者への説明と理解を求めていきます。永和図書館については、東大阪市図書館協議会の答申を踏まえ、建替え整備に向け取り組んでいきます。
おおさか東線のJR長瀬駅・新加美駅間の新駅設置およびモノレール南伸促進については、関係機関との協議を積極的に進めていきます。
一般職非常勤職員問題については、決着を図るため、精力的に国に対して制度改正を求めていきます。
最後に
平成20年は、経済と景気の不透明感が払拭できぬままのスタートとなり、とりわけ自治体においては、依然として非常に厳しい財政環境のもと、地域主権時代への改革の正念場を迎えています。
環境問題の解決が地球規模での課題となり、また、かつて経験したことのない少子高齢社会の到来で、教育と福祉は施策の大転換期の渦中にあります。さらに消費者としての市民の生活を脅かす事例や企業倫理を問う事例も後を絶ちません。
こうした中で、市民ニーズは今後ますます個別化・多様化するとともに、量的にも増大が予想され、限られた財源の中での施策の実施は「選択と集中」が不可欠であり、我慢の財政運営を覚悟しています。
困難な中においても市の将来像を見据え、行財政改革を果敢に断行する一方で、一つひとつの効果的な施策を確実に実施し、「積小為大」の言葉のごとく、小を積み重ね大を為し、必ずや輝かしい「活力ある東大阪の再生」を実現していきます。
※市ホームページに全文を掲載しています。
問合先
政策推進室 06(4309)3101、ファクス06(4309)3826
市政運営の基盤と基本姿勢
平成20年度の各般施策の展開にあたっては、内外の動きとそれらへの対応を重点的な視点として取り組むとともに、市政運営の3つの基盤としている「民力、政治力、行政力の結集」「高い倫理性の保持・徹底」「本市の未来を的確に見据える」を基本に、「だれもが、安全で、安心して、暮らしやすい市民生活を実現する」ため、次の5つの基本姿勢を貫いていきます。
- 「草の根の民意に耳を傾けます」
- 「市民生活密着型の施策を推進します」
- 「子ども、高齢者、障害者を大切にします」
- 「商店街が賑わい、モノづくりが元気なまちづくりを進めます」
- 「地域と行政のより良いパートナーシップをめざします」
安全安心なまちづくりを
3つの改革と再生
市役所の改革・再生
本市の将来を見据えた再生市役所の基本である行財政改革の実行に、スピード感を持って積極的に進めていきます。
地域の改革・再生
魅力と活力あふれる特色ある地域のまちづくりを推進していくため、市民と直接対話を行う機会を設定し、共に考え、共に実践する“協働のまちづくり”の仕組みの基礎を構築していきます。
学校と教育の改革・再生
地域の市民や関係機関の協力を結集して地域教育協議会の活動を支援し、学校教育活動を支えていくと同時に、学校を拠点にした地域の教育力を高めていきます。
また、学校協議会を全校園に設置し、“開かれた学校園づくり”をめざしていきます。
5つの基本政策
安全安心なまちづくり
耐震化
- 防災関連施設の耐震未診断施設の診断を実施
- 学校校舎および多くの市民が集う公共施設の耐震化を順次計画的に整備
- 木造住宅耐震改修補助制度の充実
- 情報提供や建築相談会の開催
防災
- 自主防災組織の充実強化
- 避難所防災備品の充実
- 高齢者や障害者など災害発生時の要援護者に対する援護体制の確立
消防・防犯
- 常備消防力充実のため石切出張所の日下方面移転に着手
- ひったくり被害防止対策として防止カバーを配布
- 自転車盗難被害防止対策として啓発用横断幕の作成
暮らしやすいまちづくり
商業の活性化
- 東大阪市商業振興ビジョン」を策定
安全安心な都市空間
- 生活道路・街路の整備
- アスファルト舗装の老朽化の改善
- 交通安全施設の整備
- 都市計画道路山麓線の延伸の調査検討
消費者保護施策の推進
- 弁護士などによる多重債務者無料法律相談を実施
子育て支援
- 「次世代育成支援行動計画」後期5か年計画を策定するための市民ニーズ調査を実施
- 子育て支援センター東部地域整備のための基本調査を実施
- 中学生以下の子どもが3人以上の子育て世帯への国民健康保険料負担の軽減
- 東部地域での認可民間保育所の公募方式による募集の実施
図書館の充実
- 夜間9時までの開館および祝祭日の開館を実施
人にやさしいまちづくり
人権意識の高揚を図る
- 「教育・啓発」施策の推進
高齢者支援
- 高齢者虐待にかかる緊急一時保護事業の実施および緊急連絡体制の確立
- 養介護施設従事者に対する研修の実施や虐待に関する相談
- 通報による被虐待高齢者の保護や虐待を行った施設等に対する的確な指導を行える方策の検討
- ひとり暮らし高齢者に対する見守り機能の充実
障害者支援
- 自立支援協議会のもとに福祉と教育、労働などのネットワークの確立
- 発達障害児(者)の相談支援の充実
- 障害者の就労支援に向けては職場定着を図るためジョブライフサポーター派遣事業などを促進
- 日中活動支援である多機能型施設の建設を促進
- コミュニケーション支援に携わる手話通訳者育成のための講座を開設
バリアフリー化の推進
- 徳庵駅のエレベータ設置に向けた調査設計
- バリアフリー化緊急支援事業として、公園の出入り口などの改修、園路整備の実施
要保護児童支援
- 児童家庭相談に関する総合相談窓口の確立に向けた検討
- 要保護児童対策地域協議会におけるきめ細やかな支援を行う児童虐待防止ネットワークの強化
男女共同参画社会の実現
- 意識啓発のための情報紙を作成し全世帯に配布
健康に生活できるまちづくり
健康長寿を実現
- 治療型社会から予防重視型社会への転換を積極的に推進
母体や胎児の健康確保
- 妊婦健康診査の無料化を現行の1回から5回に拡充
- 35歳以上の妊婦の方に公費負担による超音波検診を1回実施
小児科初期救急の充実
- 24時間受診可能な初期医療体制の確立に向けた検討
後期高齢者医療制度の円滑な実施
- 市民に分かりやすく利用しやすい窓口の設置
環境問題
- プラスチック製容器包装とペットボトルの分別収集を、北部環境事業所区域も開始
- 「東大阪市豊かな環境創造基金」を創設し、公共的な施設における環境性能の向上、環境教育の推進、市民が行う環境活動を支援
文化・芸術
- 「(仮称)文化芸術振興条例」の制定
- 「(仮称)文化政策ビジョン」に基づく施策の推進
国際化の推進
- 多文化共生のまちづくりを推進
ラグビーの振興
- 全国高等学校ラクビーフットボール大会を効果的に支援
中小企業が元気なまちづくり
住工共生のまちづくり
- 製造業の操業環境と住環境確保への方策を検討
- 集合工場の建設計画の具体化
- 産業技術支援センターの建替えを具体化
- 「モノづくり支援新戦略」の実現
未来へつなぐモノづくり
- 「モノづくり教育支援事業」の拡充
- 若年者などの雇用促進
- 「モノづくり若年者等就業支援事業」を実施
- 多様な就労支援を展開
- 市内モノづくり企業とのマッチング事業を推進
市民安全の活動拠点 消防総合庁舎4月1日開庁
旧市役所の跡地(稲葉1)で建設が進められていた消防総合庁舎がこのほど完成し、4月1日(火曜日)に開庁しました。
中消防署を併設し、最新設備を導入した高機能消防指令センターを備え、総合訓練施設も隣接。大規模災害発生時には消防活動などの拠点となります。
総合庁舎は免震・耐震構造の地上5階建てで、1階から3階までが中消防署、4・5階が消防局で、屋上には無線タワーや太陽光発電設備を設置しています。
72時間まで対応できる自家発電装置を備え、消防活動の指揮や情報収集・伝達などの中枢施設として機能します。
さらに迅速な出動
消防局には、毎日200件近い119番通報があります。通報内容に応じて消防隊や救急隊、救助隊へ迅速に出動指令を行うとともに、現場状況を把握し、警察などと連絡調整を行っています。
さらに迅速・的確な出動体制を確保するため、最新鋭のコンピューターシステムを導入した「高機能消防指令センター」を整備し、より効果的な現場活動を行います。
高機能消防指令センター
119番通報があると、発生場所の地図検索と消防車両などの位置情報とを同時に作動させ、的確な出動指令をすばやく行います。
出動した消防車両などへは、車両端末装置に地図情報や現場近くの消火栓・防火水槽などの情報を発信。現場へ確実に誘導します。
また、地域の消防団へも電子メールで出動を要請します。
災害情報を即時に公開
火災や救助で出動中の災害情報を、即時に消防局ホームページ(http://www.city.higashiosaka.lg.jp/hfd119/index.html)に公開します。
また、問合せ専用電話070(966)9991で音声案内を行います。
総合訓練施設
庁舎北側には、地上6階、地下1階建ての総合訓練施設を整備しています。
消防職員・団員の実践的な訓練を行うとともに、市民や防火管理者に消防用設備などの使用方法について指導を行っていきます。
防災学習センター併設
防災について学習・体験できる防災学習センターも併設します。
近い将来発生が予測される「東南海地震・南海地震」に備え、防災体験シアターや煙避難、地震体験などで防災への取組みの必要性や重要性を体感することができます。
センターのオープンは、5月初旬を予定しています。詳細が決まり次第、市政だよりでお知らせします。
消防総合庁舎(稲葉1-1-9)
消防局
- 総務課 072(966)9660
- 人事教養課 072(966)9661
- 予防広報課 072(966)9662~3
- 警備課 072(966)9664
- 通信指令室 072(966)9665
※ファクスは各課共通072(966)9669
各署の電話番号も変わっています
東消防署 072(983)0119
中消防署 072(966)0119
西消防署 06(6788)0119
問合先
消防局総務課
184台のAEDを 学校園・保育所に配備
子どもの安全対策を推進
このほど、「愛はぐくむ子どもスクラム基金」を活用し、市立の保育所、幼稚園、小・中学校、高校、療育センターおよび私立の保育園、幼稚園に184台のAED(自動体外式除細動器)を配備しました。
現在、全国の自治体や企業で配備が進められているAEDは、本市においても寄付を含め市施設に45台設置しています。
園児・児童・生徒の事故に対応し、地域における緊急時に活用するため、市内学校園・保育所に設置するものです。
問合先
- 教職員課 06(4309)3275、ファクス06(4309)3838
- 保育課 06(4309)3195、ファクス06(4309)3817