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あしあと

    歯科医師からのメッセージ(妊娠5か月)

    • [公開日:2018年2月23日]
    • [更新日:2021年10月22日]
    • ID:21895

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    妊娠中のあなたへ

    妊娠5か月(16~19週)

    妊娠中のお口

     妊娠されると、身体的な変化が起こるだけでなく、生活習慣も変化することが多いようです。これらの変化に伴って、お口の中も影響を受けやすくなっています。

     お口の中に注目すると、次のような変化が起こる場合があります。
    ・身体の倦怠感により、ついつい歯の掃除(ブラッシング)が大ざっぱになる、あるいは省略しがちになる。
    ・唾液の酸性化(pHの低下)が起こる。
    ・唾液の粘性度が強くなる。
    ・間食の摂取回数が多くなる。
    ・味覚や嗜好が変化して、甘いモノが食べたくなる。
    これらのことが、お口の中の環境を悪くする変化と言えます。その結果、歯科的にはむし歯や歯周病が発生しやすくなる人もいるようです。

     以前には、妊娠するとそれだけで必然的に歯が悪くなると、長く信じられていました。しかし、実際は、上記のようにお口の中の環境が変化することにより、その結果、歯や歯グキが悪くなる場合が多い、ということが分かっています。
     お口の中の環境を悪化させる上記の要因のうち、変えられるものは少しでも軽くしていきたいものです。
     歯や歯グキを悪化させる要因として、唾液に関する部分よりも、歯みがき作業や食生活の習慣との関連が強いようです。これについて考えてみましょう。

    歯みがきについて

     妊娠に伴うつわりの一症状として、歯をみがこうとすると吐き気がする人は珍しくありません。妊娠初期では約50%の人がそうであり、中期でも約20%の人に吐き気がする、という報告もあります。

     しかし、吐き気がするからといって、歯をみがかなかったり、いい加減な歯みがきをしていたりすると、むし歯ができやすくなったり、歯グキが腫れたり出血しやすくなったりします。

    (考え方)
    「歯みがき」という言葉が使われていますが、「みがく」というと、擦ってツヤを出す意味になりますが、本当は歯と歯を支える部分(歯グキなど)を健康に保つために「歯の掃除」をすると考えるのが正解です。細菌とその産物で構成される粘着性物質である歯垢(しこう・プラーク)を、掃除して取り除くのが、健康保持のブラッシングなのです。
    みがく時間帯としては、食べた後が効果的ですが、つわりのある時は、体調の良い時間を見つけて、リラックスした状態で行いましょう。

    (歯ブラシ)
     大きな歯ブラシを使うと、奥歯をみがく時にノドに近い粘膜を刺激してしまいやすくなり、吐き気をもよおすことにつながります。植毛部分の小さい歯ブラシの方が良いでしょう。すでに歯グキから出血しやすい状態になっているのであれば、柔らかい毛の歯ブラシを選びましょう。

    (歯みがき剤)
     妊娠中は、臭いに対して過敏になることがあります。歯みがき剤を使っている人は、その香料の臭いで気持ちが悪くなるかもしれません。歯みがき作業の本来の目的は「歯の掃除」なので、歯みがき剤の使用を控えても、健康上の問題はないでしょう。

    (歯をみがく時の出血)
     妊娠してから歯グキから出血しやすくなったという人は少なくありません。妊娠の前・中・後期を問わず約60%の人がそうである、という報告もあるくらいです。人によって違うという面もありますが妊娠以前から、ただ歯の触りやすい部分だけを歯ブラシで擦るような作業をしていて、歯と歯グキの境目部分を清潔にしてこなかったことと、妊娠に伴う身体の変化が重なることによって、歯グキの健康が阻害され、腫(はれ)たり充血したりしている場合は、そこに歯ブラシが触れると出血することになります。

     そういう状態になっている場合は、柔らかい毛の歯ブラシで、歯と歯グキの境目も時間をかけて優しく触って、歯垢を落とすことが求められます。
     ただし、触って血を出すことが目的ではなく、あくまで掃除によってその部分を清潔にして、歯グキの抵抗力が発揮されやすい環境を作る、ということが目的です。その通りに出来れば約1週間で、触っても出血しなくなるのが普通です。

    妊娠期の歯科健診について

     市内の委託医療機関で、歯科健診が自己負担なしで受けられます。
     これを受診される際には、ただ「悪いところ探し」だけではなく、保健指導もしていただくことになっていますので、気になることがあれば、質問して教えて頂けます。
     歯科健康診査受診券と母子健康手帳をご持参ください。

    間食の回数、嗜好の変化について

     妊娠すると、約60%の人は間食の回数が増加し、また約50%の人に何らかの嗜好の変化が起こる、という報告があります
     胎児の分まで栄養を摂る必要があるということで、間食の回数が多くなりやすいと言われていますが、歯から見るとちょっと不利な環境になることも事実です。
     日ごろ、歯を一番守ってくれているのは唾液ですが、それは食べ物の糖質を材料に細菌が歯を溶かす酸を作ったとしても、唾液がその酸を和らげてくれたり(中和作用)、歯の表面がその酸で溶け出しかかっても、それが分子的レベルの範囲内の変化であれば、唾液が微細に補修してくれたり(再石灰化作用)するからです。
     しかし、これは1回飲食してから次の飲食までの間に、ゆっくりと時間を掛けて起こる現象です。間食の回数が余りに多くなったり、ダラダラ食べたりして、その時間間隔が短くなると、2つの作用が行われにくくなってしまいます。生活習慣を少し工夫して、唾液の力を十分に活用するようにしましょう。
     一方、嗜好の変化については、妊娠前期には「酸っぱいものが好き」になる人が多く、中期から後期にかけては「甘いものが好き」になる人の割合が多くなると言われています。嗜好の変化自体は珍しいことではないのですが、特に甘い味は、酸を作る菌の働きによって、歯の表面が酸性に傾きやすくなるので注意が必要です。

    赤ちゃん(胎児)の歯について

     平均的には、妊娠2か月くらいで乳歯の前歯の歯胚(しはい)が作られることに始まって、妊娠5~6か月頃には、乳犬歯や第一乳臼歯の石灰化が始まろうとしています。
     歯の形成に必要なタンパク質や、カルシウム、リンなどのミネラル、カルシウム代謝に関連するビタミンA、Dが不足しないよう十分に摂取することが求められます。
     なお、お母さんの歯は既に完成していて代謝しないので、胎児のために母体の歯からカルシウムが溶け出すことはありません。胎児は必要な栄養を母体の血液から吸収するのですが、その血中のカルシウムは、母体の骨の代謝によって供給されます。この点から、妊娠期はカルシウムを含めて十分な栄養を摂取することが必要です。

    お問い合わせ

    東大阪市役所 健康部 保健所
    東保健センター    電話: 072(982)2603 ファクス: 072(986)2135
    中保健センター    電話: 072(965)6411 ファクス: 072(966)6527
    西保健センター    電話: 06(6788)0085 ファクス: 06(6788)2916
    母子保健・感染症課  電話: 072(970)5820 ファクス: 072(970)5821